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幼馴染の勘違いオタクを無害なモブにしたかっただけなのに、冷徹に教育していた私が絆されました  作者: remia
第4章:オタクの夏休み大改造

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幕間:ラノベ勘違い野郎の決意

「あああああっ! 何度思い出しても死にたくなる……ッ!」


 ベッドの上で頭を描え、俺は一人で身悶えしていた。



 先日の期末テスト打ち上げのカラオケで、彼らは俺の好きな深夜アニメの曲をわざわざ覚えて、一緒に歌ってくれた。

 アニソンをノリノリで歌う凛子……めっちゃ可愛かった。

 あれはこの世に顕現した女神だ。間違いない。



 いや、今はそんなことはどうでもいい。

(凛子が可愛いのは大事なことだけど)



 俺が勝手に「悲劇のヒーロー」ぶって壁を作っていただけで、結城たちは最初から俺に歩み寄ってくれていたのだ。


 それに気づいて感動した直後、調子に乗ってアニソンメドレーを連投し、五十嵐にマイクを取り上げられた自分の空気の読めなさにも死にたくなるが……。



 それ以上に俺の精神《HP》をゴリゴリと削ってくるのは、これまでの己のダサすぎる言動だ。



『教師の教え方が絶望的に下手。暗記偏重の教育システムが俺には合わない』

『本気を出してないだけ、平均点なんてすぐ取れる』



 中間テストの絶望的な赤点を誤魔化すために放った過去の自分の言葉が、脳内でエンドレスリピートされる。


 あの時は本気で自分をスペシャルな存在だと思っていたし、それで凛子たちを論破できたとすら勘違いしていた。



 だが、誰もいない早朝の教室で見た須藤の背中と、「勝手に被害者ぶるな」と本気で怒鳴った父さんの声が、今の俺に容赦なく現実を突きつけてくる。


 俺のあの言葉は、努力もせず、ただ傷つくことから逃げ、自分の無能さを環境のせいにしていただけの、世界一ダサくて痛い言い訳でしかなかったのだ。



 そして何より、凛子から冷酷に宣告されたあの言葉を思い出すと、夏の夜だというのに背筋が凍りつく。



『私たちはあんたを見捨てるつもりだった』



 あれは、冗談なんかじゃない。

 あの時の凛子の目はマジだった。


 俺は本当に、あと一歩で彼らの『最強パーティー』から追放され、永遠に見向きもされない孤独なモブ生活に逆戻りするところだったのだ。



 あのまま見捨てられていたらと思うと……胃がギリギリと締め付けられるように痛む。



 俺はもう、自分の殻に閉じこもって拗ねている場合じゃない。


「やるしかない……!」



 ただ、悲しいかな。

 今の俺の基礎ステータスが、スライムにエンカウントしただけで即死するレベルの貧弱さであることは認めざるを得ない。


 実際、心を入れ替えて徹夜で勉強しようとしたのに、一ページ目で脳がフリーズして開始五分で寝落ちしたのが、俺の今の実力なのだから。



 ……とはいえ、だ。

 俺に隠された潜在能力ポテンシャルが全くないというわけではないはずだ。


 すぐに結果が出ないのは、俺がきっと、経験値を積むのに時間がかかる『大器晩成型』のレアキャラだからに違いない。



 だから、ひとたび覚醒の時を迎えれば、学年トップを取ることだって夢ではないだろう。

 今の俺に必要なのは覚醒イベントだ。


 正直カッコ悪い気もするが、ここは素直に助けを求めるしかないだろう。



 俺一人でレベル上げをしようとしても、また寝落ちするか、三日坊主で終わる未来が見えているからな。

 人のアドバイスも聞かないとダメだ。



『最強パーティーに拾われたレベル1の村人が、偉大な先輩たちに揉まれて真の力に覚醒する』


 そう、これは激アツの王道展開なのだ。

 そう思えば、むしろ胸が熱くなってくるじゃないか。

 これも俺が真の主人公になるための試練だ。



 明日から、中学生最後の夏休みが始まる。


 俺の才能を完全に開花させるためには、この夏を利用した『基礎ステータス』の底上げが必要不可欠だ。


 俺なら絶対にやれるはずだ……いや、できなくてもやるしかないのだ。

 普通の人間になって、もう一度凛子に話しかける権利を得るためには。



 俺はベッドからガバッと起き上がり、スマホを手に取った。

 まずは手始めに、肉体改造だ。


 明日の朝から須藤のトレーニングに同行させてもらえるよう、俺はノリノリでメッセージを打ち込み始めた。



「見てろよ凛子……この夏休みで、俺の真の力を解放してやる……!」




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