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04 チュートリアル

私の目の癒しから名残惜しくも離れ、やってきたのはこの街の東側の門。


この先からはモンスターが出現するフィールドだ。





マップを確認しつつ到着したのはだだっ広い草原。


一体何千ヘクタールあるんですかってくらい広い。都会暮らしが長い私にはとても贅沢な光景だ。





高い建物なんて無いからか、気持ちの良い木々や草や土の匂いを乗せた風がとても心地よい。


あぁ、でも流石にゲームだからか獣臭さやフンの匂いとかはしないな。

もちろん今は求めていないけど。




さて、いつまでも突っ立っていないでモンスターを探すとしましょう。


っていうかこれ【気配察知】スキル効いているのかな?イマイチわからないな。Lv1だからほとんど意味無いパターンかな?





嘘です。しっかり効いていました。

視認していないのにそこに何かがいるのが分かりました。不思議な感覚。





静かに歩いていくと、少し草が低くなっている所に一本の角が生えているウサギっぽい生物。

ザ・ファンタジーなフォルムで丸々と太ったような手足が短く2頭身くらいでなかなか可愛らしい。


あ、ここは鑑定する所か。


表示されたのは種族名とレベルだけ。一角ウサギ、レベル1。


よくある鑑定だともう少し詳しい情報が出てくるけど・・・。

スキルレベルを上げると表示されるのかな?どうなんだろ?



視認出来る距離まで来たらモニター、ってかメニューウィンドウか。ポンっと音を立て、クエストの詳しい内容が表示されている。



・インベントリを確認しよう

・武器を装備しよう

・防具を装備しよう

・一角ウサギを3匹倒そう

・一角ウサギの角を一つ手に入れよう



そういえば簡素な服しか着ていなかった。



早速メニューからインベントリを確認して、初期装備と思われるシンプルな剣と厚手の布で作られている服を装備する。

あぁ、良かった。何にも考えずに装備してしまったけれど、いちいち裸になるような仕様じゃなくて。





腰に携えられた剣を鞘から抜き、一角ウサギへ静かに近づく。


だが、草を踏みしめる音に気付かれ一角ウサギがこちらを向いた。頭の上のアイコンが青から赤へ変わる。

ノンアクティブからアクティブへ切り替わったんだろう。どこか先ほどの可愛らしさが消え、モンスター然とした雰囲気に変わってしまった。

それと同時に一角ウサギにHPバーが表示される。



攻撃を仕掛けようと一角ウサギが素早く飛び跳ねるようにこちらへ距離を詰めてくるが、目で追えるスピードだ。私のお腹を目掛けて飛び上がってきたところへ、一歩横へズレつつ剣を叩きつける。


【長剣術】と【足さばき】のスキルのおかげか自然と体が動く。

アシストが効いているんだろうけど不快感は全く無い。



一角ウサギは一撃で瀕死状態になったようでHPバーが残りわずかとなりプルプルと震えている。

ただの小動物であったなら、ここでトドメを刺すことに躊躇しただろうけど、こちらを見る赤黒く光る眼は攻撃性を前面に出し、どこか醜悪に感じられるせいで罪悪感は覚えられない。


まっすぐと剣を振りおろしトドメを刺す。

HPバーが砕け散るとメニューウィンドウがまた出てきた。



-倒したモンスターに解体ナイフを刺すとドロップ品が手に入ります。解体ナイフを刺して下さい-



あぁ、最初からインベントリに入っていたナイフはここで使うのね。

早速突き刺すとポリゴンが砕け散るような演出と共にモンスターの身体が消えた。



うん、忌避感みたいなものは全然感じられないようになっているみたい。

これなら問題ない。




-解体ナイフはモンスターを倒した後一定時間内に使用する事でドロップ品が手に入ります。-


-一定時間が経過するとモンスターは自然と消えてしまい解体ナイフが使用出来なくなります。ご注意下さい-


-初期から所有している解体ナイフは最低品質のものではありますが、耐久度が減ることがありません-


-高い品質の解体ナイフは購入したり、作成する事が可能ですが耐久値があり耐久値が0になると壊れてしまいます-


-耐久値は武器や防具にも存在します。壊れる前に耐久度を回復させるようにしましょう-




-残り2匹の一角ウサギを倒して下さい-





なんか色々説明が出てきた。

軽く目を通したけどそんなに難しい事は書いていないね。要は道具にはメンテナンスが必要ですよってことでしょう。




自分なりに納得したところでクエストの続きといきましょ!




その後、2匹目は先ほどと同じく問題なく終えたけれど3匹目では攻撃を受けてしまい、ちょっとビックリした。


またただの突進攻撃だと思っていたら、私へ向かってくる手前で力を溜めるような仕草で止まったかと思いきや、角の部分が薄く光りもの凄いスピードで突進された。


油断していた私は避けきれず、脇腹をかすめてしまったが不思議と痛みは無くて助かった。

とはいえ、衝撃だけはしっかり感じたから驚いて数秒止まってしまったのは反省。


あれか、モンスターにもスキルがあるって事か。




インベントリに一角ウサギの角があることを確認して街に戻る道を歩む。



どうやらドロップ品はそのままインベントリに収納される親切設計。一匹目を倒した後にもう入っていた。

角は必ずドロップするわけでは無いようで、

二匹目は、一角ウサギの肉。

三匹目は、一角ウサギの皮がドロップしていた。


もしかしたらチュートリアルだから、それぞれ別のものが出たのかもしれない。





三匹目を倒した後、チュートリアルクエストは冒険者ギルドで討伐クエストの報告と、素材引き取りカウンターで角を売るように指示されていた。

ちなみに、討伐クエストとは言っているが指定のモンスタードロップ品を納品する為、実質は納品クエストだ。





そんなわけで、冒険者ギルドに戻ってきた私。



クエストボードから目当ての紙を剥がし、受付嬢のところへ持っていく。

登録をしてくれたあの受付嬢だ。



「クエストの報告をお願い出来ますか?」



「はい、かしこまりました。では、依頼票とギルドカードをお預かりしてよろしいですか?」


「お願いします」

ちょっとまだドキドキしちゃう。




「クエスト確認いたしました。では、討伐証明部位の一角ウサギの皮を出して頂けますか?」



「はい」


受付嬢が手を向けて指定しているカウンター上にある浅めの銀色のトレーの上に皮を置く。





するとトレーが淡く光って、乗っていた一角ウサギの皮が消えた。


演出が細かくてちょっと面白い。





「こちらでクエスト受理完了となりました。こちらが達成報酬です」



報酬は一角ウサギ一匹で10ゴールド


まぁGランククエストなんだからこんなものだろう。



「ギルドカードをお返しいたします。お疲れ様でした」


「有難う御座いました」

ありがとう、私の癒し。


心の中で余計な挨拶してカウンターから離れる。




あ、名前聞けば良かった。



ちなみにクエストの受注、報告はギルドの建物内にいればメニューから行えるとのこと。

プレイヤーで混雑している中、一つ一つ対応していたんじゃ間に合わないものね。当然だ。




いや、受付嬢目当てで、それでも並ぶっていう人達も多そうだな。カワイイもん。





そのまま受付よりかは少しこじんまりとした素材引き取りカウンターへ向かう。


対応してくれるのは今度は男性のようだ。



「いらっしゃい、素材の引き取りかな?」




ロマンスグレーという言葉がぴったりな、白髪混じりの短く整えられた髪に人好きのする優しげな笑顔を浮かべながら、優しい声をかけてくる男性。


眼尻や口元にある笑い皺が柔らかく優しげな印象を与えるが、どこか鋭い眼と右目のモノクルが知的な雰囲気を感じさせる。



「こんにちは、こちらを引き取って頂きたいのですが」


そう言って一角ウサギの角を取り出す。



「あぁ、わかったよ。・・・ふむ、品質も問題ないね。引き取らせて頂こう。品質ランク3だから25Gだね。問題ないかい?」


「品質ランク・・・?思っていたより高値ですね、その品質ランクとやらが関係しているんですか?」


一角ウサギの皮が10Gだったから、倍以上の金額だ。




「いや、品質は至って普通だよ。可もなく不可もなくってところだね。金額が高いのは、これがレアドロップだからだよ。一角ウサギは皮や肉をドロップすることのほうが多いからね」



「なるほど」

チュートリアルだからドロップした説確定。




「ふふ、資料室にその辺の情報が詳しく書かれているものもあるから、確認しておくことをお勧めするよ」



そりゃそうだ。チュートリアルが終わったら行くべきかな。先達の助言は素直に受けましょう。



「ありがとうございます。そうします」


「うん、それじゃあこれで取引は完了だ。また来るのを待っているよ」


「えぇ、また来ます。それでは」




紳士の微笑みにキュンとしながらそのままギルドを出る。








外へ出てやってきたのは最初に降り立った噴水広場。



最初は気付かなかったけど広場の奥にあるあの建物はおそらく教会だろう。シスターらしき人が建物前の階段を掃き掃除している。



あそこも後で行ってみよう。讃美歌とか聴けないかな。






楽しみがまた一つ増えたなぁ、と嬉しく思いながら立ち止まったのはやたらと大きい建物。


どうやらここが生産作業施設らしい。

他の主要施設とは違い、大きいだけであまり特色はない。それでも街の雰囲気に合うようシンプルに作られている。




次のクエストはここでウサギの肉を調理するとのこと。



中へ入ると、人はおらずいくつか端末が並べられているのでその前まで進む。

端末を確認すると、どの生産施設かと人数、利用時間の選択が表示されている。


今回はチュートリアルなので無料だが本来は1時間ごとに利用料金が発生するらしい。



調理施設と時間、人数を選ぶと六畳ほどのスペースに色々な道具が揃えられたキッチンに移動した。

なんだか中世っぽい素朴さと洗練された現代っぽさが混合した不思議な設備だ。




これから作るのは兎肉のロースト。

作るにはマニュアルとオートが選べ、料理が苦手な人にも対応されている。






私が選ぶのはもちろんオートです。


料理は得意ではありません。女性が全員料理上手だと思わないで!!








内心で世間の偏見の声に目をそむけつつ準備を始める。

準備といっても、メニューから素材と料理名を選択するだけで自動的にセットされる。





出来上がったら思わず「上手に焼けましたー!」と言ってしまいたくなるような、シンプルな肉焼きセットのところに兎肉が用意された。


かまど部分にある赤い宝石のようなものを押すと火が付き、兎肉がくるくる回る。



オートとはいっても焼き加減だけは選べるようで、横に焼き加減を表すバーが現れ、

生焼け・レア・ミディアムレア・ミディアム・ウェルダン・コゲ肉とある。



無難にバーがミディアムに来たところでもう一度ボタンを押す。




完成したらセットが消え、料理は自動的にインベントリに入るようだ。


試しに取り出してみると、香ばしい匂いと共に、使い捨てのアルミ皿っぽいものに乗せた兎肉のローストが出てきた。



そのお皿は一体何処から??

しかも簡易なフォークまで付属されている。なんて便利な。






-空腹度を回復させるには、食事か専用回復アイテムが必要です。空腹度は時間経過と共に減少します-


-空腹度が枯渇すると、HPとMPが減少していきます-


-また、空腹度が10%を切るとスキルが一切使用出来なくなります-


-こまめに確認するようにしましょう-


説明表示の後、確認すると空腹度のステータスバーが追加されていた。

現実でも食事を取ること忘れがちな私。気を付けなければ。





-チュートリアルクエストが終了しました-


-クエスト報酬として10000G支払われます-


-施設から外へ出ますとイベントフィールド終了となります-


-引き続き≪アナザーユニバース≫をお楽しみ下さい-






あら、これでチュートリアル終わりか。



ではでは、楽しんでみせましょう。この別世界。




お読み頂き有難う御座います。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


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