29 妖精(仮)
少し短めです。
ヘンリーさんの方を見ると、目を見開いて驚いたまま固まっているのが確認できる。
そういう私も、突然の事に身動きが一切取れていない。
変に動いて、なんか被害とか出たりしたらどうしよう?
この光の塊に触れたら爆発するとかじゃないよね?
『ウフフ!キレイナネイロ!キレイナネイロ!』
『アハハ!タノシイ!タノシイ!』
『エヘヘ!オモシロイノ!オモシロイノ!』
『キャハハ!モット!モット!』
これ、は・・・もしかして・・・この光が喋ってるのか?
なんか子供のような高い声で、それぞれが喋っているような・・・?
「・・・ま、まさか・・・妖精・・・?・・・今の演奏で・・・妖精の、興味を・・・惹いた・・・?」
ヘンリーさんが聞き捨てならない事をポツリともらしている。
妖精・・・。
妖精って、あの資料室で読んだアストラル界に住まうっていう・・・?
たしか・・・精霊と違って時たま地上に現れては、気まぐれに生き物と関わっていくってやつだったような?
これが、その気まぐれってやつなのか?
謎現象すぎて頭が追い付いてこないぞぉ?
とりあえず、『もっと!』って言われているから、他にも演奏すれば良いんだろうか?
なんか思考が上手く働いてくれないので、体が動くままに任せよう。
危険な存在なのかもわからないし、思考停止しているし、アンコール(?)貰ってるし。
私がピアノの前に座ると、光の玉もピアノの上で止まった。
かすかに揺れている様がなんとなく、子供が待ちきれなくて足をプラプラさせているように感じられる。なんか微笑ましい。あくまで私の想像だけれどね。
とりあえず、楽しくて明るめの曲が好みのよう。
私がチョイスしたのは七つの玉を集める為の某冒険アドベンチャーアニメの曲。
バックグラウンドを知らなければ、明るいポップスになるかなと思って。
結構アニメソングって便利よね。耳に残りやすいキャッチーなものが多いし、アレンジ次第でクラシカルにもロックにもポップスにもなるし。自由度が高くてアレンジし易いものが多い。
あくまで個人的な感覚では。
少し跳ねるように、強弱を多めに意識しながら弾いてみたけれど、この妖精(仮)さん達は気に入ってくれた様子。またブンブン飛び回ってはキャッキャとはしゃいでいるっぽい。
―スキル【リズム感】がレベルアップしました―
―加護【妖精の気まぐれ:風】を取得しました―
先程まで呆然としていたヘンリーさんも、一曲演奏し終わった時にはなんとか再起動していた。
まだぎこちないけど。
「・・・まさか、生きているうちに妖精の姿をこの目に捉えられるとは思ってもおりませんでした・・・。初代国王陛下も精霊のご加護を得ていたという伝承がございますが・・・あれは本当だったのかもしれませんね。異人の方々は・・・なんとも不思議な力をお持ちだ・・・」
いや、ヤメテ?
なんか存在を過大評価されそうで怖いよ?国王陛下と比べるとか不敬になりそうでないかい?
貴族と関わるとか勘弁ですからね?絶対嫌だかんね!?
私が苦い顔をしている事に気付いて、ヘンリーさんも苦笑い。
「ご不快に思われたのでしたら大変申し訳ありません。カケルさんが望まないのであれば、余計な干渉は少なくともこちらからは致しませんのでご心配は不要でございます。此度の事も私の胸の内にしまっておきましょう」
すっかり上流階級嫌いがバレている・・・。
その上、気も遣わせてしまっているねぇ・・・。
「いえ、その・・・気遣わせてしまって申し訳ない・・・。ただどうにも上流階級の方々には苦手意識がありまして・・・その、傲慢な人ばかりでは無いって分かってはいるんですけどね・・・」
「ふふ、お気になさらず。・・・正直申し上げますと、私も昔はそう思っていたんですよ?今の旦那様に拾って頂くまでは、よく理解もせずに毛嫌いしていたものです。なので、お気持ちは分かります」
「え・・・ヘンリーさんがですか・・・?」
意外だ。
ちょいちょい雑談中に、仕えている一家に対して尊敬と誇りみたいなのを感じさせていたから。
まさかの貴族嫌いな時があったなんて。
「昔、他国で少しありましてね・・・。それで不信感を持ちながらいたんですが、先代と今の旦那様に拾って頂いて、間近でお世話させて頂いて認識を改めました。・・・もちろん一般的にイメージする傲岸不遜な輩もいないわけではありません。ただ、比較的この王国には少ないと言えるでしょう。何せここは不当な権力によって、虐げられて暮らせなくなった人達が初代国王様と共に建国した国ですから。不正や搾取、不当な拘束などは忌避される価値観は今も続いておりますよ」
そんなバックグラウンド資料になかったよ!?何それ!?
結構資料に載っていない事もちょいちょいあるっぽいんだよな。
かといって人に聞いても分からない事もあるし・・・。
ちゃんと現地の人ともコミュニケーション取ってね、っていうメッセージか?
社会人なら事前に資料読むのは当たり前として。
ちなみに妖精(仮)は演奏を終えた後、少ししてから自然と消えていった。
消えていくときに壁を通過していったのには驚いたけど。その場で消えるんじゃないんだ・・・って思ってしまったよ。
そして、不思議現象があったなら何かしらアイテムとか貰えないのか、って浅ましい事を考えてごめんなさい。
初日から色々貰えたから、ちょっと強欲になっているのかも。
リセット、リセット。
さてと、そろそろ一回ログアウトしないとね。
良い加減寝ないと昼夜逆転生活になってしまう。この歳になるとリズム戻すのが辛くって・・・。
いまだに気持ちどこか夢心地なヘンリーさんに挨拶して、お屋敷を後にする。
宿屋に向かう途中で、衣服屋さんとか雑貨屋さんとかを冷やかし入店しながら進む私。
ふむ、お値段的には一応色々買えそう。
けれどまず揃えるべきは、武器防具のほうが良いだろう。
余ったお金で小物を買ったほうが良いはず。
一度ブランドンさんに相談だけしてみようか。すぐに欲しているわけでは無いし。
もしも作ってもらうなら時間もお金も掛かるだろうし、買うにしても、もう少し自分のスタイルがハッキリしてから。
今はどちらかというと戦闘よりも薬関係のスキルを上げておきたいから、しばらくは薬師ギルドに通って、合間でクエスト受けて、それからだ。
宿屋で受付して、ベッドに寝っころがる。
ログアウトする前にやらなければならないことがひとつ。
【妖精の気まぐれ】って何。
あの場では完全にスルーしていたけれど、何か貰ってた!
アイテムでは無かったけど、何か貰ってた!
【妖精の気まぐれ:風】
風の妖精が気まぐれに与えた加護。風の妖精の目に留まりやすくなる。風属性のスキル効果微上昇。
加護。
加護で気まぐれ・・・。大丈夫?
・・・あれ?
確か、妖精や精霊は人間と出会っても、関わりは持たないんじゃなかったっけか?
いや、でも初代国王は精霊と関わってたんだっけ・・・。
それなら妖精から加護を貰ってもおかしくはないか・・・?
でも、資料に偽情報なんてあるのか・・・?
あくまで伝承だから不確定情報ってことか?
うーん?
あ、そうか。
異人だからか。国王もプレイヤーも。
基本的に資料類は現地住人が作って、読むものと考えれば納得いくかも。
そもそも異人が訪れる事自体が稀なんだから、常識が違うってことがあってもおかしくはない。
あくまでこの世界の常識が書かれている、と考えるべきだったのか。
そもそも、旅や冒険を続けていくうちに新たな新事実を発見!ってある意味セオリーよな。
最初の街で手に入れた情報が、この世界の全てだって判断するほうがおかしいのか。
歴史でも国が違えば変わるものだしね。
うーん、頭でっかちに考えないで、もう少し柔らかく受け止めていかないとねぇ。
せっかくの非現実のファンタジー世界なんだから『こんな事有り得ない!』って考えちゃうと楽しめないわな。むしろ、『あんな事やこんな事まで出来ちゃうかも!』くらいのほうが良いかも。
そうとなれば、いつか聖獣や精霊にも会えるかもって気がしてきた。いや、絶対会うぞ!
なんなら、いつかドラゴンの背とかに乗ってみたいね!
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名前:カケル
種族:人族
レベル:1
メイン職業:剣士
サブ職業:薬士
HP:100
MP:35
STR(腕力):12
VIT(体力):11
INT(知力):6
MID(精神):10
DEX(器用):11
AGI(敏捷):10
LUK(運) :10
LP:0P
SP:0P
≪称号≫
【人との縁を結ぶ者】【研鑚する者】【異変に気付く者】
≪スキル≫
戦闘:(戦闘技術・さばき)
【長剣術 Lv3】【杖術 Lv2】
【棒術 Lv1】【体術 Lv1】
【ナイフ術 Lv1】
戦闘:(技・強化)
【回避 Lv3】【器用強化 Lv4】
【ブレイク】【剣速 Lv1】
技能:(鑑定・隠蔽)
【植物鑑定 Lv5】【生物鑑定 Lv1】
【道具鑑定 Lv7】【気配察知 Lv1】
【観察】
技能:(生産・収集)
【調合 Lv1】【採取 Lv5】
【解体 Lv1】
技能:(思考・感覚)
【集中 Lv6】【鍛錬 Lv3】
【リズム感 Lv4】【流れ作業 Lv1】
【精密作業 Lv1】
技能:(抵抗・耐性)
【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】
【抵抗:孤独】
その他
【生活魔法】【愛嬌】
【習得率上昇(小)】【説得】
【指さばき Lv6】
≪加護≫
【妖精の気まぐれ:風】
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