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24 ヒントと試練

なんだかまだ指先がジンジンしている気がする私です。



あの受付嬢は絶対テクニシャンだと思います。なんでセクシーな女性は皆ああも手先が色っぽいのか・・・。

あれって、あからさまなボディタッチじゃないから躱しづらいんですよね。


油断していると主導権握られてしまうから、ちゃんと気を張っていないと。


ただ神経張っていると、その分不意打ちで来られた時にとても敏感になってしまうから・・・。

過剰に反応してしまってそのリアクションを面白がられて、また目を付けられて・・・。




あ、やばい。

苦い思い出がフラッシュバックしそうなので思考シャットアウト。





ノートに先に促されて資料室へ向かう道中で気持ちを切り替える。


ここはゲームだから。大丈夫。

しかも今私、男だし。


ん?男だからやばいのか・・・?



・・・気を付けよう、いつもより。







ノートは用事を済ませてからこちらへ来ると言っていたので、その間に資料を物色。

礼儀作法が記載されていそうなものと、この国の初代国王についての軽い歴史書。


軽くパラパラの捲りながら眺める。

何も本気で礼儀作法を学びたい訳でも無いので、読みこむ事はしていない。


最低限、失礼に当たらない程度で構わないと思うんですよ。

興味が持てないっていうのもあるけれど・・・。



幸いここは冒険者ギルドの資料室だからそんなに本格的な指導書みたいなのは置いていなかった。

あくまで冒険者が貴族と関わる時に覚えておくと良いよってレベルのものが多かったので、そこまで畏まった説明書きが無くて助かる。



資料にも貴族が冒険者にまで、正しい礼儀作法を求めることは少ないって書いてあったので一安心。

まぁ、一番は関わらない事だとは思うけれど。無難でいくなら。



「おまたせ、ごめんね思ったより時間かかっちゃった」


「いえ、そんなに待っていませんよ」



用事を終えたノートが私の隣に座りながら謝ってくる。


「それで、えーとあのお屋敷に誰が入るのか?ってことだったよね」


そう言ってノートが簡単に見取り図を描きながら教えてくれる。



どうやら、あのお屋敷の奥にあった一際大きな館は領主館だったらしく、今は代官が住み込みつつ行政を執り行っているそうなのだが、この街に異人が来るお告げがあったことで領主自らも王都からこちらに引っ越してくる事になったのだとか。


とはいえ、すぐに引っ越してこれる訳でも無く、時間はまだ掛かるけれど今はその準備に追われていて、領主近辺はなかなか慌ただしい事になっているみたい。


おかげで、代官が代わりに移るためのお屋敷の準備に人手が足りず執事のヘンリーさんだけでなく、冒険者ギルドにも人員派遣の依頼が来ていたとのこと。



それで派遣されたのが私ってことか。

じゃあ、あのお屋敷はこの街の代官が住むって事か。それでヘンリーさんは代官付きの執事さんってことなのかな?


ん?そもそも代官って貴族?役人?むしろ役人は全員貴族なのか?



「役人は平民でもなれるよ。特にこの国は多いかな?平民が役人になること。よその国だと貴族しか居ない所もあったりするけどね。ローグ帝国なんかはその最たる所じゃないかな?あそこは階級支配が根強い歴史があるからね。おかげでそう遠くない未来に、何かしら反乱が起こるんじゃないかって冒険者側ではよく噂になってる」


ノートに疑問を投げかけると、さらなる情報が。


帝国ってあの武術大会とか開いているっていう国だよね?たしか北西にある大陸の国だったような?

ちょっとうろ覚え。


もしかして北西の大陸で戦争だったり、小競り合いが起こっているって記載されていたのは帝国が原因か?

ますます近寄りたくないな・・・。



「まぁ、カケルが礼儀作法を覚える事があるとすれば、他国へ行くようになってからじゃない?少なくともこの国にいる貴族相手なら今の対応で十分だろうね。あちらは君達に対して畏まってくるかもしれないけれど、今の君の態度なら十分合格点だよ」



ほっ。それなら良かった。

実際私が他国へ出るのなんて、相当先の事だろうからあんまり焦らなくても良さそうだね。


あ、でも倭国には早めに行きたいんだった・・・。

でも帝国でないなら大丈夫そうかな?日本文化なら多少はわかるしな。



「ちなみになんですがノート。倭国へ行くのに何か方法を知りませんか?指導員のノーランさんに少しだけ話は聞いたんですけど」


「倭国・・・。う~ん・・・。キミ、ローザの事どう思ってる?」


「・・・はい?」



なぜここであの受付嬢が出てくるんです?

そしてどう思うとは?




「ローザさんて、さっきの受付嬢の方ですよね?どう思うとは・・・?」


「たしかローザって倭国の人の血が入ってるって言ってたから。それが親とか祖父母とかなのか、はるか祖先の話なのかはわからないけれどね」


「そうですか・・・」


何かヒントはあるかもしれないけれど、あの人苦手なんだよなぁ。

ああいう、さりげないアプローチして人を魅了していくタイプの人はどうも・・・。


男女共に経験あるけれど、私あんまり魅了されないのよな。ドキドキはしちゃうけれど、ハマる事は無いというか。


たぶん、これは桜子で耐性が出来ているからだと思ってる。

あの子も大概、人を魅了していくタイプだからね。




ただ、そういう人って思い通りに動かない人に執着する傾向が・・・。



「実際、倭国の情報を求めてローザに話を聞きに来た人がいないわけじゃないんだ。でもあの子は何かしらヒントになることを渡す相手を見極めるから、聞けば答えてくれるって訳でもないんだ」



ふむ。何かしらの資格が必要なのか?

それともシークレットクエスト系だろうか?だとすればもう少し情報収集は必要か。



「まぁ、基本はローザが気に入るかどうかが分かれ目っぽいね。今まで少なくとも、あのローザに魅了されちゃうようなやつはすぐ追い返されていたし」




それプレイヤーには無理ゲーでは?


あの人に魅了されないなんて、かなり厳しくないですか?どんな試練なの?

少なくとも今下にいる人達は全員アウトではないですか・・・。



「その点、君は魅了されていなかったし、第一関門は突破しているよね。ローザも少し興味持ったみたいだったから」


チャンスはあるんじゃない?とノート談。



え・・・。無理。

絶対からかわれるやつでしょう?見極める手段だとしても、受け流せる自信までは無いのよな。

ちょっと精神修行に行ってきてからでも良いかな?




「地道に情報を集めることにします・・・。あとは天運に任せようかと・・・」


やっぱり無理な気がする。




「はっは!ローザは決して悪女とかでは無いよ?そこまで警戒しなくても大丈夫。徐々に慣れていけば良いんじゃない?そんなにすぐに倭国へ行きたいって訳でも無いんでしょう?」


「・・・そうですね。そこまで焦ることでもないです。もし少しでも仲良くなれた時が来たら考えてみます」


「うん、それくらいで良いと思うよ?そもそも情報が手に入っても行けるかどうかわからないしね」



確かに。


焦っても良いことないもんね。目的は技術指南と刀を手に入れる事だから、期限があるわけでもない。

のんびりいこう。





「そういえばノート。この街への流通経路ってどういう形なんですか?これだけ多くの異人が来て、なにか不具合とかはあったりするんでしょうか?」


倭国の商人ルートもあるしな、と思い出したところで前に疑問に思ったことを聞いてみる。



「基本は転移陣を使っているね。陸路で来るときはフィールドボスを倒したことがある人達でないと街間は移動出来ないから。稀に冒険者を護衛に付けて、陸路で来る商人もいるけれど。あと不具合はそうだね・・・。予想していたよりも人数も多かったし、行動がかぶっているから、少し消耗品関係が危うくなりつつあるって聞いてる。回復薬関係が特に。もちろん上方修正して仕入れてはいるけれど」



ふむ。

やっぱり需要供給バランスが存在しているっぽいね。


それにしても回復薬かぁ。

私まだ一度も使っていないんだけれど。フィールド行っていないから・・・。


うーん、これは薬士関係も手を出しておくか?

今ならお手伝い程度でも受け入れてくれそうな雰囲気。


一応私、サブが[薬士]ジョブだもんね。一度くらい生産関係の経験しといた方が良いのかも。




「ノート、どこかで[薬士]関係の仕事を受けられるところ知りません?私、一応サブで[薬士]を取っているので少しでもお手伝い出来れば、と思うんですが?良い経験になりそうですし」


「ジョブ持ってるんだ?それなら歓迎されるよ。たしか今クエストにも来ていたはずだから見てみて?今なら薬草の納品さえ推奨されているし」


「それなら早めに行ったほうが良さそうですね。早速今から見てきます」


「うん、今は24時間体制で生産しているはずだからこの時間でも全然大丈夫だと思う」


「・・・思っていたより切迫しているんですね。では、行ってきます。また今度来ます」


「うん、いつでも」






あ、またあの視線にさらされるのか・・・。



今度はメニューから受けようっと。







お読み頂き有難うございます。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


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