表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/89

25 薬師ギルド

あまり目立たぬように隅っこの方でメニューをいじりつつ、目当てのクエストを探す。



幸いみんなの視線はあの受付嬢に固定されていたらしく、階段から降りていっても悪意ある眼差しを感じることは無かった。


・・・むしろ、先ほどよりも少し沈静化したような?




さすがにちょっと落ち着いてきただろうか。

それなら良かった。あの人のシフトがどうなっているか分からないけれど、いつまでもこのままはキツイ。

ただでさえ昼間は混みあっているのに。




無事にクエストをメニューから受けて、足早にギルドを後にする。



目的地は薬師ギルド出張所兼、薬屋。


街の南側に位置していて、なんとなくのんびりとした雰囲気が続いている地域だ。

中心地に近い方には建物がいくつかあり、そこに薬屋もあるのだがさらにその奥側は田畑が広がっている。


恐らくは、あちら側には農業ギルド?ファーマーギルド?があるんだろう。



目的の薬屋に着いたものの、まだ明け方の時間だというのに人が忙しなく動いている気配。


ちょっとためらいつつも扉をノック。

一応ギルドに用事であれば裏口から、という案内があったので回ってきた。



バタバタと音を立てながらこちらに人が回ってきている気配がする。


「はーい!!誰ー!?ちょっと待ってー!!」


扉の向こうからは少しイラついたような若い女性の声が。

忙しい時の来客って邪魔でしかないものね。これはタイミングミスったかも。



「――!!!―――!!ったく!あーゴメン、お待たせ。何か用?」


軽い怒鳴り声みたいな音が聞こえたと思えば、唐突に扉が開けられた。

現れた女性は、小柄で細身、眼の下は隈が出来ていて髪の毛もボサボサ。

一体、何徹したのか・・・疲れていることが一目で分かるほど背負っているオーラが暗い。



「・・・っあ、すみません、冒険者ギルドからクエストを受けてきました。カケルともうし・・・」


「やっと来た!あんた一人だけ!?まいいや、ちょっとこっち来て!!」


私の言葉をさえぎって腕をつかみながらぐいぐいと引っ張られていく。

連行されながらも周りの様子を見ると、3人の男性が死にそうな顔で作業しているのが確認出来た。

一応私に軽く視線を向けるけれど、軽く睨むようにしてすぐ視線はそらされる。



あれは、ステージ3手前くらいかな・・・。


私基準の疲れ度で判定。


ステージ1:体が怠くなってきて、思考は正常なんだけど単純ミスが増えてくる(主に18~24時間経過)


ステージ2:些細なことでイライラして、物の扱いが雑になり視野が狭くなってマルチタスクは不可能状態。(主に28~36時間経過)


ステージ3:被害妄想や理不尽が横行してきて、テレビや外を歩いている人達にさえ軽い殺意が芽生えてくる。(主に40~48時間経過)


ステージ4:一周回って、イライラは収まって理性的な判断が可能に。諦めの境地に入る。時間の流れも遅く感じる程で、一気に作業が進む。そのかわり体は当に限界なのでいつ意識を失うか一か八か状態。(主に50~56時間経過)




途中で少しでも仮眠を取れれば、話は変わってくるんだけどね。

まぁ、あくまで私個人の基準判断だから目安です目安。




腕をつかんだまま引っ張られていったのは、薬草と思われる植物で埋め尽くされた物置小屋みたいなところ。

なかなか匂いがキツイが我慢できないほどではない。



「んじゃ、薬草の取り分け作業お願い。一応見本見せるね、こうやって根っこが付いている物は根っこだけ切り取ってこっちに入れて。今必要としているのはこっちの葉っぱの方、茎とかゴミとか土とか入らないように葉っぱだけ切り取ったらここに入れて。ナイフはこれね、なんかわかんない事あった?」


「いえ、大丈夫です。あ、切り取ったものはどこかへ運びますか?」


「いや、そのうち誰かが取りに来るから。その時はまた新しい箱に入れていって」


「わかりました、大丈夫です」


「じゃ、よろしく」


そう言って、すぐにどこかへ行ってしまった。

ちょっと目が怖くて、クエスト内容とかの話は出来なかった・・・。


最悪、ヘンリーさんには連絡だけ入れておこう。

昼前に抜け出すの難しそうな雰囲気だもんな。ちゃっかり連絡先聞いといて良かった・・・。



作業そのものはとても単純作業なので問題はない。

一旦根っこを切り取るのは後回しにして、先に葉っぱを切り取る作業だけ集中。


こういうのやっていると、昔やっていた派遣バイトのチラシ折込とか写真をフィルムに入れる作業とか思い出す。得意だったんだよねぇ、こういうの。


周りの音一切聞こえなくなるほど集中してしまって周りに引かれた事もあるけど。

たぶん、話聞いていない、口開かない、眉間に皺寄った表情、これが揃っちゃってたんだね。



恐らくは今の私もそうなっているだろうけど、幸い一人作業なので周りを気にする必要がない。

こういう環境なら私は止まらんぞ。




ナイフで葉の部分を切る、木箱に入れる、葉を切る、木箱に入れる、葉を切る、木箱に入れる。

茎と根の部分は一旦横に置いておく。

次の株を手に取る。

葉を切る、木箱に入れる、葉を切る、入れる、葉を切る、入れる。

横に置く。

次の株。

葉を切る、入れる、葉を切る、入れる、葉を切る、入れる。

横に置く。

切る、入れる、切る、入れる、切る、入れる。



切る、切る、切る、入れる。

切る切る切る、入れる。

きるきるきる、入れる。

キルキルキル、入れる。


―スキル【ナイフさばき】を取得しました―

―スキル【植物鑑定】がレベルアップしました―



あ、木箱いっぱいになっちゃった・・・。


立ち上がって、木箱を少しずらし新しいものと入れ替える。


少し手首と足首を回してもう一度座りなおす。



キルキルキル、入れる。キルキルキル、入れる。キルキルキル入れる。キルキルキル入れる。


―スキル【ナイフさばき】がレベルアップしました―

―スキル【指さばき】を取得しました―

―スキル【器用強化】がレベルアップしました―

―スキル【植物鑑定】がレベルアップしました―




「おい、薬草貰っていく・・・ぞ?」


ん?あぁ、切ったやつ取りに来たのか。


「ええ、どうぞ。そこにある2箱はもう切り終わっているやつなので。私も運びましょうか?」


「・・・お、おぅ」



少し首が痛いかも。軽くまわしつつ木箱を持ち上げる。

いや、しかしなかなか終わらないものだね。一体木箱何個分あるんだろうか?

2箱分終わったところで少しスペースは出来たけれど、まだまだ薬草でぎっしり状態だもの。

まぁ、まだ40分くらいしか経っていないものな。




「おい・・・、新しいの持ってきた。置いておくぞ」


「おぉ、助かる。あ、こっち側に置いてくれ・・・る、か・・・?」


こっちね、了解。

作業していた男性に言われた場所に私も木箱を置いて、また物置へ戻る。


よし、少し気分転換出来た。気合いれていきましょ。





「おい・・・あいつ何もんだ?なんでもう2箱終わってんだよ・・・」


「俺も取りに行って驚いたんだよ・・・。普通、1時間で1箱が良いとこだよな・・・?」


「あぁ、だよな・・・?つか俺1時間でも出来た事ねぇよ・・・」


「・・・俺も。最速で1時間10分だった」


「俺、1時間半・・・」




「お前ら、普段タイムアタックしてたん?だから遅いんだよ」


「じゃあお前どんくらいで出来んだよ!?」「そうだよ!1時間で出来んのかよ!?」


「・・・55分」


「「お前もタイム計ってんじゃねぇか!?」ってか、それでもあいつよりだいぶ遅いんだよ!」





なんか3人がちょっと騒がしい。扉閉めちゃったから何言ってんのかはわからないけど。

でも最初の死にそうな顔しているより良いか。騒げる元気があるなら大丈夫でしょ。



その後も次々に葉を切り取っては木箱に入れていく。


途中で、横に置いていた根っこと茎の部分が邪魔になってきたので、1箱終えたら根っこも1箱やるようにした。交互にね。




―スキル【ナイフさばき】がレベルアップしました―

―スキル【指さばき】がレベルアップしました―



―スキル【指さばき】がレベルアップしました―

―スキル【植物鑑定】がレベルアップしました―



―スキル【ナイフさばき】がレベルアップしました―

―スキル【指さばき】がレベルアップしました―

―スキル【器用強化】がレベルアップしました―




―スキル【集中】がレベルアップしました―

―スキル【指さばき】がレベルアップしました―



―スキル【植物鑑定】がレベルアップしました―





―スキル【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】【抵抗:孤独】を取得しました―

―スキル【指さばき】がレベルアップしました―




―スキル【ナイフさばき】がレベルアップしました―

―スキル【ナイフさばき】が【ナイフ術】に変化しました―




あれ・・・木箱が無くなっちゃった・・・。

新しいの貰いにいかなくちゃ。


物置から出ていくついでに、木箱を2つ重ねたものも運ぶ。


「すみません、こちらもここへ置いても大丈夫ですか?」


先程の男性に聞いてみる。



「・・・おぉ、じゃあここに頼むわ」


「はい。それと、新しい木箱ってどこにありますかね?入れるものが無くなってしまって・・・」




「・・・は?え?・・・ど、どういうことだ?あそこに10箱はあったろ?」


「ええ、ありました。その10箱が終わってしまったので、新しいのが欲しいのですが・・・?」



何か、男性がフリーズしてしまった。

仕方ないのでもう二人の方を向けば、こちらも口をポカンと開けて固まっている。


あれ?

もしかしてバグった?いや、私の身体は動く。あれか?AIだけバグったやつか?困った、どうしよう?

運営に報告した方が良いのだろうか?



「あれ?アンタ何してんの?・・・こいつらもどうしたの?」


私が困っていると奥の部屋からあの女性が出てきた。

良かった、バグってたわけじゃないのか。



「ええと、物置にあった木箱の分が終わったので、新しい木箱はどちらから持って来れば良いんでしょう?」






「・・・は?」

男性3人と同じように固まった女性。





あれ?やっぱバグった?






―――――――――――――――――――

名前:カケル

種族:人族

レベル:1

メイン職業:剣士

サブ職業:薬士


HP:100

MP:35


STR(腕力):12

VIT(体力):11

INT(知力):6

MID(精神):10

DEX(器用):10

AGI(敏捷):10

LUK(運) :10


LP:0P

SP:0P


≪称号≫

【人との縁を結ぶ者】【研鑚する者】【異変に気付く者】


≪スキル≫


戦闘:(戦闘技術・さばき)

【長剣術 Lv3】【杖術 Lv2】

【棒術 Lv1】【体術 Lv1】

【ナイフ術 Lv1】


戦闘:(技・強化)

【回避 Lv3】【器用強化 Lv3】

【ブレイク】【剣速 Lv1】


技能:(鑑定・隠蔽)

【植物鑑定 Lv5】【生物鑑定 Lv1】

【道具鑑定 Lv2】【気配察知 Lv1】

【観察】


技能:(生産・収集)

【調合 Lv1】【採取 Lv1】

【解体 Lv1】


技能:(思考・感覚)

【集中 Lv5】【鍛錬 Lv3】

【リズム感 Lv2】


技能:(抵抗・耐性)

【抵抗:閉所】【抵抗:暗所】

【抵抗:孤独】


その他

【生活魔法】【愛嬌】

【習得率上昇(小)】【説得】

【指さばき Lv6】


お読み頂き有難うございます。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


感想、報告、レビューお待ちしております。


ご協力お願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ