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16 初回限定特典

今はとりあえず、この【長剣術】のスキルを上げていく事に集中しようか。



って、【足さばき】と【回避】のレベル上がってるー!!

やった!しかも2レベルも?

マジですか・・・。


最初だから多少は上がりやすいのがセオリーとはいえ、時間を見れば30分くらいしか経っていない。

これはなかなか嬉しい誤算。


数字に表れてくれるとやる気も上がります。どんどん行きましょう!



「ん?なんだスキルレベル上がったか?良かったな、んじゃ熱が冷めないうちに続き行くか!次はお前が攻撃役な。散々()()とは思うけど、一応見本みせっから」



そう言って人型の的に向かっていくノーランさん。

ええ、しっかり()()いました。おかげで、スキルリストにですね【人物観察】なるものが出て来たんですけども・・・。

【人物鑑定】とは違うものなのかな?下位互換?



ちょっと確認したいのにノーランさんは先に行ってしまう。


もう、後で確認しますよ・・・。





「おっし!んじゃ基本的な、切り下げ、切り上げ、切り払い、突き、をやるから見といてな」


「はい」


私たちが持っている、この木剣は片手でも両手でも扱えるくらいの大きさの剣だ。

こういうのって何て言うんだっけ?

普通にロングソード?もう少し長いものがバスタードソードにあたるのかな?


あぁ、洋ゲーはあんまりやらなかったから知識ないんだよなぁ。




ノーランさんは初めに両手で剣を持ったまま、的に向かって剣を当てていく。

今は分かりやすく、ゆっくりと少し大げさめにやっているけど、それでも的が壊れそうな力強さ。


まさに叩っ切るって言う感じ。

その筋肉は伊達じゃないってやつですね。



一通り見本を見せ終わったところで次は私の番という事になった。

先程のノーランさんの動きを思い出して、ひとつひとつ的に当てていく。


さすがに私の力では的はビクともしていない。ちょっと悔しい。



「おう、まあまあイイんじゃねぇか?初めてにしては上出来だろ。そんじゃ、次は俺が先にこうやって防御すっから、お前はその防御されている所に叩き込んで来い。どう切るかは自分で考えながらな」


格闘技とかでいうミット打ちのようなものだろうか。


言われた通りにノーランさんが剣で防御しているところへ打ち込む私。

ノーランさんの屈強な身体と防御の構えは、大きな岩のようで全く微動だにしない。


結構全力で打ち込んでるんだけどなぁ。


せめてスピードは上げられるようにしたい所。

無駄な動きは省いて・・・力の動きを逃さないように・・・少し回転させるように・・・腕よりも股関節を意識して・・・もっと重心を意識して・・・


もっと、もっと・・・


良い。良いね。さっきより良い音が鳴るようになってきた。


このまま、もっと・・・。リズミカルに・・・







バキャッ!!



え?


あれ、木剣折れた!?


夢中になっていた意識が急に浮上してくる。

手元には真っ二つに割れた木剣が・・・。



「あちゃー・・・。耐久度0になっちまったな!わりぃ、俺も楽しくなって声掛けるタイミング逃したわ!スマンな!」


あぁ、耐久度。

その存在すっかり忘れていました。

てっきり木剣が折れるくらい強かったのかと・・・。そんなこと有り得ないか・・・。



「いえ、私は気付いてもいませんでした。夢中になりすぎて周りが見えていませんでしたね、気を付けます」


いまだに耳の奥で、木剣が打ち合うカンッカンッという音がこびり付いている。

少し頭を振るようにしてリセット。



「ま、良い頃合いだったよな。しっかし、お前やっぱおもしれぇな!初回でここまで仕上げてくるヤツ滅多にいねぇよ?速度もなかなかだし、剣筋もちょっと読みづらいとこあっから、対人戦もイケそうだな!」


対人戦・・・あるんですか?出来れば避けたいんですけど・・・。

でも、闘技大会があったって言ってたか。えぇ・・・今は無いなぁ。ちょっと恥ずかしいし。



「んじゃ、次な!今から三つ、スキルの技見せるからよく見といてな。一応角度変えて三回ずつ放つからな」


「はい」


スキルの技とな。

そういえば、私【長剣術】以外持ってないから、技とか一切知らない。

やっぱ多少は持っておくべき?戦闘に偏るつもりは無かったからなぁ・・・。



「まずは【スラッシュ】な。これは攻撃力特化の技だ」


そういってノーランさんがスキル技を放った。

使用しているのは木剣ではなく、刃の付いた真剣だ。


青白い光を纏った剣が、勢いよく振り払われる様はなかなか格好良い。

三回目では人型の的に向かって放たれたのだが、いとも簡単に二つに切れた。

割れたんではなく、切れた。


おそらくは名前から察するに斬撃タイプの攻撃なのかな。




「次は【ブレイク】な。これは攻撃力が上がるんじゃなくて、相手の防御力を下げる技だ」


今度は剣は光らず、的に当たった時に赤いバリアっぽいエフェクトが飛び散っていった。

的自体は四分の一程が粉々になっている。

これは・・・どっちだ?ノーランさんの膂力なのか、スキル技の効果なのか・・・?




「んで、最後が【パリィ】だな。これは相手の攻撃をタイミング良くはじくと、相手に大きな隙を生み出せる技だ」


そういって、訓練場の端の方へ移動する。

ついていくと振り子のようなものがたくさん付いている設置物が。


「んじゃ、いくぜ?」


そういってスイッチを押すノーランさん。

すると振り子が一つだけ大きく揺れだす。


ノーランさんの顔あたりに振り子が来ると、剣が触れるか触れないかというところで、黄色い火花が飛び散って一瞬で大きく弾き飛ばされていった。


今、パリィっていった!本当にパリィって音が鳴った!!

その後もランダムで他の振り子も揺れだしては、ノーランさんに大きく弾かれていく。



「よし、こんなもんだな!とりあえず理解は出来たか?」


「はい、有難う御座います」


おかげ様でモチベーション上がりましたとも。スキルポイント溜めなきゃ。



「そんでよ?今回の訓練はここでひとまず終了ってことになるんだけど、初回限定って事で今の3つのスキルのうち1つ授けてやれるんだわ。何が良い?」



なんと!

そんな嬉しいサービスがあるんですね!


あ、そういえば最初に男性のギルド職員も言ってたっけ?すっかり忘れてた。



うーん、1つとなるとなかなか迷うなぁ。何が良いかなぁ。



「一応だけどよ、説明すっと、【スラッシュ】は正当派。そこから派生していくのも基本は攻撃主体でアタッカー系でいくヤツ向きだな。【ブレイク】は攻撃力が他で補えるヤツにおすすめ。あとはパーティあんま組まないヤツとかな。【パリィ】の派生先は盾役(タンク)向きだな。いずれは全方向でも対応出来るようになったりするな。個人的にオススメは【ブレイク】かな、お前なら。結構使い勝手良いぜ?」



ふむ。

正直迷っていたのは【ブレイク】か【パリィ】だったんだけど・・・。

それならおススメにしようかな。弱体化スキルってソロプレイには重要だよね、きっと。



「では、【ブレイク】でお願いします。【パリィ】と迷ってたんです」


「おうよ。まぁ、お前なら当たる前に避けるほうが合ってんじゃねぇか?そっち系も訓練で手に入るぜ?担当の指導員見つけられればだけど」


「見つけ・・・?あれ?もしかして初回限定って指導員ごとにあるんですか?」


「そういう事。中には滅多に、ここに現れねぇヤツもいんだけどよ・・・。こればっかりは運だな」



俺はちゃんと毎日来てんだぜ?と胸を張るノーランさん。陽気で豪快だけど仕事に真面目なタイプですか。ま、だからこそ素通りしていく異人に苦い顔していたのかな。





メニュ―を見てみると、しっかり【ブレイク】取得の文字。やった!!


「そんじゃ、お疲れ!俺は一旦戻るけど、もう少し何かしたいんだったらここは自由に使って良いぜ?他の指導員が来るのは基本昼前だから、実質貸切だ」


「それはありがたいです。是非使わせて頂きます」


「おう、そんじゃまたな!」



ニカッと笑って帰っていくノーランさん。


そういえば最初に来た時にもう一人、弓を扱っていた女性が居たけどいつの間にか居なくなっていたな。

基本は昼前に来ないと皆いないのかな?




訓練場のギルド側の壁には色々な武器が立て掛けられている。

これは訓練場の備品だけど自由に使って良いそうだ。ちなみに訓練場から持ち出すことは不可能だそうで。





色々あるけど、まずは復習しとこうか。

さっきは木剣でずっとやっていたから、これからは真剣を使って一通り。


ここは訓練場だし危険も無い。いっそ深く集中して体に染み込ませるまで続けようか。



人型の的に向き直り、さっきまでの感覚を思い出すように剣を振っていく。

たぶん私の戦闘スタイルはスピード重視の回避系アタッカーになるだろうな。面白そうだ。


せっかくやるなら色んな事体験してみたいから、こだわるつもりはないけれど、自分の基本スタンスくらいは把握しておかないとね。

あれこれ手を出してスキルとか迷走する未来が、すぐそこに見えている気がするけど・・・。





食事とファッション以外はものすごく迷うタイプの人間です。





お読み頂き有難う御座います。

誤字脱字報告受け付けております。是非ご指摘ください。


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