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10 クエスト報告

ゴミ拾いしつつ戻ってきました〈まんぷく亭〉に。


女将さんには時間遅くなるって言ったけど、結局一旦切り上げてしまった。

まぁ、仕方ない。先に教会行きたいし。



「ただいま戻りました」


「おんや?おかえり、早かったね。もっと掛かるかと思っていたよ」


「ええ、キリが良かったので一旦切り上げてきました。ただ回りきれていないのでまたクエスト受けたいと思っています」


「ふふ、そうかいそうかい。あんま根詰めるような事でもないし、好きにしな。やってくれるのは有難いからね。じゃあ、袋貰っていいかい?確認したら報酬支払うからね」



女将さんにゴミ袋を渡すと中を調べるために奥の部屋に入っていった。

そのまま待っていると、奥から女将さんが慌てた様子で出てくる。



「ちょ、ちょっとアンタ!何だいあの量!いったい何処で拾ってきたのさ!」



え、やっぱり鍛冶関係の鉄くずは反則だったのかな?


「ええと、やっぱりダメでしたか?工房地区を回ってきたんですけど、鍛冶屋さん二軒でゴミがあるとのことだったので引き取ってきてしまいました。鉄くず関係はほとんど拾ったわけじゃないんです」


「・・・スミス兄弟んとこだね?あんのバカ兄弟!こんなになるまで溜めとくなんて、まったく!」



一転して女将さんが鬼の形相に。

これは・・・たぶん、いや、間違いなく。怒られるのが怖くなって溜めこんだが正解だな。


残念ながら、女性相手に黙っているっていうのは悪手中の悪手です。特に女将さんのような、お世話好きのいわゆるオカンタイプには、小さなことでもくだらない事でも報告・相談しておいた方が傷が浅くて済むのですよ。

まぁ、分かっていても出来ないものですけどね。ええ、私もよく友人に怒られます。


心の中でブランドンさんとウィリアムさんに忠告する私。

頑張って、スミス兄弟。



「アイツらこんだけ溜めこむなんて、一体どういうつもりなんだか・・・。アンタにゃ感謝しないとね、アイツらもアタシもさ。西側にあんだけゴミがあるなんて把握出来てなかったよ、ありがとね。助かったよ、怪我人や病人が出る前で良かったよ」




いえ、もう怪我人出てます。お弟子さんの一人が只今絶賛治療中です。

ついさっき内心で女性に黙っているのはダメと二人に忠告したけれど、やっぱり私も言えません。


だって怖いもん。



「ふーん?その顔だと何かあったみたいだね?」


ギクッ!!


え?え?私、顔に出てんの?

あれぇ?頑張っていつもより意識して表情取り繕っているつもりだったんですけど!?

もしやバレバレなの?



「え?えーと、いや、なんと言いますか・・・。いや、何かあったか言われましても・・・」


「ははっ!アンタそれじゃ肯定してるようなもんだよ?・・・ふふっ、分かったよ。ヒドイ事になってないんなら構わないよ、アンタの責任でも無いしね。ただ、アイツらはきっちりお説教だ」


自分でも分かるほど眼が泳いでしまった・・・。

女将さんは笑って許してくれたけど、しわ寄せがブランドンさん達にいってしまいそうな予感。

うん、頑張れ。




「じゃあ、アンタには報酬を支払わないとね。はいよ、1000Gだね。このクエストは上限が決まっててさ、支払えるのはそれだけなんだ。悪いね」


むしろ高額で驚いている私です。



「逆に高くありませんか?私はむしろもっと低いと思っていました、ギルドでもそう言われましたし」


「あっはは!何だい?100Gくらいかと思ってたかい?まぁ、屋台街で終わらせていたらそんなもんだったろうね。さすがに袋の容量ギリギリまで入っていたからね、その分はしっかり支払うさ」



あれ?最初説明された時にいくら入れても一杯にならないって言ってなかったっけ?

聞き間違い?勘違い?



「うん?・・・あぁ、袋の事かい?うっかりしてたんだけどね、前まで使ってたのは容量無制限ってやつなんだけど今あるのはランク落ちの魔法袋(マジックバッグ)なんだよ。アタシも確認して思い出したんだけどさ!ごめんごめん」



女将さんに少し聞くと、魔法袋はランクがあり、それによって容量や時間経過具合が変わるとのこと。

1~10まであって一般的に魔法袋と言われるのはランク3以上のもの。


今回使っていたのはランク6のもので、ランク落ちとは言ってもなかなか良いものらしい。


ギルドで街中クエストがランクアップに必要条件となった事で、定期的にゴミ拾いがされるようになって容量無制限でなくとも事足りるようになったのでこちらに変えたんだとか。


大体が顔見知りの冒険者がクエストを受けてくるようで最初の説明するのが久しぶりで、すっかり忘れていたという女将さん。



「実際ランクによってどれくらい違うのかなんてアタシは詳しくないんだけどさ。前使ってたやつも容量無制限みたいなものって言われてたから本当は違うのかもねぇ。まぁ、使えりゃなんでも良いさ」




女将さん・・・色々アバウトですね。



でも、魔法袋を複数持っているという事は普通に普及されているのかな?

出来れば私も一つ欲しい。


インベントリがあるものの余裕は欲しいものです。

インベントリは時間経過も無いし、重量も感じないけれど数に限りがある。

(わく)×99個まで同じものはまとめて入れられて、それが100枠。


基本素材系は集めたがりの私にとって、いずれ満杯になる予感しかない。


自宅や鞄には物が少なく、スッキリさせているのにゲームだと何故かこう・・・。

むしろ現実では物を溜めこむ事が出来ない反動のせいかも?




「冒険者ギルドならある程度ランクを上げると道具とかは多少割引が効くって言うね、それでもかなり高くつくよ」


女将さんにそれとなく聞くとそんな返答が返ってきた。


どうやら魔法袋を作っているのは錬金術師らしく、とても貴重なのだとか。

少なくともドルティア王国には五人しかいないらしい。せっせと生産してくれているらしいけど、出来が良いものは貴族がすぐ買い集めてしまうらしい。


あとはダンジョンで稀に手に入るけど、確率はかなり低い。そもそもこの国にはダンジョンは無く、ダンジョン産は滅多にこちらへ回ってこない。


需要過多でまったく供給が追い付いていないんだとか。

そのおかげで魔法袋の値段も昔に比べどんどん値上がりしているらしい。


結局のところ、かなりお高い買い物になるのは避けられないということか。



うーん、なんとかやりくりしていくしかないな。

スキル【錬金】取っていれば、いずれは自作出来るようになるんだろうか?


将来的には取っても良いかもな。

でも錬金術師なら魔法要素入りそうだな、難しいかも。


まぁ、スキルも魔法袋も本当に必要になった時に改めて考えよう。

他にも方法が出てくるかもしれないし。






さて、クエスト報告は終えたので女将さんに挨拶して教会へ向かおう。

連絡先交換出来るカードを手に入れなければ。




そうして戻ってきた最初の噴水広場。

相変わらずプレイヤー達が出てきたり消えてったり。それでも最初よりは減ったかな?



広場の北側に位置しているのが教会の建物だね。

ログインした時は階段を掃除していたシスターがいたけど今は見当たらない。


レトロゲームだと、朝も昼も夕方もずーっとNPCは同じ場所で同じ動作をしているところだけれど。






教会の扉は開け放たれていて、階段の脇には花が飾られている。

白っぽい石造りで統一されていて、なんとも神聖な雰囲気。



中へ入ると、円状の大広間があって中心にはなにやら魔法陣的なものが描かれている少し盛り上がった土台が鎮座している。


入り口付近による大まかな案内図によると、大広間にあるのが転移陣のようだ。


そのまま突っ切った正面の部屋が礼拝堂となっていて、主に礼拝に訪れた人達はそちらへ向かっている模様。

右側に入っていくと教会の事務所になっているようで、そこには教会ならではの資料の閲覧やお布施、そして目的である連絡先交換カードが発行出来る場所みたいだ。


対して左側には併設された孤児院と大きな庭がある。

エイダン君が居たのはここかな?


他にも色々と部屋やスペースがあるみたいだけど、ここには記載されていない。





素朴な疑問だけど、信仰の対象は創造神なのだろうか?それとも人間が作り出した偶像の神?

いや、むしろ精霊信仰とか聖獣信仰とかの方があり得るのかな?



後で確認してみようか。

今はカード発行して工房地区へ先に行きたい。



右側の部屋に入るとシスターっぽい人が何人か。


アンティークな重厚な机に座っているシスターに話しかけ、ちゃっちゃとカードを発行してもらう。

使用方法はお互いのカードを触れ合わせて登録すればOK。


その後は音声通話もメールも出来るらしい。

名刺代わりってことかな。


現地住人との連絡交換にはこれが必要なんだろうけど、プレイヤー同士は必要無いのかな?

少なくともこの部屋にプレイヤーの姿は見られない。


皆来ていないってことはそういうことだろう。




対応してくれたシスターにお礼を言って教会を後にしようとする私。



お布施するのはもうちょっと待ってください。さすがにまだ余裕が無いのです。

孤児院があるなら寄付したいところだけどね、エイダン君とも知り合ったことだし。





いや、だから待っててば。



あの、まだ今日来たばっか・・・。





・・・くそう。



お布施受付の机に座っているシスターの無言の訴えに負けて、そっとお金を入れる私。


輝かんばりの笑顔でお礼を言われてもですね・・・。





かわいい。



くっそ!!

かわいい子には弱いんだ!私は!

綺麗な人にも弱いけど!




思わぬ視線攻撃に負けた私を見て、さっきカードを発行してくれたシスターも苦笑しながらお礼を言ってくれた。


いえ、良いんです。

元々しようと思ってましたから。ただ、もうちょっと余裕が出来てからにして欲しかった・・・。




まぁ、ゴミ拾いで思ったよりお金貰えたから問題はない。

そう思うことにしましょう。


ただ、これから教会に来るときはしっかり所持金チェックしとこう。

どうせ私は次もあの視線に負けるから。間違いない。






さて、気を取り直して。

工房地区へ行って兄弟と連絡先交換して、出来たら女将さんにも聞いてみよう。

ついでに食事取ろうかな。そろそろ空腹度的に取っといた方が良さそうだ。







ゲームしてると「え?もう朝・・・?」ってよくありますよね。今の私がそれです←





お読み頂き有難う御座います。

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