0-48 謝礼の代わり
本日2話目です。
ご注意ください。
あとから追いついてきた牢付馬車に乗せられる賊たちは、保安隊長のミヴァリィと一緒にいたシーナを睨みつけ、このアマがぁ! 覚えてやがれ! と好き勝手罵っていた。
「隊長さん、あいつら一生犯罪奴隷に決定よ。一番キツイ所に放り込んでね」
「あ、ああ……」
畏怖される隊長。
「さて、じゃあそちらにも行くか」
「ええ、そうね。……その前に何か食べさせて。休憩なしにここまで走ってきたからおなかペコペコなの」
そう言って置きっぱなしだった袋の中から、水と鹿や魚の燻製等を取り出すシーナ。
呆れてその様子を見ていた保安隊の面々も、それに倣って昼食を摂る。
「なかなか豪勢な昼飯じゃないか。旅人……ではないな。冒険者か」
そうよ、と簡単な返事だけ返すシーナに隊長は質問を続ける。
「3人で抑えきれるかどうかって言ってた割には、落ち着いてるな」
「まあ、まだ陽が高いからね。人数差もあるから、暗くなったら村の応援くらいじゃ心許ないけど……」
あっという間でしょ? と馬の方をチラリと見て言うシーナ。
「よし、食べ終わった者から順に出発だ! 急ぐぞ!」
シーナは先頭の隊長の馬に乗せて貰っていた。
走ってきた往路を考えると非常に楽な復路だ。
「なあ、あんた等ケラテシーに定住しないか? 腕の立つ奴は大歓迎なんだが……」
「嫌よ、そんなの」
「即答かよっ!」
「縛りつけられるのが嫌で冒険者をしているんだもの」
当然だわ、とシーナは言い切る。
ガックリと項垂れる隊長にシーナが声を掛けた。
「ちょっと速度を落として!誰か来た」
そう言われ、隊の速度を落とすミヴァリィ隊長。
「サークヤ!」
「あ! シーナさん! 無事だったんですね!」
息を切らしてシーナの乗る馬に駆け寄るサークヤ。
「ええ、大丈夫よ。危なかったけどね」
「やっぱり…… 残党がいたんですね」
「11人に囲まれてね…… 保安隊が来てくれなければ非常に不味い状況だったわ」
「えっ! 11人……ですか。それはヤバかったですね」
「さあ、話はこれくらいで。急いで戻るわよ」
サークヤを別の馬に乗せ、一行は先を急いだ。
「早かったな…… いや、早すぎないか?」
「ええ、途中で襲われかけたところに保安隊が来てくれてね」
テリオの問いにシーナが答え、保安隊の方を見る。
「まあ、シーナが無事で何よりだ」
少しホッとした表情で言うテリオに、ありがと、と笑顔で答えるシーナ。
「本当に良かったわ。心配してたの」
「初めから僕が行ってれば、シーナさんが危ない目に遭う事は無かったのに……」
ユリもホッとした顔で言った後、そう悔やむサークヤにタークが意地悪く言う。
「もしサークヤだったら、問答無用で殺されてたかもしれんがや」
「ええっ! そ、そんなぁ」
はははは、と笑う一団に隊長が寄ってきた。
「盗賊の捕縛に協力感謝する。保安隊隊長のミヴァリィだ」
「代表のテリオだ。こちらこそシーナを助けてくれてありがとう」
「いや、元々これは我らのやるべき事だったんだ。礼には及ばんさ」
それに……と続ける隊長。
「11人の内の5人を彼女があっという間に倒してしまったんだ。俺たちの仕事が殆ど無かった」
やれやれというゼスチャーをする隊長に、賊が気に障る事を言ったんだろ? とシーナを見やるテリオ。
「な、何よ! 襲ってくるんだから仕方ないじゃない!」
まあそうなんだがな、と苦笑する隊長だった。
それからは戦闘の内容を説明していく。
「ほう、その若いのが6人ねぇ。なかなかやるじゃないか」
「いや、僕なんてまだまだです」
「……まあ、こいつはこういう奴なんだよ」
「そ、そうか…… まあ、それはそれとして、町長からと時間は掛かるが保安隊本部から謝礼が出るだろう。いつまで町にいる?」
「いや、謝礼なんかはいらない」
「いらないって、人数が人数だから結構な額になると思うぞ?」
「じゃあ、代わりに応援に来てもらった村の者への礼金と……」
そう言ってテリオはユリを前に出した。
「この娘がケラテシーにいる間、変な奴が近寄らないように守ってやってもらえないか? 婿探しに出てきたんだ」
「ええっ! テリオさん! それは……」
「ふむ、良いだろう。お安い御用だ。町長にも言い含めておこう。応援の分は別に出るだろうから気にするな」
こうして、ユリの町での安全は確実な物へとなったのだった。




