0-43 望まぬ再会
本日夜にもう一話投稿します。
「もうすぐ山道にでるぞ」
随分進んだように思えたが、どうせ回り道をしていたんだろうなと邪推するサークヤは、最近になってやっとテリオの行動パターンが分かりかけてきていた。
ユリという歩き慣れていない者を連れていても、そこは変わらないんだろうなと諦めてもいる。
それには里へ行く道を簡単に覚えられてはいけないという事も含まれている。
「やっと道に出るんですね」
ホッとした顔をするユリには、やはりテリオたち冒険者とは違って道なき道を進むのは堪えたようだ。
「やっぱり、ちゃんとした道は歩きやすいし、警戒も緩くて良いから楽なのよね」
「ほんまやわ。これで怪我もこさえずにすみゃあ御の字やな」
「もう少し行けば馬車も通れる道に出るから、もっと楽になるだろう」
そう、シーナとターク、テリオが話しながら山道へと出たところで……
「ん? 向こうから歩いてくる者がいるな」
「え、あれって……」
「だ、旦那ぁ。また会いやしたねぇ」
えらく中腰な男達5人が並んでいた。
「テリオさん、お知り合いですか?」
「いや、知り合いではないが、以前ちょっとな」
横目で男達5人組を見るテリオの様子から、あまり歓迎できる出来事ではなかったんだろうと推測するサークヤ。
「いや、旦那ぁ。俺たちゃもうおかしな事はしねぇって。今も村の仕事で山の中に行くとこだしよぉ」
うんうんと頷く男達5人組の話を聞くテリオ。
「雪の降る前に言ってただろう。猿は南下して、鹿はまだ少しいるってよぉ。で、春になってまだ増えているようなら数を減らしてくれって、村長から頼まれたんだよぉ。ところがここ最近、その鹿の姿が見当たらねぇ。こっちの方へ移動したのかと思ってな」
それを聞いて、顔を見合わせるテリオたち五人。
「鹿なら俺たちがここひと月ほど山の中を歩いて、あらかた仕留めたぞ? 数えてないが、40から50頭くらいかな」
その半分くらいを埋める事になった五人が、もうやりたくないとばかりに顔を背けるが……
「「「「「えええっ!!!」」」」」
驚愕の顔を向ける男達5人組。
「もしや、旦那と姉御の二人で?」
リーダーであろう下っ腹の出た中年男が尋ねるが、それにテリオは首を横に振った。
「俺たちは少しだけだ。殆どをそっちの若いのにやらせた」
「「「「「えええええっっっ!!!!!」」」」」
「旦那たちも大概凄腕だったのに……そっちの若いのまで腕が立つって言うんですかい??」
「テリオさんの足元にも及びませんよ、僕なんて」
謙遜するサークヤに、んなことねえだろと顔を顰める男達。
「分かりやした。あと少しだけ見回って、いなければ村へ帰りますわ」
「もしいたら頼むぞ。それとあまり北の山へは入らない方が良い。迷いやすいからな」
「ああ、それは村長から良く聞いてますわ。前に会った所も本当は入っちゃいけねぇ所だったようで」
「ふん、それで迷ってたのか。……お前らの村って、もしかしてフーク村か?」
何かに気付いたテリオが男達に問う。
「へい、フーク村ですわ。それが何か?」
「いや、何でもない。村長によろしくな」
「??? へ、へい……」
よく分からないという顔をしながら頷き、別れていく男達。
実はフーク村の現村長は里出身者だった。
そもそもフーク村だけでなく、里の周辺にある村や町には少なからず里出身者が入り込んでいる。
そしてあの手この手を使って里方面に入って行かないように手を打っているのだ。
それだけ里と里出身者との絆は強く、簡単には切れない。
かといって里と積極的に接触するような事はしない。
皆、里を出る時に里の立場を紬家で説かれ理解しているからだ。
「さあ、山道を抜けたら後は真っ直ぐ行けば町に出る。あと少しだぞ」
そんなテリオの言葉に、そのあと少しが長いんだよなと溜息をつくサークヤだった。




