表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
前日譚(第零章) 異界の冒険
49/324

0-13 閉ざされし里

本日2話目です。

ご注意ください。

「あとどれくらいなんですか?」

「あとちょっとだ」

「一昨日からずっと言ってますよ、それ」


 4人は、未だ目的地である3人の里に辿り着いていなかった。

「たしかこの峠を越えた先だ」

「一昨日から3回目ですよ、それも」

 流石のサークヤもウンザリしていた。

「でもねぇテリオ、この方向で合ってる?」

「う~ん、間違っとりゃせんと思うがなも」

「そうだよな、ターク。こっちで良いんだよな? な?」


「シーナさん、本当に合ってるんですかね。僕、テリオさんが方向音痴じゃないかと思えてきたんですが」

「今までに2、3回しか間違ったことが無いんだけどねぇ……」

 ジト目でテリオを見る。

「あるんですね…… その2、3回はどんな?」

「うっかり、国境を超えそうになってたり……」

「い、いやもう良いです」

 うへぇという顔で、聞きたくないと耳をふさぐサークヤも随分このグループに慣れてきた。

 言葉遣いはまだ堅苦しいものであったが。

「まぁ、今回はおかしな所へ来てしまった訳じゃなさそうだけどね」

 といいつつ、少し離れた山々を見る。

 覚えのある形のようだ。

 ホッとするサークヤだった。


「迷う位なら、道を使った方が良かったんじゃないですか?」

「「「あ~」」」

「えっ! な、何??」

「ウチらの里はな、繋がる”道が無い”んだ」

「……はぁ??????」

 サークヤは混乱した。

 作者も混乱した。

「見たら分かるわ」

「そうさなも」

「まぁ、詳しくはシーナんとこの婆さんにでも聞けば良いだろ。昔話と合わせて話してくれるだろうし」

 更に混乱するサークヤだった。


「見えた!」

「ようやっと……」

「帰ってきた……」

「あれは……」

 ホッとする3人とは対照的に、サークヤだけは驚愕の眼差しでその集落を見つめた。

 その建物群、それらを取り巻く光景、ポツポツと見える人の姿。

 そのどれもがサークヤを混乱に陥れた。

 そして、ある可能性を導く。

 恐らくは正解であろう。

 だが、結論には早い。

 サークヤは、口に出しそうになるのを堪えた。


「さあ着いた。ここが俺たちの故郷、”閉ざされし里”だ」

「閉ざされし……里、ですか」

「ああ、名前を付けると余所者に知られるからって理由だそうだ」

 疑問に思いながらも、それ以上の事は聞けないんだろうと諦める事にするサークヤ。

 その集落に入るなり気が付いた子供が、テリオが帰ってきた~と叫びながら走って行く。

 苦笑いしながら一番大きな家へと向かう。

「お前たちはどうする? 直接自分たちの家に行くか?」

「その前に大家(おおや)へ挨拶だがや」

「当然でしょ。何言ってんの」

 サークヤもいるんだし! と、同じ家に向かう。


「親父! 今帰った!」

 玄関を開けるなりテリオが叫んだ。

 奥から中年期の男性が顰めっ面で出迎えた。

「やっと帰ってきたか、不良息子が」

「やっとかめです」

「ご無沙汰しております」

 タークとシーナが頭を下げる。

 ほんの僅かな間が空いたのを見計らって、「初めまして、鷹山朔也と申します。サークヤと呼ばれてますので、そうお呼びください。どうぞよろしくお願いします」と、丁寧に頭を下げた。

 これを見たテリオの父親だけでなく、テリオたち3人も目を開いて驚いた。

 今までこの集落を訪れた者は少なく、誰一人としてこういった挨拶をした事がなかったのである。


サクーム()タリオ()、この集落の(おさ)だ」

 4人は座敷に通されていた。

 3人は足を崩して。

 サークヤは正座(・・)をして。

「……驚いた。里の者でないのに、挨拶だけでなく正座を知っているとはな」

「祖父がこういった事に煩くて躾けられました。でも分かるのはこのくらいです」

「十分だ。どこぞの息子よりよっぽど立派だ」

 ジト目をテリオに向けながら言う。

「うへぇ、あいかわらずだなあ、親父」

「ふんっ! 部屋は二階を使うといい。テリオ、後で部屋に案内してやれ」

「それにしても立派な屋敷ですよね。似た感じの地域が、僕の故郷にもあります」

「ん? 似た所があるのか? ベングリオール大陸には、ここと同じようなところは無いはずだが…… 一族の血縁が拓いたのだろうか?」

 タリオが疑問を口にする。

 他の3人も顔を見合わせ、聞いた事もないと首を振る。


「まあ良い。詳しい話は紬家(つむぎや)のタカさんがしてくれるだろう。今日では遅くなるな。シーナ、明日迎えに来てやってくれんか」

「はい、もちろん」

「タカさんにも頼んでおいてくれ。で? 今までお前らはどうしていたんだ」

 いつもの事であろうとタカを括り、サクームがテリオに問う。

「ああ、鉱石を探しながら首都に向かって、少しの間首都(ティナ)にいた。その後、ぐるっと回って帰る途中でサークヤを拾った」

「ふん、いつもの通りか。首都の何が良いんだか。お前が此処を継いでくれないと話にならんのだがな」

「うへぇ、またその話かよ。ハルで良いじゃないか」


「「テリオ! おかえりっ!!」」

 そこへ小さな乱入者が入ってきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『カースブレイカー』シリーズ
 連載中です。

お時間がありましたら、合わせてご覧ください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ