0-13 閉ざされし里
本日2話目です。
ご注意ください。
「あとどれくらいなんですか?」
「あとちょっとだ」
「一昨日からずっと言ってますよ、それ」
4人は、未だ目的地である3人の里に辿り着いていなかった。
「たしかこの峠を越えた先だ」
「一昨日から3回目ですよ、それも」
流石のサークヤもウンザリしていた。
「でもねぇテリオ、この方向で合ってる?」
「う~ん、間違っとりゃせんと思うがなも」
「そうだよな、ターク。こっちで良いんだよな? な?」
「シーナさん、本当に合ってるんですかね。僕、テリオさんが方向音痴じゃないかと思えてきたんですが」
「今までに2、3回しか間違ったことが無いんだけどねぇ……」
ジト目でテリオを見る。
「あるんですね…… その2、3回はどんな?」
「うっかり、国境を超えそうになってたり……」
「い、いやもう良いです」
うへぇという顔で、聞きたくないと耳をふさぐサークヤも随分このグループに慣れてきた。
言葉遣いはまだ堅苦しいものであったが。
「まぁ、今回はおかしな所へ来てしまった訳じゃなさそうだけどね」
といいつつ、少し離れた山々を見る。
覚えのある形のようだ。
ホッとするサークヤだった。
「迷う位なら、道を使った方が良かったんじゃないですか?」
「「「あ~」」」
「えっ! な、何??」
「ウチらの里はな、繋がる”道が無い”んだ」
「……はぁ??????」
サークヤは混乱した。
作者も混乱した。
「見たら分かるわ」
「そうさなも」
「まぁ、詳しくはシーナんとこの婆さんにでも聞けば良いだろ。昔話と合わせて話してくれるだろうし」
更に混乱するサークヤだった。
「見えた!」
「ようやっと……」
「帰ってきた……」
「あれは……」
ホッとする3人とは対照的に、サークヤだけは驚愕の眼差しでその集落を見つめた。
その建物群、それらを取り巻く光景、ポツポツと見える人の姿。
そのどれもがサークヤを混乱に陥れた。
そして、ある可能性を導く。
恐らくは正解であろう。
だが、結論には早い。
サークヤは、口に出しそうになるのを堪えた。
「さあ着いた。ここが俺たちの故郷、”閉ざされし里”だ」
「閉ざされし……里、ですか」
「ああ、名前を付けると余所者に知られるからって理由だそうだ」
疑問に思いながらも、それ以上の事は聞けないんだろうと諦める事にするサークヤ。
その集落に入るなり気が付いた子供が、テリオが帰ってきた~と叫びながら走って行く。
苦笑いしながら一番大きな家へと向かう。
「お前たちはどうする? 直接自分たちの家に行くか?」
「その前に大家へ挨拶だがや」
「当然でしょ。何言ってんの」
サークヤもいるんだし! と、同じ家に向かう。
「親父! 今帰った!」
玄関を開けるなりテリオが叫んだ。
奥から中年期の男性が顰めっ面で出迎えた。
「やっと帰ってきたか、不良息子が」
「やっとかめです」
「ご無沙汰しております」
タークとシーナが頭を下げる。
ほんの僅かな間が空いたのを見計らって、「初めまして、鷹山朔也と申します。サークヤと呼ばれてますので、そうお呼びください。どうぞよろしくお願いします」と、丁寧に頭を下げた。
これを見たテリオの父親だけでなく、テリオたち3人も目を開いて驚いた。
今までこの集落を訪れた者は少なく、誰一人としてこういった挨拶をした事がなかったのである。
「サクーム・タリオ、この集落の長だ」
4人は座敷に通されていた。
3人は足を崩して。
サークヤは正座をして。
「……驚いた。里の者でないのに、挨拶だけでなく正座を知っているとはな」
「祖父がこういった事に煩くて躾けられました。でも分かるのはこのくらいです」
「十分だ。どこぞの息子よりよっぽど立派だ」
ジト目をテリオに向けながら言う。
「うへぇ、あいかわらずだなあ、親父」
「ふんっ! 部屋は二階を使うといい。テリオ、後で部屋に案内してやれ」
「それにしても立派な屋敷ですよね。似た感じの地域が、僕の故郷にもあります」
「ん? 似た所があるのか? ベングリオール大陸には、ここと同じようなところは無いはずだが…… 一族の血縁が拓いたのだろうか?」
タリオが疑問を口にする。
他の3人も顔を見合わせ、聞いた事もないと首を振る。
「まあ良い。詳しい話は紬家のタカさんがしてくれるだろう。今日では遅くなるな。シーナ、明日迎えに来てやってくれんか」
「はい、もちろん」
「タカさんにも頼んでおいてくれ。で? 今までお前らはどうしていたんだ」
いつもの事であろうとタカを括り、サクームがテリオに問う。
「ああ、鉱石を探しながら首都に向かって、少しの間首都にいた。その後、ぐるっと回って帰る途中でサークヤを拾った」
「ふん、いつもの通りか。首都の何が良いんだか。お前が此処を継いでくれないと話にならんのだがな」
「うへぇ、またその話かよ。ハルで良いじゃないか」
「「テリオ! おかえりっ!!」」
そこへ小さな乱入者が入ってきた。




