表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近所に勇者が引っ越してきたようです(仮)  作者: 赤点 太朗
第三章(前編) 竜を討ちし者
34/324

3-7 訪問者

 翌日、ケーブが無事に帰り、道具屋(サリオース)に日常が戻った。


 が、男どもの顔は半分死んでいた。

 どちらも仕事で疲れ果てていたのだ。

 その分、多少ペースを落としても問題ないレベルにまでは仕事が進んでいたのが、せめてもの救いだった。

 ビタミン摂れ、ビタミン。


 充分な睡眠を取る事が出来た二人は、翌朝には爽快な顔をしていた。

 これでようやく幼子の機嫌も戻るかと安堵するサリもまた、苦労人だと思う。

 いつもの日常が戻って安堵したのは、見守ってきたオバサン連合も同じである。

 人付合いの上手いサリは、旦那(ケーブ)の持ち帰ったお土産を振る舞い、お礼を言うのだった。

 もちろん、お互い様よと言い合い、噂話に今日も励む。


「そうそう、昨日役所に行った時に、例の竜殺しらしい一団を見たわ。なんでも、怪我が酷くて引退も考えなくてはいけないって。気の毒に。で、療養のために、この辺りで住まいを探しているそうよ」

 まあ! それはお気の毒に、と言ってはいるが、相手は竜殺しであろう一団。

 オバチャンズの格好の話題(エサ)としては、今世紀最大級の話題だろう。

 しかし、その話を手放しで聞けないサリであった。

 未だ情報の入らない竜殺しの一団が、もしかしたら知り合いである可能性があるからだ。

 その知り合いが、仕事を失うほどの怪我をしているかもしれない。

 その可能性が拭えない今、例え噂話としても参加する気にはなれないのであった。

 そして、その不安は現実になるのである。


 その日の夕方、先日話していた通り仕事帰りと思われるアイーナとラーナが、ピンの相談に店を訪れた。

 術館で検討した結果、今までの物と先を丸めた物の2種類を試す事になったとの事。

 今までのピンでも再利用が出来るようになっていたので、若干ながら予算に余裕があったからこそ、そういう話になったのもあるのだが。

 他にも、竜討伐が軍以外の者たちで行われた事、その被害が予想より少なかった事が、予算が下りやすい理由だったりする。

 それに、今まで被害額の補償をしていた政府としては、今後、それを払い続ける必要がなくなったのも大きいだろう。

 政府の財布の紐が緩い今がチャンスだ。


 そんな事を思いもしない面々は、ピンの製作依頼の内容確認をしていた。

 そんなやり取りをしていた時だった。

 サリに声を掛ける一団が入ってきた。

「おう、サリ、久し振り! ケーブはいるか?」

「えっ! テリオさん? それにシーナやタークもいるじゃない! お久し振り!」

「おっ! テリオ達か。早速来てくれたんだな」

「えっ? えっ? どういう事?」

「いやな、出張の道中で出会ったんだよ。首都(ティナ)にしばらくいるって言うから誘ったんだ」

「久し振りだよな、1年半振りってところか。おチビちゃんたちも大きくなったんだろ?」

「そうね、もうそんなに経つのね。今までどうしてたの?」

「ああ、国中を巡っていてな。高く売れそうな鉱石を探し回ってたんだ」

「へぇ……で、成果はあったんか?」

 ケーブが問うと、後ろからポーターのテンが小袋を取り出してカウンターに乗せて、中身を見せてくれた。

 大小、色々な鉱石があるが、小さめの物が多い。

 成果としては良くもなく悪くもなく、という所だろうか。


「実はこれはダミーだ。テン、あれを出してくれ」

 別の袋を出して中身を広げた。

 そこには大きな鉱石がいくつも混ざっている。

 結構な金額になるだろう。

 だが、そこにいた一同は、ある鉱石に目を奪われていた。

「……これって」

「もしかして……」

「たぶん……いえ、間違いなく」

 そう、ユーキやアイーナ、ラーナがその鉱石に目を奪われていたのだ。

 最近、それも今現在も作業場で預かって加工している物の一部として、術館テイオーテ(アイーナ)からの依頼品である杖の一部として、見慣れた物だった。

 一同、ソレから目を離し、目を見合わせる。

「アイーナさん、ラーナさん。この後は何か予定ある? 良ければ上がって行って。テリオさん達も上がっていくつもりでしょ? 店ももう閉める時間だし。良いわよね?」



 話が長くなりそうだと察したサリが、皆を家に上げる事にしたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『カースブレイカー』シリーズ
 連載中です。

お時間がありましたら、合わせてご覧ください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ