自分を知る《ジークside》
何人か名前が呼ばれていくのを見ていた。教卓の上に置かれた中心に虹色の光を持つ水晶に何人かが手を置いては色を変化させ、結果を小さな紙に記入されていく。
沢山の生徒がそれを繰り返している中、俺の頭の中はエテルネルに言われた言葉がずっと浮かんでいた。
あの日、俺にエテルネルが言ったことが今も消えず、ずっと思考を占領するのは不快だ。エテルネルになんて話を聞かなければよかったのだろう。
だが、あの男は知っている気がした。
望む結果は得られなかったが。現に何か知っているような顔はしていた。
「ジーク、呼ばれてるよ」
リトに肩を叩かれて立ち上がる。俺の魔力についてエテルネルが言っていた。認める事も、それで止まるという考えも俺には浮かばなかったが。
俺にとって重要なのはサーレの役に立つかどうか。
指示されるままに水晶に手をやり光の色をただ見つめ、深く息をついた。
「意外だな、光と、火と、風かこれが結果だ、席に着いて待っていろ」
「……はい」
渡された紙をちらりと見てから席に戻る。リトが唖然としていて、なんでと顔に書いてあった。それに怪しまれるからやめろと軽く小突いて、席についた。
「ジーク…結果の紙見せて」
「あぁ」
リトに渡してやると、食いつくようにそれを読んでいた。
「魔力操作B…魔力がC……それよりもなんで属性に」
「何度見直してもないぞ」
「…そう、だけど信じられない」
紙を返してもらい、リトの反応も仕方ないと少し申し訳ない気持ちになる。
リトは以前俺の魔力を星がある夜空の様だと言っていた。つまり俺に闇属性はあるものの、他の属性もあると言っていたのだ。
それなのに、結果を見れば闇属性の適性はない。
リトは俺が闇属性を持っているのを確信しているが、証明出来るものが自分の目だけ。
「リト、知っていたから気にしないでくれ」
「知っていた…?闇属性がないことを?」
「あぁ、知っていた」
エテルネルに聞かされていた。
それでも驚きはするが。
「こんなこと初めてだ…」
「だろうな」
俺だって闇属性を持っていると思っていたさ。寧ろ無いとされる事が異常だ。リトにとっては魔眼で闇属性があるのがわかる程度でしかないが、実際に俺はエテルネルから闇魔法を少し教えて貰っていて、実際に“使う事が出来た”。
エテルネルからはいい顔されなかったが、俺が聞くはずもない。それに、本当なら上級まで覚えてしまいたかったが、エテルネルを丸め込もうとした際に何かに勘づいたらしい親父が部屋に入ってきて釘をさされ止められた。
『強くなれとは言ったが、俺はお前にそんな選択をしろとは言っていないし、そんな行動に出るのなら今すぐエテルネルの首を切るか陛下にお返しする』
あの時は近くに親父はいなかったし、親父は魔法が使えない、魔法を感知するのも苦手なはず。そもそも中級魔法すら教わる前にいきなり部屋に来た。一体何を勘づいたのかは分からないがエテルネルに聞こうとすれば親父がすぐに現れることは想像出来たし、エテルネルが取り上げられては困るのも確かだった。
あの人は一体何で感知してるんだろうか。
うんうんと唸るように頭を悩ませるリトを観察しながらそんな疑問を抱いていた。




