Cクラス《ジークside》
サーレとクラスが分かれた。リトは同じCクラスで、サーレのAクラスにはレヴェルも居る。
「……」
「サーレが心配? 凄い怖い目付きになってるよ」
「いや、心配はしていない」
心配と言うならサーレがレヴェルから何か嫌がらせとかされてないかが気がかりだ。
クラスの中に入ると騒がしかったのが一気に静まり返る。そして俺を見てこそこそと何かを話し出した。どうせ忌み子だの化け物だの言ってるんだろう。
現に隣のリトが顔を顰めている。魔眼ってのは便利な時は便利だが、こういった普段の生活では不便だな。
気持ち悪そうにしているリトを急かして一番後ろの座席の窓際に腰掛ける。窓際にはリトを座らせた。場所を代わるとは言われたが窓を開けて換気でもしないと感情の匂いに酔っちまうだろうし、俺が座ってればどうせ近くに誰も来やしない。
さっさと座らして窓を開けた後俺もリトの隣に座った。相変わらずこそこそと何か話している声以外は静かだ。
教卓を見るとまだ教師は来ていないらしい。教卓の上には魔法陣の描かれた布が広げられて、その上に大きな金の台座におさまる虹色の光を中心に宿す水晶が置いてある。
「なんだあれ」
「学生証に記載される能力値を測る魔道具だよ、確かハウロスの心臓って名前だったかな」
「ハウロスの心臓? 気持ち悪い名前だな」
「誰が名付けたのか記録に残ってないんだけど、遺跡から発見されたらしいよ、二年の終わり頃にその歴史についてやったなぁ」
「……」
ハウロスの心臓とかいう気持ち悪い名前の水晶をまじまじと見る。あれでなんで能力値が分かるんだ?
ガラッと教卓側の扉が開けられ、灰色の髪に青の瞳の初老の男が中に入ってくる。歳を感じない足取りはキビキビとして清々しいとすら思える。
…元騎士だろうか?
「私がこのCクラスを担当することになった、エルバル・カークだ、担当科目は剣術、それと魔法学の基礎も教えている、よく会うだろうから顔と名前は頭に入れておくように」
眉間にシワがよっているのは不機嫌ではなく元からか?何人かの女子生徒が怯えているが。
「やった、エルバル先生だ 」
「知っているのか?」
「当たり前だろ、僕は上級クラスからわざわざ降りてきたんだから、当然先生も覚えてるよ」
「ふーん? リトが喜ぶってことはつまり…」
「そう! 差別を嫌う人だよ、能力があってもなくても平等には教えるけど苦手なところはしっかりフォローしてくれるし、魔力も優しい青色で、いつも落ち着いたミントの匂いがするんだよ」
嬉しそうにペラペラ語るリトの声が思ったよりも大きい。教卓のエルバル・カークが片眉を上げてこっちを見てきた。完全に聞かれてたな、これは。
「リト」
「剣術は元騎士だからやっぱり上手くて」
「リトッ」
「魔法学基礎の授業もとても分かりやすくて─」
「……リトマス・メシェル・バサールハ!」
俺が声を二度かけても反応せず頬を赤らめて語っていたリトはエルバル・カークの声に反応し、ピタリと止まった。表情までしっかりと。
教卓へ視線を戻すと呆れたように頭を片手で押さえるのが見えた。
「いい加減にしろよ…?」
「…………はい」
ドスの利いた低い声は親父が切れた時と似ていて、騎士ってのはみんな似るもんなのか?
「うぅ…怒られた」
「当たり前だろ…」
今度は小さい声で話すリトの頭を軽く小突く。それに小さく痛っとわざわざ返してくるあたりそんなに落ち込んでは居ないようだった。
書き上げてアップするのすっかり忘れてました




