討伐
町から10分程歩いた所で、木に支えられ作られた坑口が見えてきた。
坑口の前には冒険者パーティーと見られる男女が四人いる。中には先程ちょっかいをかけてきた大剣の男もいるが怪我をしていて何やら傷口が変色している。毒だろうか?そんな事を考えながら中へ入って行こうとするティアーナに対し、回復術師らしき女性が話しかけてきた。
「あなた、一人?中には入らない方がいいわ」
「あの、私⋯⋯ですか?」
「そうよ」
「あの、えっと、何かいたんですか?」
そう聞くと、
「いいえ、何も居なかったの、何も無い所から突然攻撃されたわ」
「何もない所から⋯⋯?」
「えぇ、そうよ、だから入らない方がいい」
しかし、忠告を無視するようにユフィーアは女性に魔力回復の魔術をかけ、坑口を見る。
「私、ほんの少しだけ探索してみます」
そう言って探査魔術を展開し、駆け足で中へ入っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
中は極普通の鉱山で、所々に掘り出された鉱石が置いてある。
「なんの鉱石だろう?」
ティアーナが鉱石に触れようとした瞬間、どこからとも無く攻撃が飛んできた。
しかし、探査魔術を展開していたお陰で見えない攻撃を結界で防いだ⋯が、攻撃を受けた箇所がドロっと急激に溶けていく。
攻撃を受けた箇所には何やら、細い針が刺さっていた。
硬貨した蜘蛛の糸だ。しかも、特別サービスで毒も付いている。
「これは、硬化魔術⋯⋯?硬化魔術を使う魔物の大半は蜘蛛や鎌、角を持つ⋯⋯鉱山、鉱石、硬貨⋯⋯」
そんな事をブツブツと呟いていると、複数の魔力が探査に引っかかったと同時に、再び結界を展開した。
「硬貨魔術と遠距離攻撃を得意とする魔物は⋯⋯石岩蜘蛛だけど、毒が付いてるって事は、石岩蜘蛛の上位変異種毒射蜘蛛!まぁ少し面倒だけどっ⋯⋯!」
相手の正体が掴めればもう、こっちのもんだと言わんばかりに、攻撃を受けた壁に向かって見えない風の刃を放った。
崩れた壁の中には岩で作られた様な屈強な肉体を持つ、巨大な蜘蛛の姿が現れる。
姿を視認した瞬間、毒射蜘蛛の真上に大量の水と氷柱を生成した。
大量の水の質量と勢いで甲殻はひび割れ、ひび割れた所目掛けて氷柱が落下し、大量の濁流と衝撃で氷柱の冷気と土埃で視界が悪くなった。
次に視界が開けた時には既に、毒射蜘蛛に息はなかった。
魔物の死体には原動力となる魔石が一つと素材が多くあるため、素材と魔石を採取して、坑口へ向かう。
鉱山を出た所には既に、先程の冒険者パーティーは居らず、変わりに猪の魔物が三体いる。
猪は、ティアーナを見ると同時に、殺意を撒き散らし真っ直ぐ突っ込んで来た。
即座に飛行魔術を使い突進を回避し、風刃を放つ。
見えない風の刃で首をはねられ、命を刈り取られた猪は何が起こったのかも分からず、土埃を立てながら横に倒れた。
綺麗な状態の魔物の死体はギルドがそのまま買い取ってくれるので、猪を風魔術で浮かせ汚さないよう丁寧に気を使いながら運びつつ、ギルドへ戻る帰路に着いた。




