仲間
十分ほど歩くとナチェスティア区の検問所が見えてきた。
検問所で冒険者カードを提示すると衛兵は少し驚いた顔をしつつも直ぐに通してくれた。
ギルドに着き扉を開くと、中に居た冒険者や受付嬢達全員が目を見開いてティアーナを見る。誰も視線を外さずに。
そんな視線を不思議に思いながらも、受付で固まっているアウラに声をかけた。
「あのぉ、すみません⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」
「えっと、あの、アウラさん?」
「あっ、は、はいっ、えっと、じょ、どうなさいました⋯⋯?」
「依頼達成の確認と魔物を売りたいです」
「かしこまりました、その、一応確認なのですが⋯⋯そちらの魔物はティアーナさんが⋯⋯?」
そう言いながら、アウラは猪と手に抱えてる毒射蜘蛛の素材を指さした。
「はい、あ⋯⋯狩ったらまずかったですか?依頼確認の時に確認したつもりだったんですが⋯⋯」
「いえいえ!問題は無い⋯⋯はずなんですがちょっと物が物なので⋯⋯」
「なにかまずい事でも⋯⋯?」
「あ、いえ、なんでもございません!依頼確認の前に先に魔物を頂いても?それと、冒険者カードも」
ティアーナは、「はい!」と元気よく返事をしてアウラに魔物と冒険者カードを渡し、キョロキョロと周りを見た。
ティアーナと目が合うと揃いも揃って皆視線を外し、何事も無かったかの様に振る舞う。
所々から下手くそな口笛も聞こえてくる。
全体を見回すと部屋の端の机に、鉱山前で会った四人パーティーが居た。
「こ、こんひふぃふぁっ!」
ティアーナは勇気を振り絞って声をかける。
「あ⋯⋯こん、こんにちは、あ、あははは」
返事をしたのは大剣の男だ。ティアーナが思いっきり噛んだ事など気に出来ない位すごく焦っている。ティアーナにちょっかいをかけたから、その事を問い詰められるんじゃないかと思っているのだろう。
「あの、お怪我の方は大丈夫ですか?」
「も、もちろん!回復術師が優秀なのもんでね!」
「そうですか、なら良かったです!あの、私とお友達になってくれませんか⋯⋯?」
そう言いながら四人に笑いかけた。
一瞬キョトンとした四人は、我に返ったかのように顔を見合せた。
自分達よりも圧倒的に強い少女が、突然友達になって欲しいと頼んでくる。
なぜ自分達なのか?実力も年齢差もある自分達ではなく、もっと同じ位の格の冒険者に声をかければいい。
四人にはティアーナの意図が全く読めなかった。
「あ、あの⋯⋯なぜ自分達と?」
「私、人に声をかけるのが苦手だって気づいて⋯⋯でも友達を作りたかったから喋ったことのある人達にと思って⋯⋯だから、その⋯⋯」
最後は口ごもっていたが、言いたいことが伝わったのかそれぞれが自己紹介をし始めた。
「俺は、このDランクパーティー翔夜の兎の前衛アタッカー、ドルジェ・ラカンスだ。この間はとんだ無礼を、謝罪させて欲しい。」
「私はリアイヤ・コラステア、翔夜の兎の回復術師兼リーダーよ。よろしくね!」
「わ、私は⋯⋯魔術師のリリス・アーケリー⋯⋯でですっ!」
「俺はタンカーのリウス・サリーノだ!よろしくな!」
「私はティアーナ・グリズリーです!一応Dランク?冒険者⋯⋯らしいです!翔夜の兎の皆さんお友達になってくれてありがとうござい、ます!」
ティアーナは少し照れながらもキラキラとした目をしている。
初めての友達にワクワクしながらも、なんて接すればいいのか分からず迷っていると、
「ティアーナさん、確認が出来ました!」
そう言って、アウラが受付からブンブンと手を振っている。
翔夜の兎のメンバーと共に受付まで向かうと、アウラが凄い形相で睨んできた。
「貴方、次は寄ってたかって女の子一人に何をするつもりっ?!言っておくけれど、ティアーナさんはとっても強いんですからね!それにですね⋯⋯」
饒舌に一人で喋り続けるアウラを制し、少し強引に依頼へと話を戻す。
咳払いをし、「すみません」と謝罪をすると、アウラは依頼完了後の取引について説明してくれた。




