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自作ダンジョンで最終ボスやってます!【動く挿絵付き】  作者: ITSUKI
第一章:ダンジョンできました
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第15話:ようこそシェリルのダンジョンへ(1)

 シェリルのダンジョン入口前。

 地面は綺麗に整地されていて、大理石の柱に支えられた随分と立派な門がある。

 今の時間は、日が昇って人間が一日の活動を始める頃。


 現れたのは男二人組と女二人組、合計四人の魔物ハンター。

 ここに来た理由は、魔物ハンター組合の組合長に半ば強制的に依頼されたため。

 その依頼内容とはダンジョン内部の初期調査。


 四人の中には先日の出来事で、シェリルの能力を見極めた男と女がいる。

 男の名前はグレイ。女の名前はシオリ。


「とんでもない役目を押し付けられたな」と愚痴っぽくグレイが言う。

「あの魔族と一緒にいた秘書役の人形の指名らしいわ」とシオリが説明する。

「相手の魔力を感知できるスキルを持って、後悔したのは初めてだ」

「ええ、そうね……」シオリも表情の憂鬱を隠さない。


 二人ともシェリルの凄まじい能力に怖気づいて腰が引けている。

 あの日、初めてお互いの存在を知ったグレイとシオリ。

 今のこの境遇が奇妙な形で二人の仲を親密にさせている。


 その様子を隣りで見せつけられている双方の相方の男女。

 女の方の名はアカネ。茶色のショートヘアに黒い瞳。


「何ダンジョンの入口でイチャイチャしてるんすか」

「誤解しないでほしいな、アカネ君」

「イチャイチャなんてしてないわよ」


 流れるように息を合わせて反論するグレイとシオリ。

 そこにグレイの相方、バルドが口をはさむ。銀色の短髪、三十代の男性。


「それなら、そんなところで立ってないで先に進むぞ」

「だがな……バルド。あの魔族の魔力と言ったら――」

「もう、何度も聞いた。以前一度だけ見たドラゴンなんて目じゃないそうだな」

「そうだ、俺のスキルは自分じゃ止められないから、嫌でも見てしまうんだよ」


「シオリさんは魔法で見るタイプなんすから、見なければいいんじゃないすか」

「何言っているのよ。もう、すっかり目に焼き付いてるのよ」

「『勇者の力が霞んで見える』っすか」

「そうよ」と投げるようにシオリが答える。


 このままでは任務に支障が出る。

 仕方がないので、二人を元気づけようとするバルドとアカネ。


「ここまで来たんだ、腹をくくれ」

「組合長の話じゃ、変なことをしなければ友好的だって話っすよ」


「今回の任務は調査報告が最優先だから、危なくなれば逃げればいい」

「そうっすよ。お二人のスキルがあれば調査は簡単にやれますって」


「俺達は魔物ハンターの経験がある。探索者としてもBランクはあるだろう?」

「出来立てのダンジョン調査任務なんてDランク以下の仕事っすから」


 こちらも息を合わせて説得の言葉を畳みかける。

 その勢いに押されてようやく覚悟を決めるグレイとシオリ。


「……わかったよ」「……わかったわ」


 相方に説得されて渋々と入口の門をくぐる。

 ようやくシェリルのダンジョンの調査が開始される。


 と、そこに――、

 ダンジョンの中から声がかかる。



挿絵(By みてみん)



「はい、いらっしゃーい!」


「うおおぉおぉぉっ!!」

「きゃあぁああぁあぁぁ!!」


 グレイとシオリが叫び声をあげて尻餅をつく。

 二人は真っ青な顔をして小刻みに震えて出す。腰を抜かして立ち上がれない。

 バルドとアカネも目を見開いて正面に立つ少女の姿を凝視する。


 突然そこに現れたのは魔物ハンター組合で見かけた姿。


 このダンジョンのあるじ――魔族の少女シェリル。

 そして隣りで浮いている従者人形のソラ。


「御主人様、こんな所で驚かせてどうするんですか」

「えー、だって初めてのお客さんなんだから、挨拶ぐらいはしておかないと」

「お客さんという考え方は如何いかがかと思いますが」


「ここはあたしが作ったダンジョンです。よろしくお願いします」

「その挨拶も如何かと……。まぁ良いです。終わったのなら部屋に戻りましょう」

「はぁい、じゃまたねー」


 締まりのない話が終わり、戻ろうとするその前に――、

 ソラが目礼でシェリルに許しを得て、少しだけハンターたちに話しかける。


「――約束通り来てもらえたようね」

「……はい」顔に似合わない受け答えをするバルド。


「広くないから二,三部屋確認して報告に戻ってくれればいいから」

「……はいっす」アカネもなんとか声を出す。


「宝箱には良いものが入っているかもよ」

「……はい」思いもよらぬ情報を聞いてバルドの返事が遅れる。

「じゃ、後は任せるわ」


 短い会話が終わると同時に、音もなく姿を消すシェリルとソラ。

 残された四人はあっけにとられて、すぐには動けない。


 先に立ち直ったのはアカネとバルドの二人。


「……でもほら、友好的だったじゃないっすか」とアカネが印象を話す。

「そうだな、情報も貰えたしな」宝箱の中身の話をバルドが皆に伝える。


 こちらの二人は、シェリルたちとの会話から光明を見出していた。

 気持ちを切り替えて、ダンジョン探索について打ち合わせを始める。


「ここからは真剣な攻略っすから、お互いの役目を確認しましょうよ」

「ああ。――俺は前衛で直接戦闘担当で、得意武器はこの斧だ」

「あたしも前衛で武器は曲刀。あと手先が器用なんで罠解除は任せて欲しいっす」


 アカネとバルドもお互いに打ち解けてきた。

 双方の相方が同じタイミングで使い物にならなくなるので仕方なくだが。

 そう言っている内に、座り込んでいた二人もやっと落ち着きを取り戻した。

 グレイが先に立ち上がり、シオリに手を貸している。


「大丈夫かい、シオリ」

「ありがとう、グレイ」


 アカネとバルドがその様子を半目で見ている。

 視線に気づき慌てて取り繕うグレイとシオリ。


「……俺はこの槍と火系統の魔法が得意だ。あとは魔力感知だな」

「……私は感知系と探査系の魔法が得意です。武器は弓を」


 理由はどうあれ、ようやく立ち直った二人が自分の特性を説明する。

 各々の得意分野をお互いに把握するハンターたち。


「うまい具合に役割が分かれたな」とバルドが感想を言う。

「そこは組合長も考えたんじゃないすか?」とアカネ。


「そちらの技能はダンジョン探索向きだけど経験はあるのかい」グレイが尋ねる。

「Dランクまででした。もうハンターの経験の方が長いです」とシオリが答える。

「そうか、多少は当てにさせてもらうぞ」とバルド。

「いいっすよ」アカネが気軽に了承する。


 即席パーティの割には息が合ってきた四人。

 そんな風に会話が進み、それぞれの分担が決まっていく。


 バルドが先頭。リーダーとして動く。

 アカネとシオリを間に挟んでグレイが殿しんがりを守る。

 戦闘になったらバルドとアカネが前に出て、シオリとグレイが後衛。


 こうして話がまとまったので――、

 全員で顔を見合わせて覚悟を決める。


「じゃあいくぞ」とバルドの号令で、四人組はダンジョンの通路を前進する。


 シェリルのダンジョン、これが初お披露目である。


 第十五話お読みいただき、ありがとうございました。


※11月4日 後書き欄を修正

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