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自作ダンジョンで最終ボスやってます!【動く挿絵付き】  作者: ITSUKI
第一章:ダンジョンできました
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第13話:魔物ハンター組合へ行こう(2)

 一方、シェリルとソラが通された部屋。魔物ハンター組合の応接室。


 扉の向こうで広がる緊迫した雰囲気なんて全く気にしていないシェリル。

 のんびりと受付嬢から出されたお茶を飲んでいる。

 その表情は「すべてやりきった」と満足そう。


 ――今日はアタシがやった方がいいわよねぇ。


 今日の目的は「シェリルのダンジョン」の紹介。

 それからダンジョン探索組合を立ちあげてもらえるように依頼する。

 もちろん、ここが魔物ハンター組合だと承知の上で。

 シェリルには荷が重い。ダンジョン管理者との面接とはわけが違う。


 ソラは自分が対応すると、シェリルと話して決めていた。

 だからシェリルのここでの仕事はもう終わり。だからこそのあの表情。


 そしてソラは目の前の男に視線を向ける。

 先程、受付嬢に相談を受けていた恰幅のいい中年男性。

 組合長と呼ばれた女性に「能無し部長」と言われている事をソラは知らない。

 その男がこちらを見る目には侮蔑が含まれている。


 ――こいつはハズレ。アタシはいいけど御主人様にその眼はダメダメ。


 ソラはその男の評価を即断する。

 そんなソラの考えも知らない目の前の男。

 シェリルとソラを交互に見て、吐き捨てるように言う。

 

「それで何が目的だ……?」

「あなた、その見下した態度で話をするつもり?」とソラは冷静に指摘する。


 人形の方が答えたことに少しだけ驚きの表情を見せる男。

 しかし、すぐにその表情はさげすみに変わる。


「なんだ? 何かをせびりに来たんじゃないのか」

「この方が魔族だとわかってそんな口をきいているの?」

「できたばかりのダンジョンの使いなんだろう? それも本当だかどうだか……」

「ふーん」冷たい視線を男に投げるソラ。


 ソラの様子に不穏な雰囲気を嗅ぎ取ったのか、強気な態度で返してくる。


「ここは魔物ハンター組合だぞ。周りには優秀なハンターだらけだ」

「……」

「そんな小娘、魔族であっても怖くもなんともない」

「ハー、ダメダメね……あんたじゃ話にならないわ」


 男が口にしたシェリルに対する言葉をソラは容認できない。

 この時点で彼の未来が決定した。

 そんな事とはつゆ知らず、グチグチと言葉を続ける能無し部長。


「何を言っている、俺が誰だかわかっていて口をきいているのか」

「俺はこの組合の部長だぞ、それも頼まれたから仕方なくやっているのだ」

「本来なら、お前らみたいな屑どもの相手をするのは組合長なんだが――」

「最近、魔物どもが騒がしいから忙しいなどと言いおって」

「何かお前たち知っているのか。それなら話を聞いてやってもいいぞ」

「それで組合長の鼻を明かせるネタが手に入るのならな」


 ソラはテーブルの上の空間をトコトコと歩いて男性に近づく。

 男は一瞬、ひるんだ顔をするが、すぐに虚勢を張り声を荒げる。


「なんだ! 俺に手を出したら、部下共が黙っていないぞ!」

「それなら、早く呼びなさい。あなたにはもう時間がないのだから」


 ソラが最後通牒を突き放す様に告げる。

 そして輝くソラの瞳。

 男の顔から余裕が消えて、代わりに恐怖の色が浮かぶ。


「おい! 誰か! 誰か来てく――」


 ガチャ!

 男の声に呼応するように、応接室の扉が乱暴に開く。


「失礼する! 何か粗相があったら許して欲しい!」


 部屋に飛び込んできたのは男物の服を着た長身の女性。

 最初の言葉は、能無し部長が何かやらかしていることを前提とした――謝罪。

 その判断は正しい。しかし――、


「もう遅いわよ」とソラが素っ気なく答える。


 その場にはもう部長の姿はない。


「あぁ、し、失礼しました。――私は当組合の長をしているタバサと言います」


 口調を丁寧な言葉遣いに変えて、シェリルとソラに自己紹介する組合長。

 背筋を伸ばし頭を下げてくる。相手が人形であっても誠実な態度を崩さない。

 その姿にソラは第一印象で彼女に好感を持った。


 ただ面を上げた彼女の顔色は青ざめていて――、

 そしてシェリルの顔を見るなり悲壮な表情を浮かべる。

 その表情のまま意を決するように、その場から消えた男の処遇を尋ねる。


「……あのバカ部長は……、どうなりましたか?」


 ――バカ部長ね。確かにそう。


 現れた女性は自分を組合長だと名乗った。

 あの部長の話っぷりと組合長の物言いで、二人の仲が悪いのはすぐにわかる。

 それだけで彼女の評価を更にプラスする。


 すでにソラの中ではかなり高評価の組合長。

 彼女は恐れと共に何かに耐えているような表情でシェリルを見ている。


 ――この女性は御主人様の力を感じている。


 相手の強さや能力を知る方法は幾つもの種類があり、それぞれ効果に差がある。


 例えば、常時発動していて相手の魔力の大きさを目視できるスキル。

 また、異世界人だけが持つ【ステータス鑑定】というチート能力。

 他にも感知系スキルにある魔法を発動する等々……。


 そして特殊スキルに、存在する力の大きさを脅威として感知するタイプがある。

 これは相手が強者であればあるほど、はっきりとわかる。

 このスキル、距離が離れていても相手の強さまで感知できる。

 もちろん感知できる距離には有効範囲があるのだが これは大きな利点である。


 ただし、それは諸刃の剣。

 このスキルも常時発動型。自分の意志で止められない。

 そして――脅威を感じる、それは精神的な負担があるということ。

 強者の近くにいるだけで常に負担を感じてしまう――これは大きな欠点。


 ただシェリルほどになれば、例えどの方法で能力を感知しても――、

 知るだけで側にいたくないと思うほどの威圧を与えるのだけれども。


 それはそれとして、

 ソラの予想――彼女は存在する力を感知するスキルを持っている。

 だとすれば、シェリルの側にいられるだけで驚嘆すべき胆力の持ち主と言える。


 ――とりあえず彼女はアタリかも。……様子を見ようかな。


 そう考えたソラは態度を軟化させて、組合長の質問に答える。 


「近くの魔物の森に送ってやったわ」


「……そ、そうですか」言葉は詰まっても、その表情に疑いの色はない。


 ソラの言葉は空間魔法――神に至る魔法――を使ったと言っているのだが。

 組合長はシェリルの圧倒的な存在を感じてしまっている。

 他はもう何があっても不思議ではないと納得しているのだろう。

 ソラはこれからの彼女との交渉を見越して助言をする。


「救助隊でも送り出せば間に合うかもね」


 それからソラはおよその場所まで教える大サービスをする。

 まぁ、原因はソラなのだけれど。


「……少し席を外させていただいても?」


 話の流れで、この場の交渉はソラが受け持つのだと組合長は判断したようだ。

 救助隊を送る手配の為に一旦退席したいと、遠慮がちにソラに許可を求める。

 あんなバカ部長でも何かの役に立つのだろう。


「確認だけど、あのバカ部長の代わりにあなたが話を聞いてくれるのかしら」

「そのつもりです」とソラの問いに真摯に答える組合長。 

「それならいいわよ。あなたなら話が出来そうだから待ってるわ」


 彼女の願いをソラが受け入れる。

 その返事を聞いてさっそく部屋を出ようとする組合長。

 そこにシェリルが元気におねだりをする。


「お茶お代わりちょうだい! できたらお茶菓子も!」


 シェリルの満足そうな表情は今もそのまま。



挿絵(By みてみん)



 第十三話お読みいただき、ありがとうございました。


※11月4日 後書き欄を修正


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