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自作ダンジョンで最終ボスやってます!【動く挿絵付き】  作者: ITSUKI
第一章:ダンジョンできました
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第11話:シェリルのダンジョンできました

 ダンジョン作成六日目。


「よーし、今日は最後の仕上げだー!」


 朝一番にシェリルが大きな声で掛け声を上げる。

 最初に取り掛かったのは生活空間兼管理室。


 ひとりと三体の生活空間なんて、短い通路を掘るのと変わらない。

 シェリルとクロとソラの連携で時間を掛けずに終わらせる。


「もう掘り出してしまいましたわ」見慣れたとはいえ驚きを隠せないシロ。

「もう掘削マシンよねぇ」ソラのシェリルへの評価は褒め言葉とは思えない。


「それでは、クロ、部屋の間仕切りを作ってくださいな」

「はーいっと」

「それとマスター、風呂場のお湯を回復の温泉から引いていただけますか」

「あー、そうしよう。ぱぱっと掘っちゃうね、近いからソラとクロはいらないよ」

「……ほっ」「……」と胸を撫で下ろすソラとクロ。


 そこでソラはひとつ提案をする。


「その前に、ちょっと考えがあるんだけど……」

「なんですの?」とシロが答える。

「飲み水を作る仕掛けを、回復の泉部屋に作れば……、探索者も利用できるよね」

「そうですわね……」

「うん、そうしよう!」とシェリルが賛成する。


「だとすると、温泉と飲み水をこの部屋に繋ぐには、二本の穴が必要ですわ」

「アタシが町に行って、水を通すのに使う出来合いの鋼管とか買ってくるわよ」

「それなら、この部屋の壁紙も買ってきてくださいな」

「はいはい……、ついでにドアとか床板とかも手に入れてくる」

「お願いしますわ」


「じゃあ、シロとクロで先に回復の泉で仕掛けを作ってきて」

「わかりましたわ」「はいはーい」

「御主人様も水を通す穴は後回しで、先に魔物に命を与えていてくださいますか」

「うん、わかった」


 そう言ってソラは買い出しに行った。


 シロとクロは回復の泉で、温泉を飲み水にする浄化装置作り。

 浄化はシロの神聖魔法。仕掛けを作るのが得意なのはクロ。

 そのあと部屋の中に岩を積み上げ、雰囲気を温泉のように変えていく。

 力仕事は重力を操るクロ。細かい部分は器用なシロ。


 シェリルは最終ボス部屋に並べてあった魔物のぬいぐるみに命を与える。

 さすがのシェリルとは言え、人形に命を与えるにはそれなりの時間が必要だ。

 まずは大ネズミのぬいぐるみ。

 しばらくして最初の一体が動き出す。

 シェリルの指示を受け、持ち場で待機するため部屋を出ていった。


 午後も少し過ぎた頃に、ソラが買い出しから戻って来る。


 シロとクロで生活空間の壁と内装。

 シェリルは魔物づくりの手を止め、回復の泉と生活空間とを繋ぐ穴をあける。

 それはもう、あっという間に。


 そこへソラの買ってきた鋼管を二本通して、飲み水と温泉水が生活空間に届く。

 飲み水はキッチンへ。ソラの買ってきた蛇口をシロが何とか取り付ける。

 温泉水は風呂場へ。浴槽はクロが岩と土で作成したモノ。


 その間、ソラには大事な役目があった。


 最終ボス討伐のお宝――人間への誘惑物えさ――を作る仕事。

 かなりの時間と気力と魔力を費やしてソラが作ったのは――巨大転移魔法石。

 それは神の御業に勝るとも劣らない芸術品。

 異世界だろうと何処だろうと、常時通行できる転移門を作成できる力を持つ。

 作り終えて流石にゲッソリとした顔をしている。


 部屋の片隅で少し休憩していたソラ。

 そこにシロから声がかかる。


「ソラ、家具と生活用品を出してくださいな」

 生活空間の内装もほぼ出来上がっていた。

「はいはい」

 ソラは収納空間から、前のダンジョンからの引越し荷物を取り出す。

 使いなれた家具と生活用品が新しい生活の場に納まっていく。


 そろそろ日没を迎える時間。


 三体の人形は引っ越し荷物の配置と整理を終える。

 その後――、

 シロは回復の泉に回復効果の付与。

 クロは通路に自動修復型の罠を設置。

 ソラも何やら通路と部屋に魔法石を仕掛けていた。

 シェリルは魔物づくりを続けている。


 途中、休憩や食事を摂りながら作業を進める。

 もう深夜と呼べる時間帯。外では暗闇が広がっている。


 各自の作業も終わり、いよいよ大詰め。

 全員でダンジョン入口と最終ボス部屋をそれっぽくする。

 入口は大理石の床に太い柱と屋根をつけて荘厳な雰囲気に。

 最終ボス部屋はシェリルが目立つようにライトアップしたステージ。


 みんなの表情に疲れが見える。

 けれども、それ以上にやる気に溢れて誰も手を止めようとしない。


 やがて、もうすぐ夜が明けるころ、


 ……シェリルが手を止めて、


「終わり……?」と疑問形で話す。

「終わりですね……」とソラはあるじの言葉を肯定する。

「完成ですわ……」とシロが念を押すように返事をする。

「……できた」と事実を述べるクロ。


 最終ボス部屋で最後の仕上げを終えたひとりと三体。

 晴れやかな笑顔で顔を見合わせて――、

 押し寄せる睡魔に身を任せ、そのまま静かに眠りに落ちる。

 せっかく作った生活空間ではなく、最終ボス部屋のステージの上。

 満足そうな顔で体を寄せ合って。


 出来上がったダンジョンは――、


 部屋数は少ないし一階層しかないけれど、通路と部屋の大きさは立派な物。

 魔物だってザコから大ボスまで。倒せば魔石も手に入る。お宝だってある。

 さらに最終ボス部屋の前に回復の温泉もある。


 そして最終ボスを務めるのはこのダンジョンのあるじ

 最強の魔族の少女。

 その周りを守る三体の少女人形。


 そしてそして――、それだけじゃない。

 ひとりと三体の思いが詰まっている大切な空間。


 こうして――、

 世界に唯一無二の手作りダンジョン「シェリルのダンジョン」が完成した。


 すでに日付が変わって、今はもうダンジョン作成七日目。


 ……今日はお休み。



挿絵(By みてみん)




 第十一話お読みいただき、ありがとうございました。


 今回でダンジョン作成の話は終わりです。

 次回から町へのダンジョンお披露目の話です。


※11月4日 後書き欄を修正


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