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夢

 朝香はまた森の中を彷徨《さまよ》っていた。遙香から貰《もら》った御札《おふだ》のお陰で、これが夢だと認識できている。とは言え、夢の内容自体は変えられない、森の気温や臭い、そして疲労感まで感じるヴァーチャルリアリティだ。


 そしていつものように、彼岸花に囲まれた祠に辿《たど》り着く。


 あさか……


 数日前まではハッキリ聞き取れなかったが、現在は何と言っているかも知っているので、男の子が自分の名前を呼んでいることが判る。


「だれ?」


 口が勝手に動き、幼い自分の声が聞こえた。


「だれかいるのぉ~?」


 さらに大きな自分の声。


 あさか……


 また、自分を呼ぶ声がして男の子が姿を現す。このあと「もうすぐ行くよ」と彼は言う。


 だが、今日は違った。少年が突然眼の前に迫ってきた。彼の双眸《そうぼう》は漆黒の闇だ。


  え……?


「朝香、そんなことをしても無駄だよ。明日、必ず迎えに行くから」


 少年の眼に吸い込まれ、すべてが闇に包まれる。


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