81話
お子ちゃまの、わたくしと大人のユジン。
どう頑張っても追い付くはずも無く、どんどん距離が放れていきます。
「待ってー!」
大きな声で呼び止めても、ユジンの耳には入って居ないのか、無視しているのか、振り返ってもくれません。。
そしてわたくしが着いたのは、王宮の北側、ユジンの住んでいる宮殿がある場所です。
ずっと必死に走っていたので息を整えながら、再びユジンの姿を探します。
(ここに来たのは3回目ですが相変わらず暗い場所ですね~。ちょっと怖いし…)
でも、そんな事は言っていられませんね。
「ユジンどこにいるのー!」
わたくしは、探しながらユジンを呼びます、
そうして、ユジンを無事に発見です。
「あ!?ユジン見つけた」
「ひ、姫様…?!」
わたくしは、まずイリノの失言を謝ります。
「ユジン。イリノがごめんね」
「いえ。姫様が、る事ではありません。私が身の程もわきまえず、姫様に会いに行ったからです」
「そんなこと関係ないよ。ねぇ、ユジンはどうしてそんなに、自分を悪く言うの?ユジンは何も悪いことしてないのに…」
ユジンは過去の事を、わたくしに話してくれました。
「私は、府にいた頃、自分の存在を誇りに思ってました。 冥府での私の役目は、冥界の統治神のエンマ様の副官として支える事でした。地上で罪を犯した者の裁きを円滑に進める事で、冥府は元より地上の為にもなっていると…。
しかし、冥府で、エンマ様と考えて方の違いから、冥界を出て地上に来た時、私は、想像していた地上の様子と余りにも違う事に愕然としました。
私の目の前には、沢山の苦しみに満ちた大勢の人の姿がありました。
しかし、死神の私に出来た事は、ただ死者を冥府ヘと導く事だけ、そして人間達にとっては、愛する者との別れとなり余計に苦しめていた。
私は、自分の存在が、人を不幸にし傷つける存在だと気づいたのです。
だからこそ、そんな私に相応しいのは戦場。
こんな私に、居場所をくださった陛下の為に、ただ戦う。
死神の私には戦場こそが、相応しい場所なのです」
(う~ん。お子ちゃまの私に、ユジンは一生懸命に、難しい話をしてますが……。ごめん…。難し過ぎてわからないや)
でも、ユジンの苦しみが本当は人に受け入れられたいのに、人からの恐れられたり、拒否されたりしているからなのは分かりましたよ。
わたくしは、ユジンの手を取り自分の頬にそっと当てた。
「ねぇ、ユジン。こうして触れられても、わたくしは、怯えたりしないし、ユジンだってわたくしの事、傷つけたりしたいと思わないでしょ?」
「それは、もちろんです。そんな事をする位なら、私は消えた方がましです」
(それは大袈裟ですよ)
「わたくしは、ユジンの事が好き。戦場以外だって、ユジンが居てもいい場所は沢山あるよ」
「しかし、私といると姫様が不幸になるかもしれません…」
まだ起こってもない憶測で言われても…。
「もし、わたくしが、不幸になったとしても、それはユジンのせいじゃ無いよ。だって、わたくしユジンといる今が幸せだもん」
「姫様は、私といて…幸せなんですか…?」
ここで、ユジンに自信を付けて欲しくて、ダメ押ししたのが、不味かったですね~。
「うん!幸せだよ。もし、この先わたくしが不幸になったら、それは…保護者とか、この国の王様とかのせいだから。ユジンは全然関係ないよ!」
そもそも父様の娘に生まれた事が、わたくしのとっては、波乱万丈のはじまりですからね~。
「それって、どっちも僕じゃないか……」
(ふぁ?!)
今、頭上から聞き覚えが、ある声でつっこみが飛んで来ましたよ!
(ふぁ~!父様なんで、こんな所にいるんですかー!?)
「えっと……父様は、どうして、ここはいるの?!」
ユジンとの会話は絶対に聞かれたよね……?!
「ユジンが、セリの忘れ物を届けるって言って、出て行ったきり戻って来ないから、探しに来たんだよ」
「あっ!陛下、申し訳ありません…」
ふぁ~!父様、明らかにご機嫌斜めですよー!
一難去ってまた一難です!!
仕事が忙しいく、書く時間がなかなか取れません。
次の更新は、土曜日になります。
よろしくお願いいたします。