45話
潜水艇は魚や珊瑚海藻と色々と美しい景色の中を進んで行きます。
甲板の椅子に座って眺めてますが、そろそろお腹が空きましたよ。
隣に座っていた父様が、わたくしの様子を見て声を掛けてくれます。
「セリ、そろそろお昼にしようか?」
「うん。食べるー」
甲板で、お昼は無理なので、お部屋に向かいます。
食堂のお部屋は大きな窓のある部屋で、大きな机には、沢山の料理が、すでに並べられています。
竜宮では、お魚料理が中心でしたが、船の料理は、お肉料理中心ですね~。
好きな料理を小皿に取って食べる形式らしく、料理も色々あります。
わたくしは、お子ちゃまだから、シノエ達が手分けして、よそってくれましたよ。
「お嬢様、どれも美味しいですよ。沢山召し上がって下さいね」
そう言って、全種類を小皿に盛って来て、わたくしの前に並べらてくれます。
(全種類を、よそってくれたのは、ありがたいけど、こんなに食べられません…)
父様は、自分で好きなのよそってますね。
いいなぁ~。
食事をしながら、父様とお話も楽しみます。
「この船は、どこに向かってるの?」
「適当に海の中を走っているだけだと思うよ」
目的地は無しですか…。
(まぁ、海中散策が目的と言えば目的ですからね~)
「いえ。深海を目指しております。主様」
側に控えていた、ジェノが、あっさりと父様の答えを否定します。
「えっ!?水圧に結界が耐えられないだろう」
「長年の研鑽末、ようやく深海の水圧にも耐えられる、強固な結界を作れる様になりました」
「なぜ、そんな無駄な研究を……。別にしなくてもいいだろう」
深海に何があるんですかね?
「深海には何があるの?」
「はい。深海には主様の造られた魚が、沢山生息しております」
おお、父様の造ったお魚見学会でしたか!
それで父様は深海行きが嫌なんですね。
「私達、人魚の元となった魚も深海におります」
「えっ?人魚の元の魚??」
それは一体??
「はい。主様は、造化で魚を造ってから人化の薬を、我々に与えて下さいました。
ですが…。全ての魚を人魚に変える前に魚を入れてた場所が悪く、一部が海に逃げてしまったのです。その魚達は、今は深海に住みついております。」
ふぁ!そうなんですね~。
人魚さん達はとても綺麗な人姿をしていますし、父様が造ったぽく無いと思いましたが、魚を造ってから、人魚に変えるとは、以外と手間暇かけてますね。
「それで、どうやって薬を魚にあげたの?餌に混ぜの?」
「いえ…薬汁の入った大きな水槽の中に我々魚を入れました。
私が魚だった頃の記憶は無いのですが、薬効が現れ、自我に目覚めた時は、薬汁の苦さに驚いたのを覚えてます。」
そう言うとジェノは、苦しそうな、表情になりましたよ。
本当に、薬汁は、苦かったのでしょうね…。
本当に、人魚さんは薬漬けでしたか…。
他の人魚さん達も『うんうん』と同意しているしね。
人魚全員、心の傷ですか…。
(お気の毒ですね~)
「まぁ、最初にジェノを造って、たまたま成功したから、その後の人魚生産や教育、衣食住全てをジェノに任せしまったから、魚が逃げ出してるなんて、全然、気づかなかったなぁ~」
ジェノが最初の人魚さんなんですね。
それで人魚さん達を束ねる立場に。
「竜宮も最初の頃は屋敷と庭だけの規模で、人手も余り必要ありませんでしたし、竜宮の規模を大きする時になって、人魚を増やそうとして、魚がいないのに、気付いたのも致し方ないかと」
竜宮って最初は海の中に、ぽっんと一軒家ですか?!
「うんうん。その後、色々必要になって増築してる内に、大きな都市みたいになってしまったね」
父様は計画性がない上いい加減ですね~。
ジェノは生まれた時から、父様が苦労を掛けて申し訳ない。
竜宮の昔話は聞いてて、とても面白いですね。
まだまだ色々聞きたいですよ。




