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対 梶川光流

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。


今回は勇者視点です。


「ころす、コロスころす殺す」



こえぇぇええ!! 催眠スキルで虚ろな声なのが逆にヤバい! 怖すぎィ!

目ぇ光ってるし、仮面着けてるし、もう不審者とか通り越して完全にアカン奴ですやん!

さらにステータスが分からないのがヤバい。いったい、どれだけの強さなのかまったく分からん。


≪いえ、『あの人のメニュー機能』と会話を試みた結果、ステータス情報の遮断は解除されました! 今ならステータスを確認可能です!≫


……そうか。

あの人のメニュー機能、ってことは、やっぱりアイツの正体は……!








梶川 光流


Lv55


年齢:25


種族:人間


職業:ERROR(判定不能)


状態:洗脳((故)リーグヴェイン)


【能力値】


HP(生命力) :1890/1890

MP(魔力)  :1325/1325

SP(スタミナ):0/862


STR(筋力) :1563

ATK(攻撃力):1565(+????)

DEF(防御力):1556(+240)(+200)

AGI(素早さ):1555

INT(知能) :1562

DEX(器用さ):1578

PER(感知) :1583

RES(抵抗値):1539

LUK(幸運値):1539



【スキル】

※取得不可※


【称号】

格上殺し 怖いもの知らず 魔獣キラー 魔獣ジェノサイダー 魔族討伐 真魔討伐 奇跡の癒し手 恐怖の化身 恐怖の大王 理に背くもの 死を乗り越えし者 処刑人 千の壁突破 二千を超えて 三千世界へ 四千の海渡り 五千の空を 六千の星数え 手八丁 健啖家 鬼神の弟子 終焉災害事前討伐勇士


装備

名無しの大槌(付呪・爆発機関内蔵)

ATK+????


鬼革の胸当て

DEF+240


白金鶏の手袋

DEF+200







……………………………………………………。

なんだこれは。

なんだこれは。

な ん だ こ れ は 。



うん、梶川光流って名前から察するに、予想通りこの人は日本人だ。

神様が言ってた通り、スキルを取得することができないようで ※取得不可※ と表示されている。

ここまではいい。ここまでは。


それ以外のステータスにツッコミどころしかねぇ! なんだLv55って!?

この人、オレよりひと月くらい早くこっちの世界に飛ばされたらしいけど、それだけでこんなにレベルに差がでるか普通!?


てか能力値、能力値もおかしい! ほとんど偏りが無くて全ての能力値が1500を超えてやがる!

称号欄にも見たことがない項目がわんさかあるし。恐怖の大王やら鬼神の弟子やら。


名無しの大槌(付呪・爆発機関内蔵)って、さっきまでボコボコ爆発させながら振り回していたのは付呪の効果だったのか。

ATKの値が不明扱いになってる。この武器も相当ヤバそうだ。



いっそのこと 種族:人間 じゃなくて 種族:バケモノ とか書かれていたほうがまだ自然なレベル。

神様もそりゃ困惑するわ。なんだこの人。



……さっきの魔族、Lv82だったよな? 総合力じゃLv55のこの人のほうが上なんですけど。

でも、能力値を倍加させる真魔解放を使っていた相手に、このステータスでも勝つのは難しいんじゃ――




とかステータスをまじまじと見ていたら、いつの間にか目の前に仮面が接近していた。




「うおおぉおおおお!!?」


「ころす」




い、い、いつ動いたんだこいつは!? 速すぎて目で追えなかったぞ!

やばい、大槌を振りかぶってやがる! 盾術で防御!



「うわぁぁあっ!!?」



まるでビスケットでも割るかのように、容易く盾を砕かれてしまった。

これ、Aランクの亀形魔獣の甲羅を加工して作ったクッソ硬い盾なんだけど!?

一撃が重すぎる……!! よくこんなクソ重いもん振り回せるなこいつ!



「ころす」


「え……?」



盾を砕かれた直後、オレの顔の前に、仮面が手をかざしているのが見えた。

いったい、なにを――



≪伏せてっ!!≫



「っ!!」



メニューに言われて、反射的に頭を下げた。

さっきまでオレの頭があった空間に、空を切る音。

目に見えないなにかが掌から撃ち込まれたのが分かった。



な、なんだ今のは、スキルか? いや、スキル使えないんじゃないのかよ!?

メニュー、いったいどうなってんだ!?


≪ああもう、やむをえません! この人、スキルを介さずに魔力や気力を直接操っています! どういう原理なのかさっぱりですがスキル技能と遜色ない、いえそれ以上に強力で汎用性の高い行使が可能なようです!≫


……は?


≪だから、スキルが使えなくても全然ハンデにはならないってことです! むしろ能力値が高い分、同レベル帯の人間よりも圧倒的に有利です! 今はスタミナが底をついていてこれ以上能力値の強化はできないようですが、それでもLv70~80台相当の実力があると思ったほうがいいです!≫


もう意味が分からん!

さっきから『なんだ』ばっか言ってる気がするけど、何度でも言うぞ! なんだコイツ!?



≪このレベルの洗脳スキルを解くには、最上位の解呪スキル技能を使用するか、生命力をゼロにするぐらいしか方法がありません!≫


最上位の解呪スキルって、神聖職が使うようなやつか? 解呪する前に軽く2、3回は殺されると思うぞ。

てか生命力をゼロにするって、殺すってことか? それじゃ本末転倒じゃねーか。


≪……いえ、あの人のメニュー機能が言うには、あの人は攻撃を受けた際に、怪我をする代わりにHPが減っていくだけで、肉体そのものにダメージを負うことは無いようです。少なくとも、HPが尽きるまでは≫


……OK、もうツッコまんぞ。

要するに、正気に戻るまでは殺すつもりで攻撃しても問題ないってことか。

これで死なない程度に手加減しろとか言われたら無理ゲーもいいとこだし、正直ありがたい。


≪それでも相当厳しい戦いになりそうですけどねー……。倒す算段は?≫


あるわけねーだろ!

さっきの白魔族と大差ないバケモン相手にどうしろってんだ!


ヒュームラッサとガザンギナンドは気絶しちまったし、レヴィアとオリヴィエとアイナさんと一緒になんとか倒すしかない!

攻撃力や防御力、あと素早さなんかの主な能力値はシャイニングタイガーと大差ない。

なら、ギリギリなんとか―――



「ころす」


「きゃぁあ!?」


「か、身体が引き寄せられて……!?」


「なっ、なにぃっ!?」



早速連携して戦おうとしたところで、急に見えないなにかに引っ張られるようにレヴィアとオリヴィエの身体が仮面に引き寄せられた。

アレも魔力を操って、引き寄せてんのか!? 万能なうえに不可視とか反則だろ!



「ど、どうなってるのコレ。は、離しなさい! 」


「しね」


「ひっ……!」



無機質な声で呟きながら、レヴィアとオリヴィエに掌を向ける。それを見て二人ともか細い悲鳴を上げている。

死に戻りができるとはいえ、殺されそうになる恐怖はそう簡単に克服できるものじゃない。



「!」



さっきみたいに不可視のなにかを二人の頭に打ち込もうとした瞬間、仮面の胴体に光る杭のようなものが突き刺さった。

あれはアイナさんの、【パラライズアロー】か。命中した相手を『麻痺』状態にする技能だ。



「ごめん、操られているとはいえさすがに目の前で弟子をいじめられるのはちょっとね。しばらくおとなしくしてて――――」


「ころす」



レヴィアとオリヴィエを手放し、アイナさんにターゲットを変更したように向き直る仮面。

身体を動かすのになんの影響もない様子だ。



「……あれ? も、もしかして麻痺が効いてなかったりする……?」


「アイナさん、この人抵抗値が1500を超えてる! 並の状態異常は無効化されちまうみたいだ!」


「せ、1500って……。Sランク魔獣の超猛毒でもないとすぐに無効化されるレベルだねー……ホントこの人おかしいよー……」


「ころす」


「ひぃっ!? はやいはやい速すぎるって!!」



【縮地】、いやそれすら超える勢いで高速移動し、アイナさんに殴りかかる仮面。

やばい、アイナさんは死に戻りができない! なんとしても殺されるわけにはいかない!



「ううぅっ……!! ………あれ……?」


「……」



アイナさんの顔面に拳が当たる直前、寸止めするようにパンチが止まった。


も、もしかして、洗脳が溶けたのか?



「か、カジカワ君……? 正気に……」


「種族、『エルフ』。『人間』ではない。非殺害対象」


「え、ええ……?」



違う、単にアイナさんが『人間』じゃないから殺す対象とみなされなかっただけだコレ!

あの魔族が『人類』って言ってたらヤバかったけど、洗脳スキルの仕様なのか変なところで融通がきかないおかげで助かった…。



「付近の人間……ころす」


「っ!」



まずい、今度は気絶してるヒュームラッサとガザンギナンドのほうへ目を向けやがった!

殺しやすい対象を優先しているのか? このままだと無防備な二人からやられる!



「みんな、ヒュームラッサたちを守れ!」


「ダメ、速すぎて追いつけない!」


「くそ! 味方だと怖えが頼りになるのに、敵に回るとここまで厄介なのかよ!」



再び凄まじいスピードでヒュームラッサたちのほうへ移動し、地面に転がっていた大槌を掴み、構えた。



「しね」


「や、やめろぉぉぉおおっ!!」



このままじゃヒュームラッサたちが殺される!

ダメだ、いくら操られているからとはいえ、人を殺してしまったら、正気に戻った時に、どれだけ後悔することになる……!

ヒュームラッサたちを死なせるわけにはいかない! この人に、人殺しをさせるわけにはいかない! 間に合え、頼む、止まってくれ!!




無慈悲にも大槌がヒュームラッサたちに振り下ろされ、振動とともに地面が抉れて砂埃が舞う。

…………あ、ああ、ま、間に合わなかった……!



≪……いえ! 彼は誰も殺していません! ヒュームラッサさんたちは無事です!≫


…え?








「カジカワさん、なにやってるんすか!!」


「………ヒカル!」




仮面の男を厳しい表情で睨みながら、ヒュームラッサたちを抱えている人影が見えた。

あれは、レイナミウレと、アルマ……!? と、ヒヨコ?


≪【影潜り】で救出したようですね。……彼女たちならば、あるいは……!≫



む、無茶だ。

いくらなんでもステータスに差があり過ぎる! あの子たちじゃすぐに殺されちまう!



「人間……ころす……」


「うわ、なんか怖いこと言ってるっす!」


「……ヒカルの中に、変な魔力が渦巻いてる」


「しかも目ぇ光ってるっすね……。多分、誰かに操られてるんじゃないっすか?」


「……仕方ない、ヒカルには悪いけど、ちょっと眠っててもらう」


「了解っす!」


『ピッ!』



まるで恐れる様子もなく、仮面に立ち向かう二人。

………もしかして、この二人のパーティのリーダーが、この仮面なのか……?


お読みいただきありがとうございます。



>おいおいおいおいおーーーーーぃ!!


主人公が操られてからコメ欄が阿鼻叫喚で草。


>鬼先生は攻撃対象じゃないので無駄だけど、―――


余裕で止められるでしょうね。

むしろオーバーキルしないか心配なレベル。


>アルマさんの抱擁と呼びかけとかで一瞬で止められんじゃねーですかね


多分、そのまま絞め殺されると思うんですが。某オーガかな?


>キャーーーーーァァァァ!!(゜□゜)――――


魔王「なにこいつコワイ」


>ベタな展開だとヒロイン的存在が洗脳を解いてくれるはずだけど―――


発想が鬼畜で草。

まあサンドバックにするにはもってこいの状況ではありますが。


>口からスクロール? 口がでかいのか、スクロールが小さいのか―――


小型のスクロールを仕込んで、最悪の事態に備えていたようです。

唾液べちょべちょでしょうね。きちゃない。


>ヒカル洗脳状態だと直接操作使えない説に1票


魔力は使えますが、気力操作はスタミナ切れで使用不可ですね。

変換しようにもメニューが空気読んで変換させないようにしているので能力値の強化はできません。


>スタミナを使いまくっているってことは空腹ってこと―――


主人公はスタミナ切れても行動不能にはなりません。

元の肉体が飢餓状態になったらべつですが。


>勝った方が我々の敵になるだけです


ゴ〇ラかビオ〇ンテか。さすがにあそこまで絶望的じゃないと思いますが…。


>うわああ最後っぺ腹立つ!――


呼ばれたので来ました。


>アルマさんの愛がカジカワさんの目を覚まさせる事を祈って、って展開だとベタだけどモエるね。


なお目覚めさせるのは愛(心)ではなく愛(物理)な模様。


>白魔族VSカジカワ 感想「よ、容赦ねぇ」―――


容赦? なにそれおいしいの状態。

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
下の人 魔族の目的思い出せよ
[一言] 殺意マシマシで魔族を殺してた怪物が今度は人間をターゲットにするとかいうサイコホラー感 そして、動きは予測不能かつ理解不能なコズミックホラー 奴はどこまで行っても名状し難きヒューマン(公表)
[良い点] なし [気になる点] 序盤ならまだしも散々冒険してる主人が今更洗脳されるアホさ加減 [一言] アルマとかを保護者って言い訳で上から目線で見てたのに、洗脳されるとかいうのはちょっとひどい。ご…
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