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『白魔族戦』の決着

新規の評価、ブックマーク、誤字報告、感想をいただきありがとうございます。

お読みくださっている方々に感謝します。




「どぅりゃぁああああああっ!!!」


「ぐぅっ……!!?」




仮面の持つ大槌が、爆ぜながら振るわれる。

重量武器とは思えないほどの、とんでもない速さ。

白い魔族もギリギリで反応して大槌を防いだが、大槌を受け止めた腕を痛そうに押さえている。




「貴公、なにをした……? 先程よりも、強く……!」


「自分で考えろっつってんだろ!」



さらに追撃で大槌やら拳やら蹴りやら連続で魔族に向かって撃ちこみ続けている。



「舐めるな、人間如きがぁぁあ!!」



怒号。


ここにきて、白い魔族が初めて焦りの色を見せた。

その咆哮を聞いてるだけで、気を失いそうになるほどの迫力だ。

……ホントに、こんなヤツを倒せるのかよ……?




「やっかましいわ! その人間如きに追い詰められてんのはどこのどいつだ! 殺す! ブチ殺すっ!!」




そして、それに対して仮面がさらに大きな声で怒鳴り散らした。

先程の怒号が霞むほどの、例えるなら鬼神の喝。近くに生産職の人でも居ようもんなら気絶してぶっ倒れていてもおかしくないだろう。

……どっちが魔族だっけ? 仮面で上半分が隠れていても分かるくらい、怒りに満ちた表情。怖すぎる。



「は、はは……。腰抜けちった………」



アイナさんが後ろで尻もちをつきながら乾いた笑いを漏らしている。

多分、白い魔族じゃなくて仮面のほうにビビった結果だろう。

あの神経図太いアイナさんが腰抜かすとか、あの仮面ホントに人間か……?




「焼け死ぬがいいっ!!」




白い魔族が再び【バーニングフレア】を発動する。

直径数十メートルもの大火球。あんな魔法、そう何度も防げるのか……!?




「邪魔だっ!!」




………仮面の男が火球に接近し手をかざしただけで、火球は空中で破裂し消え去った。

いやいやいやいや、なにが起きた!? あの仮面なにしたんだ!?


≪爆発性の液体、いえ、液体化するほど高密度の、可燃性魔力のカタマリ……!?≫


え、なにそれ。そんなスキルあるの?


≪……スキルでは、ないです≫


いや、じゃあなんだよ?


≪わ、分かりませんー………ホントあの人なにやってるんですかねー……≫


……メニューが困惑するほど訳分からんことやらかしてるのか。

そういえば、こっちの世界に来る直前の説明でも、なんか『非常識なことをやらかしてる』とかなんとか神様が言ってたっけ。

やっぱり、あの仮面の正体は……。











~~~~~非常識な仮面視点~~~~~









ふはははは! 見える、見えるぞ!

さっきは鬼先生に匹敵するほどの速さに防戦一方で根負けしてしまったが、今の俺なら問題なく対応可能だ!

よくもボコボコにしてくれたな白魔族! 一方的にやられるほうの身にもなってみろっ!!



「お゛らぁっ!!」


「ふぐっ!?」



攻防の途中、白魔族の顔面に向かって俺の頭から魔力パイルをぶち込む。

目に見える攻撃ばかりに気を取られてちゃいかんぞー。

さっき自分で見えない何かに攻撃が弾かれるって言ってたやん。当然それを使って攻撃もできるんですよー。



「く、おの、れぇぇぇええ!!」


「せりゃぁぁああ!!」



【魔手刀】を発動し、斬撃をしかけてきた。こちらも魔刃改で迎撃!

手刀同士がかち合うと、魔族の手にまるで日曜大工の木材の如く徐々に切り込みが入っていく。



「ぐううぅぅッ!!? く、喰らえぇぃっ!!」



怯まず、今度は【鉄槌頭突き】か。

攻撃力6000を超える頭突き。さすがにこれを喰らったらヤバい。

でも、馬鹿正直に喰らってやる必要はないよねー。え、オーガとの初戦闘? 記憶にございません。



「お前が()()()!」



アイテムボックスから『ライトニングペッパーパウダー』を取り出し、頭突きを避けつつ白魔族の顔面にモロにぶちまける。

目やら鼻やらに刺激物をねじ込まれ、たまらずのけぞる白魔族。超痛そう。



「くうぅぅうう!? こ、ざかしいっ!!」



多少効いたようだが、すぐに持ち直しおった。

嫌がらせにしかなってねー。いやー失敗失敗ーはははー。





この白魔族はクソ強い。普段の俺なら全ての気力を消費して能力値を3000程度まで強化してもわずかに及ばない。

なのになぜこんなにも圧倒できるようになったかというと、答えは至ってシンプル。とある作戦によるものだ。



名付けて「能力値3000で足りなければ、さらに強化すればいいじゃない」作戦である!

え、そのまんますぎる? 前にネーミングセンスに期待しないでって言ったじゃないですかー。



内容としましては、まず火球をファストトラベルで避けた後にちょっと薬屋に行きまして。

回復ポーションやら魔力ポーションやら買いまくって、魔力を何度も何度も気力に変換し、気力操作で限界まで能力値を強化。

身体全体を強化するのは今の俺じゃ能力値6000強程度が限界みたいだが、これなら白魔族のステータスよりもはるかに上。


ほぼノーコストで能力値を倍化なんて反則技をつかうから、こっちも自重を捨ててドーピング強化しまくってやった。倍返しだ!

部分的な強化ならさらに能力値を上げられるだろうが、ここまで圧倒できるならその必要もなさそうだな。



「貴公を侮っていた……! よもや人間ではなく、人の皮を被った化物とは……!!」



だれが人の皮被った化物だ! そりゃてめぇのほうだろうが!

心の中でツッコミを入れつつ、さらに追撃。

格闘術スキルがある分、近接戦闘の立ち回りじゃ向こうに分があるだろうが、ここまで能力値に差があればゴリ押しでなんとかなる。




「しっ!!」


「おのれぇっ!!」



こちらの拳を防ぎつつ、白魔族が蹴りで反撃。

蹴りを掴み、そのままジャイアントスイングをするように回しまくる!



「うおおおぉぉおおお!!?」


「ずおりゃぁぁああっ!!!」



回しまくった遠心力を乗せて、地面に思いっきり叩きつけた。

地面が砕け、砂埃が舞う。



「ぐううぅぅっ……!!」



さすがの白魔族もこれは効いたらしく、顔を血塗れにしながら表情を歪めている。


でもこれで終わりじゃないよ?



「か、身体が、動かぬ……!?」



倒れている魔族の手足を気力と生命力をふんだんに込めた魔力装甲で拘束し、地面に固定。

そして、取り出したるは爆裂大槌。あとは、分かるな?



餅つき大会の始まりである。



全気力を使いつくすつもりでいきまっしょい。












~~~~~再び、勇者視点~~~~~











「そーれペッタンペッタン」


「ガハァッ!! オブッ!? グガァァアアッッ!!!」




……なんとも気の抜ける掛け声を発しながら、大槌を餅つきの如く何度も何度も白い魔族に振り下ろす仮面。

そのやる気のなさげな声とは裏腹に、振り下ろされる大槌はとんでもない威力で凄まじい殺意が籠められているのが分かる。


一撃ごとに白い魔族が血反吐を吐き、骨が砕け、内臓が潰されていく。

え、えげつねぇ……。この仮面、容赦なさすぎるだろ。


てか、この魔族もすごい生命力だな。

普通、あんなグチャグチャにされたらもう死んでてもおかしくないだろうに、辛うじて生きているとか。


だが、もうそろそろHPが尽きそうになっている。

あれほど圧倒的な力を見せつけた相手を、容易く捻り潰すとか。この仮面、実は魔王とかじゃないよな…?


もう放っておいても死にそうな魔族を見下ろし、トドメと言わんばかりに大槌を振りかぶる仮面。




「……死ね」


「ふ、ふふふっ……ゲホッ……! その、強さ、その、最後まで、鈍らぬ、殺意……! 敵ながら、天晴という、べき、か……!」


「ありがとよ。全然嬉しかねぇけどな。……では、ごきげんよう」






魔族にトドメの一撃を振り下ろす瞬間。









魔族の口からなにかが仮面に向かって放たれた。


出てきたのは、スクロール…?



スクロールが紐解かれ、中から鎖がヘビのように這い出て仮面に巻き付いていく。

動きを拘束する魔法か…!? あんな隠し玉を持っていたのか!




「っ!?」


「素晴ら、しい、力だ……!」



さらにスクロールを吐き出し、仮面に向かって紐解かれた。



スクロールから、紫色の不気味な光が仮面の男に照射される。



「ぐうぅぅ……!!?」


「その、力、ならば、私が、ここで死のうとも……!」



≪ま、まずいです! あれは洗脳スキルの光ですよ! 強力な術者数十人分もの術式が込められたスクロールなんて、あんなもの抵抗不可能です!≫



せ、洗脳だって……!?






「最初、で、最後の、命令、だ……! 可能な、限、り、多くの、人間を、こ、ろ、せ…………!」






そう告げて、白い魔族がこと切れた。

とんでもない爆弾を残したまま、安らかな表情のまま、逝きやがった。






その直後、仮面の男が、ゆっくりとこちらを向いた。



「………」



仮面越しに、目が紫色に光っているのが分かる。

……どう見てもヤバそうなんですが。



「……あちゃー……。あれ、洗脳されてるっぽいねー……どうしよ」



後ろでアイナさんが呟く声が聞こえた。

その顔には、脂汗が浮かんでいる。


無理もない。目の前にいる仮面の強さはさっき嫌というほど見せつけられた。

その牙が、今度はオレたちに向けられようとしているのだから。




「命令、確認……………ころ、す………」




仮面の男が、虚ろな声を発しながら大槌を構えた。

……マジかよ……!


さっきの白魔族すら超える、とんでもない化物と敵対することになった。

もう、絶望しか見えないんですけど……。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございます。



>エリクサー使った後に生命力操作で回復。―――


そこまで入念な準備をできるほど頭よくない模様。

能力値を上げて物理で殴ればいい戦法。脳筋極まれり。


>白魔族の口調が未だ丁寧なのが何気にイラッと来るなあ――


ちょうしこいてんじゃねェ 小僧ォッ の必死さ大好き。

口調は大して乱れませんでしたが、まあその前に死んでしまったのでご勘弁をば。


>エリクサーと気力回復薬使ったんかな?あとの戦闘構築は分からないけど、それが楽しみ――


戦闘構築|(ゴリ押し)

エリクサーはまだ出番は先ですね。最悪、最後までコレクションアイテムになるかも分からぬ。


>頑張れ勇者、心折れないでね


今まさに折れそうになっている真っ最中という。





























≪ちょっとぉぉおおお!! なにやってるんですか! こんなバケモノどうやって止めるんですか!!≫


≪…既にスタミナは底をついている。先程の魔族を相手にするよりは、比較的容易であると推測≫


≪それでもヤバいですって! てかステータスを開示しなさい! もう『魔王のメニュー機能』は追い出しましたから、情報が漏れることはありません!≫


≪…了承。遮断を解除。勇者にステータスの開示をするように指示することを推奨≫


≪てか、さっきの魔族よかマシとはいえ、五十歩百歩じゃないですか……どうするんですか?≫



≪梶川光流のHPをゼロまで減少させることで、洗脳スキルの影響を解除可能と推測≫


≪……それは、殺してしまってもかまわない、ということですか?≫


≪否定。普段、梶川光流のHPは肉体と連動していない。傷を負うほどの攻撃を受けた場合、HPは減少するが肉体そのものは無傷≫


≪なんですかそりゃ!? HPが尽きるまでは、殺すつもりで攻撃してもかまわないというわけですか?≫


≪HPがゼロを下回るほどの過剰な攻撃でなければ、問題なし≫


≪そうですかー。……それでも相当厳しい戦いになりそうですけどねー……≫

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
― 新着の感想 ―
[良い点] スクロールしていって、そーれペッタンペッタンの一文でガチで麦茶噴いたわw
[一言] 美白魔族「我の次はガングロが相手になるだろう。ガクッ」(最後までセリフです) 説明があった(仮)スーパーヒカルさん。多分お金はカウンターに置いてるのでは? 忙しいところですが「棚にあるやつ…
[気になる点] 強化中なので抵抗力6000程度(抵抗力未強化で1500超え)を操るのに強術者10人、ならかなり大目に見て100人分で洗脳と拘束スクロール作れば何でも操れそうですね。 拘束->洗脳コンボ…
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