第5話
俺達はステーションの工業地帯に来ていた。
熱気と金属を加工する音でエリアが満たされている。
「ようやく船が買えるとなるとワクワクするな!」
『あの貧乏だった頃を思うと泣けますね』
「はは…っとアレは何のデモだ?」
視線の先にはプラカードを持った人達がいる。
『いえ、アレは船のパイロット達ですね。お店に登録していたりもしますがあんな風にアピールをしたりもしてます』
「へー」
いろんな種族のパイロット達がそれぞれのアピールをしたり、色気を振り撒いていたりと賑やかだ。
「おっ、あの子可愛い」
『色気に騙されると大変な事になったりしますよ』
「分かってるって…」
「そこの青年!待つコポ!」
「ん?」
声をかけられ後ろを振り向く。
そこにはプラカードを掲げ、更にはサンドイッチボードまでして身体の殆どが見えない珍妙な生き物が居た。
「なんだコレ」
「なんだとは失礼コポ!コポは偉大なパイロットだコポ!」
丸い身体に申し訳程度の手足。
ペンギンとマシュマロを足して2で割ったような生き物としか言えなかった。
「おっほん。おまえコポを雇うコポ」
「は?」
「雇うコポ」
「なんでコポ?」
「真似するなコポ!コポは世界一のパイロットだコポ、雇って損はないコポよ~」
「ん~」
『一応この生物はS級のライセンスを持ってはいるようです登録されています』
ステラが調べたようだ。
「え~でもな~、もっと可愛い女の子とか強そうなやつの方がなぁ」
「コポの方が可愛くて有能コポ」
「ん~、ちなみに給与はおいくら程?」
「年間1兆クレジットコポ!」
「さよなら」
「待つコポ!待つコポ!分かった下げるコポ……8000万はどうコポ?」
振り返らずに去ろうとした。
が、足にしがみつかれた。
「な、なら5000万……3000万……1000万でもいいコポ!」
「ん~…」
「ひもじいんだコポ~、雇ってくれるならいくらでもいいから雇ってコポ~」
『いい買い物だと思いますよ?』
「はあ~、なら年給は1000万で後はボーナスってのは?」
「やるコポ!やらせて頂くコポ!コポはコポっていうコポ。よろしくお願いするコポ」
「俺はシュウ、あとナビゲーションAIのステラがいる」
ステラの設定を変えてコポにも聞こえるようにした。
『よろしくお願いしますコポさん』
「こちらこそコポ」
「それで今から船を買いに行くけど来るか?」
「行くコポ!」
そうして3人は船を買いに改めて出発するのだった。
店はコポの紹介で決めることにした。
「任せろコポ!予算で最高の船を買ってみせるコポ!」
そう言ってコポは店に入って行った。
必要な設備をコポに伝えてあるのでどうなるのか後はコポの腕次第だ。
「大丈夫かな」
『契約はシュウがするので気に入らなければ別のにすればいいんですよ』
「まあ、そうか取りあえず俺達は先に装備を依頼してくるか」
『はい』
ステラの口コミを頼りに工房を探す。
「ダット製作所か」
『口コミと実際の実績のどちらも好評です』
店の中に入る。
「いらっしゃい!」
ミノタウロス族の女性店員が受付をしていた。
「装備を頼みたいんだけど、いいかな」
「任せてうちは腕利き揃いだ!」
『大まかな材料と設計は私がデータを送ります』
ステラの設計図が空中に表示される。
「材料と寸法とかはこれでいいかな?」
「任せな、いい感じに仕上げてやるよ!細かいところはこっちで決めるさね。材料はこっちに入れてくれ」
「了解」
アイテムキューブを台の上に置くと素材が送られる。
「そうだな~、3日後には出来るだろうからそれくらいにまた来てくれよな」
「分かった」
店を後にする。
「さてと、コポの様子でも見に行ってみるか」
『ですね』
そうして俺達はさっきの店へと向かうのだった。
店に着くと入り口でコポが待っていた。
「コポの腕前を確かめるコポ!」
「自信満々だな」
店の中に入る。
「いらっしゃいませ」
植物族の店員だ。
「それでどんな船ですか?」
「船はコチラになります。ヒュッテ社製の最高級モデル『S200ストーム』です。一般的な設備は勿論のこと、中型ながらに起動兵の為の設備も三台分あります」
『いいですね』
「確かに...ちなみにおいくら程?」
「本来2兆クレジット程ところをコポさんのお知り合いと言うことで、更に最近のご活躍で本社から割引しても良いとの事なので大幅に値下げいたしまして、何と1兆1000万クレジットでいかがでしょうか?」
「買った!」
『やりましたねシュウ、それにコポさんも』
「どうだコポ!」
「やるじゃないかコポっ!」
「く、くるしいコポ、抱きつくのは有料コポ」
入金を済ませて店を出る。
「船が出来るのは1週間後だそうだ。取りあえず遊ぶとするか!コポの歓迎会もしないとな」
「やるコポ!」
『ほどほどにして下さいね』
「出発!」
3人は繁華街へと繰り出すのだった。




