第6話
あれから3日後、俺とステラは装備を受け取りに2人で街を歩いていた。
昨日コポに報酬を先払いすると、買い物してくると行ってどこかに消えたからだ。
ダット製作所に行くと完成した装備を渡される。
「見た目は普通の服に近づけてある。威圧的だと金持ちアピールしてるようなもんだからな。しかし性能は抜群だ!1万度くらいの熱なら耐えられるし、ある程度の傷はナノマテリアで自己修復も出来る。2着用意してあるぞ」
「いいね、最高だ!」
『今のシュウに最適の装備ですね』
「次に武器だ。ドラクレスの牙や骨をベースに高強度のミスリスメタルを使って造った長剣と銃だ。どちらも宇宙船以上に頑丈に造ってある」
試しに剣を振る、長さも重さも丁度いい感じだ。
「こっちも最高だな…」
「ありがとよお客さん、なかなか楽しい仕事だったよ」
「こちらこそ」
代金を払うと店を出る。
「いい装備だ」
『ですね』
2人は再び繁華街へと足を進める。
繁華街へ着くとざわざわと喧騒が起きていた。
「何かあったのか…」
近づいてみるとそこにはきんきらきんの置物があった。
「眩しっ、何だコレ?」
「お、シュウだコポ!」
きんきらきんの置物が喋る。
「ま、まさか」
「なに言ってるコポ。コポだコポ!」
嘘だと思いたかった。
眩しくてよく見えなかったがよく見るとコポだった。
鎧にサングラスに帽子まで全て金で出来ている。
「お、おまえ。どうしたんだ?」
「ふふ、見てみよコポ!金が安かったから全部金で決めてみたコポ!」
「もしかして全額使ったのか?」
「もちろんコポ!」
そりゃ、ひもじくなるわけだ。
ただただ呆れるのだった。
「そんな格好で船に乗るのか…」
「もちろんコポ!トレンドは押さえとかないとコポ」
「ああ…そう…」
何だか力が抜けた。
その時だった。
「いたわね怪しい成金!アンタ達のお金はアタシが頂くニャ!」
声のする方へ振り向くと、そこには猫族の少女がこちらを指差していた。
琥珀色の髪にエメラルドグリーンの瞳だ。
「コポのことコポ!?」
「まあ、そうだろうね」
「この宇宙義賊リン様が成敗するニャ!」
「コポは何も悪いことしてないコポ~!」
コポは涙目になっていた。
「見た目はあれだけどね」
「シュウ!このやろコポ!このやろコポ!」
短い手で叩いてくる。
「はいはい……その、こんな感じの見た目だけど悪いやつじゃ無いんだ。正当な報酬で買った訳だし」
「そんなの信じないニャ!」
「参ったな…」
「食らうニャ!」
リンは一瞬のうちに距離を詰めると鋭い蹴りを放つ。
「うわっ」
間一髪身体を反らして躱す。
『強いですね。身体強化レベル4に匹敵する動きです』
「マジかっ!」
「どんどん行くニャ!」
拳や蹴りが雨あられのように降り注ぐ。
「速い!」
躱しきれずに防御する。
速いのに重い。
大砲の玉が連続で飛んでくるようだ。
「シュウ!ヤバいコポ!」
「ニャっ!」
「ぐっ」
リンの渾身の蹴りが来る。
ドゴッ。
鈍い音で蹴りが腹部に入る。
勢いのまま弾けるように数メートル吹き飛んだ。
「うっ……やるな、あの猫娘」
身体を起こす。
『ゾ・ラースの能力を使うなら20%を上限にして下さい。宇宙での生活者は放射能には耐性がありますが熱で人が燃え、ステーションが溶解します』
「了解」
とはいえ女の子を殴るのはなんとも。
「どうすっかなぁ…」
「まだまだ行くニャよ!」
リンがこちらに走ってくる。
「ったく取りあえず取り押さえないと…」
リンに向かって構える。
「!?」
一瞬だけ能力を解放してリンを掴むと押し倒す。
その時だった。
先ほどリンが居た場所を、どこからともなく飛来した巨大な土の塊が吹き飛ばす。
「っ!」
破片が弾丸のように背中にぶつかってきた。
「ニャっ?」
「ちっ外したゲロ」
「惜しかったな兄ちゃんゲロ」
声のした方を向く。
そこには2人のカエル族の男がいた。
「アイツらゲロー兄弟ニャ!?」
「ゲロー?」
『宇宙海賊ですね。兄のゲロームと弟のゲローガ2人共に強力な異能を持つ賞金首です。兄のゲロームは炎と土の異能を、弟のゲローガは水と風の異能を使うようです』
「ちっ、ミックスゲノムかこんな田舎に居るとはな。リン…だっけか?下がってろ」
「何言ってるニャ!アタシに苦戦してたアンタが勝てるわけ無いニャ!」
「勝てるさアイツらには…な」
身体を起こしてゲロー兄弟に向き合う。
リンは離れた場所に走っていった。
「うちから盗みをしたリンを追ってきたゲロが、オマケも付いて来たゲロ」
「見ろよ兄ちゃんアイツ金ピカだゲロ。金持ってそうゲロ」
「こ、コポは無一文コポ!」
「ゲロゲロ、ならお前ごと売払うだけだゲロ」
「仲間には手は出させないぞ。カエルども」
「ゲロゲロ、やるゲロ?」
「かかって来いゲロ」
「行くぞ」
踏み込む。
高速で距離を詰めるとゲロームに向かって拳を繰り出した。
「なっ!?」
「ゲロゲロ、効かないゲロな~」
腕はゲロームの身体を貫いている。
しかし傷口からは炎が出ているだけだった。
『肉体を炎化しています!シュウっ!』
「くそっ、そういう能力かよ」
ゲロームが拳を土で固めると殴ってきた。
鈍い音を立てて吹き飛ばされる。
「まだまだだゲロ!」
弟のゲローガが空中の俺に向かって高圧の水を飛ばしてきた。
「っ!」
無理やり身体を捻ると剣を使い水を弾く。
「おっ意外とやるゲロ」
地面に着地する。
「兄があの能力なら弟も水化出来るんだろうな」
「ゲロゲロ、当たりだゲロ」
「厄介だな」
「今度はこっちから行くゲロ!」
兄のゲロームが両手から溶岩の弾を飛ばして来ると、弟のゲローガは高圧の水刃を連続で飛ばして来た。
「ちっ」
ゾ・ラースの能力を10%解放する。
水刃と溶岩を剣で弾いていく。
「どちらも物理無効だと?」
『どちらも何か弱点を突かないとダメージにはなりません』
「弱点って言っても…あっ」
俺は横に跳ぶと隠れて見ていたコポの元へと走る。
「な、何だコポ!あ、熱いシュウ!熱いコポ!」
「悪いな」
「あっコポの!」
コポから金の鎧を脱がすと溶かして武器にコーティングした。
そしてゲロームの元へ走っていく。
「何だゲロ?」
ゲロームの攻撃を躱しながら懐に入り込むと剣を大きく振りかぶり、ゲロームを剣の腹で叩いた。
大気が揺れる。
「ゲゴッ!」
ドパンッ。
破裂するような音と共に凄まじい勢いでゲロームが吹き飛ぶ。
「に、兄ちゃんゲロっ!」
続けてゲローガの身体に腕を突っ込む。
「何だゲロ?こんなの効かな…ゲロー!!」
ゾ・ラースの能力を20%解放する。
するとゲローガの身体が沸騰し蒸発していく。
「た、助けてゲロ~!!」
「どうするステラ?」
『彼ら専用の刑務所もありますのでお好きになさるといいです』
「そうか」
能力と武器を納める。
「グエっ。た、助かったゲロ」
ゲローガはガクッと膝を折った。
「後は警察待つか」
『ですね』
そうして戦いは終わる。
「カッコいいコポ」
「カッコいいニャ」
2人の感動を残して。
警察は2人を捕まえると現場の処理を始めたので俺達は移動することにした。
近くのカフェでコポを連れて休んで居るとリンが来る。
「決めたニャ!お前に付いて行くニャ」
「へ?」
「お前は命の恩人ニャ!恩を返すまで離れないニャ!」
「えっと…」
「それよりシュウ!コポの金になんてことしてくれたコポ!返せコポ!」
「えっと…」
「付いて行くニャ!」
「返せコポ!返せコポ!」
2人に詰め寄られる。
『ガンバ!』
「はぁ~」
どうしたものかと頭を抱えるのだった。




