第29話
『ぐっ、や…やるではないか』
俺は戦闘を終えたのでノア達の方へと歩いていく。
「おぬし、全然データ取れなかったんじゃないのかのう」
ルナが心配そうにノアに言う。
『舐めてもらっては困る。この実験施設は一瞬でもかなりのデータを集めることが出来るのだ!!』
そう言って空中に現れた画面を操作していく。
『くそっ、ヤツの異能は何なんだ。可能性が高いのは「ゾ・ラース」?そんなの宇宙船と共に木っ端微塵だろ?』
「シュウの異能はゾ・ラースだコポ」
『バカな!あり得んベルツ社の運送船が襲われ大破し、爆発直前にワープしたのだぞ!運良くゲノムだけ惑星に落ち、またそれを運良く拾ったとでも言うのか!!』
「そうだコポ。シュウはそう言ってたコポ」
「コラ!何でも話すんじゃないニャ!」
リンがコポをコツンと殴る。
「しまったコポ…つい…」
「あはは、いいよ別に」
近くまで来たのでシュンとするコポに返事をした。
『ますます興味深い!!ゾ・ラースは幼体時に倒された為に情報がほとんど無いのだ!まさか、こんな事が!私の日頃の行いが良いからなのだな!くははははははは』
「それで武器は作れそうなのか?」
『もちろん、こんな面白い事を誰に譲れようか!!それと安心したまえ君の能力は誰にも話さないと約束しよう!私の大切なモルモ……友人の為だ!!』
「モルモとか聞こえたのじゃが…」
「うん、俺も聞こえた」
呆れはしたが武器は欲しいし、害の無いうちは別に構わないか。
『それともう一つ』
ノアの目がキラリと光る。
『君達の船にある、あの機動兵器の事だ。アレはいったい何なのかね?私の知りうる限りどの会社もアレ程のスペックは作れない筈だが?』
「あー、あれは…」
そう言ってミラの顔を見るとミラはニコリと笑う。
「私が説明しますマスター。アレは1億年ほど前にヤートマ族の作り出した星系破壊用の機動兵器です。当時の主任博士のラミ博士が男のロマンだといいながら作ったものです」
『ほう、古代兵器と言うヤツかね。実にエクセレント…しかし、今の人類が負けていると思われるのはシャクに触りますねぇ。必ず超えて見せますよ!!くははははははは』
ノアは笑う。
流石は自称マッドサイエンティスト、そこだけは尊敬に値するプライドだ。
『さて、話を戻そう。シュウ、君の武器は何を使っているんだ?何を作ればいいのかね?』
「俺は銃と剣の2つだな」
『フム、剣は少し時間がかかるが…銃を貸してくれたまえ』
俺は銃を抜くとノアに手渡す。
ノアは四角い機械を取り出すと銃をスキャンする。
『フーム、ドラクレスの合金でモデルはフェムナ社のか…麻酔と実弾にエネルギー弾の三種の弾丸か……ちょろいな』
そう言ってノアが手をかざすと一瞬でパーツ毎に分解される。
そして、それぞれのパーツに光の粒子が集まり覆う。
ノアが指をクルリと回すと銃はパーツが組み上がり再び一つに戻った。
『出力の調整可能な銃にしておいた、最大出力は300%程上がっている筈だ。ほれ的を用意しよう撃ってみたまえ』
ノアは俺に銃を渡すと指をパチンと鳴らす。
30メートル程先に鋼鉄の的が地面から飛び出して来た。
俺は実弾モードで銃を構える。
ステラに出力の調整を任せて最大出力で引き金を引く。
ドンッ。
まるで大砲でも撃ったかのような衝撃と爆風が周囲を吹き抜けた。
コポたちが耳を塞ぐ中、30メートル先にあった鋼鉄の的は跡形もなく木っ端微塵になる。
『どうだい、私の技術は?くはははは』
「へー、確かにな」
最初の頃なら腕が折れていただろうけど、今の俺なら撃てるな。
「サンキューな、剣も楽しみにしてるぜ」
『任せてくれたまえ!!』
ノアがそう言った時だった。
けたたましいアラーム音が鳴り響く。
『むっ、何だね』
そう言って再び空中の画面を操作すると、大きなモニターが空中に現れた。
『これは…マーヴのヤツの何かやらかしたな』
「どうしたんだ?」
『ウム、この星系には他にもラボがあるのだよ。マーヴはそこの研究員だ。愚かにも私のライバルを名乗っているがね。…っと話がそれてしまった。どうやらそのマーヴのラボで事故があったらしい。緊急警戒の警報だ』
「なに?事故だと?なら、助けに行かないと!!」
『フーム、君達が行くなら私は止めない。しかし、気を付ける事だ。マーヴの研究は私と少し似ている…「人工ゲノム生命体」。それがヤツの研究だ。事故はおそらく実験体の暴走だろう』
「人工ゲノム生命体コポ…」
「何やら恐ろしげじゃのう」
「それでも行ってみるしかないな」
そう言ってみんなを見る。
「流石はマスターです」
「出発だ」
「了解コポ」
『おっと、コイツを連れていけ。ベルトー君ノアバージョンだ。これで私も向こうが見れる』
そう言って空飛ぶビー玉みたいなのを渡してくる。
「はいよ」
俺は返事をすると転送マシンへと駆け込むのだった。




