第30話
俺達は宇宙エレベーターを上り、船に戻ると出発する。
『やあ、諸君。通信状態は良好のようだね』
航行中ブリッジでベルトー君ノアバージョンが急に喋り出す。
「喋れもするのか」
『もちろんだとも、この先のラボでも私は役に立つぞ!くはははは』
「ちょうどいいや、そう言えばマーヴはどんな奴なんだ?」
『フム彼は...そうだな。異能ゲノムのミックスの研究にこだわっていた。ゲノムというのは不思議なものだ。一見相反する能力が共生するかと思えば繋がりそうな能力が片方不活性化する。奴はその全ての異能ゲノムの活性化、全てのミックスが可能な個体を研究していた』
「絶対にヤバイコポ」
「そんなの作って何するんだよ」
コポと俺が呆れたように言う。
『何を言ってる?そこに山があれば登るのが我々だぞ?』
「やっぱりマッドだニャ」
「うむ、ろくなものではなかろう」
『くはははは、最高の褒め言葉だ!』
しばらく行くとラボが見えてくる。
惑星を周回しているステーションがラボのようだ。
「アレか」
『その通り、惑星を実験場にするために常に近くで研究をしなければならないからな!おっと、既にマーヴのチームが到着しているようだな。この早さは…ちっ、奴はここに居なかったのか』
「お前らどんな関係なんだよ…」
呆れつつもステーションに船を着ける。
俺達はブリッジを出るとハッチに向かう。
『おっと、生身で行くのはオススメしないね。アイツの実験場だ…何が漏れてるやら。コレをやろう』
そう言うとベルトー君が指輪を出す。
『簡易式のバリアだ。まあ、大昔の宇宙服のようなものだ攻撃はガード出来んがガスやウイルスからは守ってくれる』
みんなが指輪を着ける。
「…おい、俺のは?」
『何を言ってる?お前にウイルスやガスや効くわけ無いだろうが。貴様の能力を何だと思ってる。超高温で辺り一面燃やしている奴に呼吸が必要だったりウイルスが生存出来るとでも?』
「なに!?俺呼吸要らないの!?」
『シュウは全てのエネルギーをゾ・ラースが生み出す為、理論上は要りませんが人間の習慣は変えられるものでは無いので特に気にする必要は無いかと』
ステラが淡々と言う。
「シュウもなかなかのバケモノコポ」
「よいではないか、生身で平気なのじゃぞ?」
「マスター、私も自前のバリアがあるので必要無いといえば無いのですが」
「みんな行かないのかニャ?」
「あっやべ、急ごう」
俺達はハッチを開けるとラボへと入っていくのだった。
ラボの中はやけに静かだった。
明かりも殆どなく、あちこちに戦闘の痕跡や破壊の跡がある。
「お、オバケが出そうコポ」
「殴れ無いものは苦手だニャ…」
「わ、わしも苦手じゃ」
『くはははは、ボロボロではないかマーヴめいいきみだ!』
コポ達とノアはテンションが間逆だった。
「先行しているチームが見えませんねマスター」
「もう奥に行ったみたいだな」
慎重に奥へと進んで行く。
『フム...』
「なんか変だな」
「どうしたコポ?」
「戦闘の痕跡はあるのに死体が一つもない」
ここまでに一つもないのは明らかに不自然だ。
『まさにそれだ!』
「…コポは帰るコポ」
『1人になった奴から襲われる。鉄則だな!くはははは』
「…やっぱり残るコポ」
コポはベルトー君ノアバージョンを睨み付ける。
『シュウ前方から何か来ます』
「マスター、皆さん私の後ろに」
ミラがバリアを張ると俺達は待ち構える。
だんだんと近くなる足音。
こちらの証明の範囲に入ってくる。
霜の付いたゾンビ達がこちらに向かって走ってきていた。
「コポーーーーー!!!」
「いやじゃーー!」
「殴れるニャ?」
『なるほど、ウイルス感染か予想の範囲だな』
「取りあえず片付けるぞ」
俺は銃と借りっぱなしの剣を構えると、ゾンビに向かって走るのだった。




