第14話
ゾ・ラースの能力を20%解放する。
熱気で辺りが歪み、氷が溶け始める。
「雷槍」
向こうは、雷の槍を召喚するとこちらに駆け出した。
俺は剣を構えると、前に跳ぶ。
ドンッ。
大気が揺れる。
辺りを雷が迸り、熱気で歪む。
剣と槍が激しくぶつかる。
お互いの武器が激しく交差していく。
「変質者がっ!」
男が吠える。
「迅雷!」
男の姿がぶれる。
直後に横っ腹に衝撃が走り、猛スピードで横に吹っ飛ぶ。
「くっ!」
剣を地面に刺し、吹き飛ぶ身体を立て直す。
「速い!」
『一瞬の間、光速に近い速度になっているようです。能力の出力を上げてください。ここは極寒の地多少は平気です』
「了解!」
「リンさん!コポさん!こちらにバリアを張ります!」
こちらの様子に気付いたミラが2人を保護するのが見える。
バリアが張られるのを確認すると、ゾ・ラースの能力を50%解放する。
ゴオッ。
激しい水蒸気が上がる。
周りの氷は消えて無くなり地面が焼け焦げ始める。
「行くぞ雷野郎」
前に向かって、跳ぶ。
一瞬で懐に潜り込む。
「なっ!」
「吹き飛べ!」
加速の勢いのままに、剣の腹で思いっきり叩く。
雷の槍を砕き、その肉体を吹き飛ばす。
ドゴッ。
鈍い音を残し、閃光の軌跡を残しながら後ろの船の残骸に突っ込んだ。
破壊の後を残しながら闇の中に消える。
「はっ」
思わず笑う。
「何が可笑しい」
速い。
目の前に光と共に現れた。
細かい傷はあるがぴんぴんしている。
油断した。
こちらが構える間もなく、片手をこちらに向けているのが見えた。
「白雷」
閃光が視界を埋め尽くす。
轟音と共に吹き飛ばされていた。
視覚も聴覚も麻痺した。
吹き飛びながらヒリヒリと全身が焼けているのを感じる。
能力を使い始めてから、初めての事だった。
上も下も分からないが、時々地面を跳ねているのが分かる。
『シュウ、しっかりして下さい!』
「くそがっ!」
微かに視界が戻る。
あの男がさっきの場所に立っているのが見えた。
「ぶっ飛ばす!」
加速して向かって行く。
向こうも加速する。
赤と黄色の閃光があちこちでぶつかり合う。
轟音と共に弾け迸る雷、暴風と共に大気を歪ませ大地を焼く熱。
天変地異のような光景が広がっていた。
「絶対にぶっ飛ばす!」
「お前こそ!」
ぶつかった2つの光が大気を震わせる。
「「うおおおおおおお!!」」
「キアアアアアア!」
突然どこからともなく現れた甲高い叫びが辺りに響き渡る。
そして、2人に大きな影が覆い被さった。
「ハハハハハ死ね、ゴミども!!」
50メートルはあろうかというミミズの巨獣を連れた男たちが乱入する。
「「うるさいっ!!」」
2つの閃光が合わさり巨獣を包み込む。
ドオンッ!
大気が爆発するかのような轟音と爆風が巻き起こる。
残されたのは降ってくる小さな肉片のみ。
「へっ?」
乱入した男たちは何が起きたのかすら分かって無かった。
ただ本能は正直だった。
動けば死ぬ。
直感に従って男たちは大人しくポツンと突っ立っているのだった。
2人はまだ激しい応酬を続ける。
俺の剣と奴の槍がお互いの首元で止まる。
「ハァ…ハァ…やるな…変質者…」
「お前こそ…ハァ…ハァ」
「すいませんマスター、お二人ともそこまでにしては?乱入者も居ますし…」
ミラの声が聞こえる。
「「乱入者?」」
ハモった。
「「ちっ」」
また。
「「真似すんな!!」」
「はぁ…お二人ともそこまでです…」
そうしてミラに促され、お互いに能力を納めるのだった。




