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第一話中編 ふざけるなあ!オレ様は絶対ヒーローにならねえ!!

 

 その三日後、霊門会京都本部―


 何らや白い和服を着た複数の男性と同じく白い和服を着た眼鏡を付けた女性がいた。その人は調査員らしい。どうやら、本部は騒がしくなっていた。ホワイトボードには何やら紙やら写真を貼っていた。

 

 そこにはなんと白い狐怪獣が映っていた。他にも地面を大きくえぐれていた写真や巨大な式神がボロボロになっていた様子が映っていた。どうやら、例の狐怪獣について会議していた。


「例の暴風の真一尾狐について分かったことはあるか?」といかにも上司ぽい人が調査員に聞いた。


「はい。これらは過去数年に渡る目撃記録・交戦報告を総合し一通り分析しました。やつは噂通り、風を自在に操ります。その風の破壊力は大変脅威であり、写真の被害様子の通りとなり、早急に対策は必要だと考えられます。」


「やつの風の破壊力は分かるが、他にも特徴があるのか?」


「やつの真の恐ろしさはそれだけではありません。何より警戒すべきは風に変身して、空を高速に自在に飛べる点です。」


「風に変身?それはちと厄介だな。」


「ええ、奴は風へと姿を変えることで極めて高い流動性を得ます。通常の打撃や斬撃はまともに通用しません。


 これまで逮捕された霊界犯罪者たちの証言では、”風となって攻撃をすり抜け、気づけば懐に入り込まれ、一撃で倒された”と語る者が多数います。


さらに調査員の報告によれば、腕に狐火を纏わせ、そこへ風圧を集中させることで、通常を超える高温の“青き狐火”を生成しているとのことです。」

と調査員は淡々と報告しているように見えたが、若干声が震えていた。


「青い狐火なんか生み出してどうするんだ?」と上司は聞いた。


「報告書によれば、青い狐火による爪攻撃や青い狐火を風の力でロケットの噴射口のように勢いよく噴射し、その状態で風に変身することで音速の次元を超えた超スピードで空を飛べるそうです。」


 風に変身して高速で空を飛ぶ様子の写真を見せた。青い狐火は綺麗な青色をしており、風というより流れ星のようだった。


「・・・それでこの時のその速度は?」と上司は聞いた。


調査員は資料を見つめ、声を震わせた。


「……時刻と移動距離を照合した結果――」


室内が静まり返る。


「最高速度、マッハ100です。」


「……は?」


上司の顔色が変わった。

「おいおいおいおい。最近導入した戦闘機でもマッハ2だぞ!?それではもう戦闘機で誘導するとかもうそんな次元ではないじゃないか!!??」


「落ち着いてください。あくまで最高速度がマッハ100です。常にマッハ100ではございません。」


別の調査員が割って入る。


「どうやら初速は時速500km程度だそうです。どうやら、最高速度に達するにはある程度長距離飛行しないといけないのではと予想しています。」

と仮説を説明した。


「つまり、近距離戦に持ち込めば簡単に勝てるということか?」

と上司は希望をもったのか少し明るくなった。


「ですが、それがそう単純ではございません。溜めは必要ですが、波動力による身体活性をした状態で蹴ったことによるスタートダッシュはマッハ10に達します。」


別の調査員が首を横に振りながらしゃべった。


「それに奴は近距離攻撃が非常に得意であり、風を使った近接攻撃は非常に速く強力です。近接攻撃して挑んだ霊界犯罪者数名はそれであっさりやられてます。」


と淡々と報告した。


「う・・・頭が痛くなってきたな。」と上司は頭を抱えてた。


「風や狐火以外の妖術は使えるのか?」と上司は言った。


「それがその報告は全くあがっていません。あえて隠しているのか、そもそも使えないかのいずれかだと考えられます。」と調査員は言った。


「こいつは間違いなくS級妖怪だな・・・それで民間人の被害は出ているのか?」


「それが・・・ほぼ全く出ておりません。とある警官が飯をたかられたという事例はありますが、民間人には全く手を出していません。その妖狐の被害者のほとんどは例の子供を誘拐したものを含めた霊界犯罪者やあくどいことをした土地神や怨霊ばかりです。ただ、民間人に手を出さないという保証は全くございませんので、やはり何かしらの対策は必要です。」


「それでは例の赤髪の巫女様に依頼するか。」と上司は言った。


「既に依頼しています。」と調査員は言った。


「君、仕事早いな!」と上司は言った。


「それで討伐した後、シカバネを回収して閉じ込めるにか?」


「それが・・・」と調査員はどもった。


「何だ?」上司は言った。


「いえ・・・どうやらその赤髪の巫女様はどうやらその妖狐を・・・友達にするとか言い出してました。」


「は?」


「しかも妖狐の件を自分一人に任せてほしいと。」と調査員は苦笑いして言った。


「ええええええ!?友達!?一人いいいいいい!?」

と上司はズッコケた。


 子供誘拐事件から三日後。京都府南丹市。

 田んぼと平原が広がるのどかな田舎だった。

 暴風の真一尾狐、その広い平野で仁王立ちしていた。


「ここはいいぜ。鉄のからくりだらけの人里に漂う薬品のにおいや油の匂いはしねーし。しかも空もこんなに晴れてやがる。空を豪快に飛ぶには絶好の日和だぜ。さてと、豪快に空を飛ぶぜ!」


 真一尾狐は腕にオレンジ色の狐火を纏った。さらにそこへ風の力を送り込む。

すると炎は、ロケット噴射口のような荒々しい青炎へ変わった。

反動で巨体が宙へ跳ね上がる。

次の瞬間――真一尾狐の姿は風へと変わり、流れ星のような速度で空へ駆け抜けた。


 真一尾狐が風に変身するとき、狐のマズル、狐の耳、そして特徴的なリーゼント、力強い眉毛、鋭い目が霊体としての輪郭が見えていた。そして、


「そろそろ尻尾にも狐火を纏わせるか!」


 と思い、尻尾に狐火を纏わせると、それが青炎のロケットバーナーになり、超加速した。そのとき、前方で圧縮された空気の壁がバチバチと火花のような閃光が走った。これは、超加速で圧縮されていた空気があまりの速さにプラズマ化していたからである。このとき、真一尾狐は光る流れ星のようになっていた。


「いやほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!空を豪快に飛ぶのは最高だぜええええええええええええええええええええええええええええええええええ。」


その時、大きな雲があったが、流れ星がそれを突き抜けた途端、


ズドドドドドドドオオオオオオオン!!!!


衝撃音とともに霧散してぽっかり穴が開いた。

 そのとき、流れ星の周りには雲海がところどころ広がっていた。


「雲より高いところを飛んでいるぜ。」


流れ星はしばらく雲海どころか、日本の周りを高速で駆け抜けていた。

その時、若者のSNSの掲示板では


「朝に流れ星が高速で空を駆け巡る。」


と例の流れ星の様子に対する投稿であふれていた。


「グハハハハハハハハハハハハハ、オレ様が空の覇者だあああああああああああ!」

と真一尾狐は高笑いしながら空を飛んでいた。その時、


ズド――――――――――――――――ン


と白く光る三日月のような突風が雲から突き抜けて流れ星を襲った。


「何ぃ!?」


 と真一尾狐は動揺した。なぜなら、今までこんなことが起きたことなかった。これまで、自分の神速に追いついた者など一人もいなかった。白く光る三日月に突風は乱れ渦流となり、コントロールを失い、そのまま地面に高速で落下した。


ズド――――――――――――――――ン


という轟音ともに巨大なクレーターができた。真一尾狐は風に変身した状態で落下したからか、無傷だった。ここは、どうやら京都府南丹市の例の平野に戻ってきたらしい。


「くそーーーーーーーーー誰だ?オレ様の豪快な空飛びを邪魔する奴は?」


と真一尾狐は叫んだが、


「私だよ。」


という声が聞こえた。真一尾狐はその声に反応した。


「ほう、お前か?邪魔した奴は?」


 警戒した声で真一尾狐は言った。土煙とともに現れたのはなんと十五歳くらいの女の子だった。


「何ぃ!?女かあ!?」


と真一尾狐は驚いた。


 その女の子はカールがかかった赤髪のロングヘアをしていた。だいたい身長は一六二センチメートルくらいだった。顔立ちが整っており、美少女といっても差し支えなかった。巫女服を着ており、竹刀をもってクレーターの淵に仁王立ちしていた。しかし、それに似つかわしくない格好があった。

 それは黒いホームズキャップをしており、青いリボンがついており、結び目の代わりに黄色い星のワッペンがついていた。何よりおかしかったのはヒーローのような赤いマントを身に着けていた。


真一尾狐はその少女に向かって


「名を名乗れ!ケンカならいつでも挑んでやるぜ」


と叫んだ。


その時、どこかのヒーローポーズをとりながら


「わははははは、よくぞ聞いてくれました。愛刀、天翔御剣あまかけるみつるぎで絶望をたたき割り、その先の希望を切り開くスーパーヒーロー!茜屋美神あかねやみかみ参上!わはははははは。」


とまるで某日朝を想起させるような口上をいった。


「はあ?何言ってんだこいつ?そうか!これは前振りか!なら!」


真一尾狐はクレーターから豪快に大ジャンプをし、美神の前に現れた。


「オレ様!」


と指を差し、


「豪快に参上!」


と歌舞伎の見得みたいなポーズをとった。


「おおおおおおお、これがあなたのヒーローポーズね!」


「はあ、ヒー・・・なんだそれは?これは極悪非道の大妖怪様の豪快な前振りだ!ケンカの相手にオレ様の威厳を感じさせるためのものだ!オメーのダセー盆踊りと一緒にするなよ!」と真一尾狐は煽った。


「ええええええええ!ひどーーーーーーーーーい!ダサいって・・・」


と美神がショックを受け、ひざまついた。効果は抜群だったみたいだ。


「それでオレ様とケンカするのか?アホッぽいがお前なんか強そうだな。」


と真一尾狐は興奮していた。


 なぜなら、その少女はさっきまでのひょうきんな態度には似つかわしくないほど力強い波動に満ちていたからだ。そして、何より自分の神速を初めて撃ち落とした相手となると、強者と豪快にかっこよく戦いたい真一尾狐にとってはまさしく好敵手だったからだ。


「アホッぽいて失礼だよ。私はこんなに美人で賢くてかっこいいのに。」と美神は堂々した顔でドヤ顔した。


「はあー、それ自分で言うかオメー?」と真一尾狐は呆れていた。


「いや、あなただって自分のことを極悪非道の大妖怪様とかセルフプロデュースしてるじゃない。」


「セル・・・そのセルなんとかて何だ?」と真一尾狐は?を浮かべながら言った。


「あれ?もしかしてカタカナ語が分からない?意外とかわいいね君。」と美神はにやにやした。


「はああ!?かわいい?ふざけるな!オレ様はそんなものとは無縁なほど恐ろしい大妖怪様だ!今から目にものを見せてやるわ!」

と真一尾狐は激しくキレた!


 それと同時に暴風を飛ばした。

 それと同時だった。


スパー――――――――――――――ン


美神はなんと暴風を横なぎの一閃でかき消した。


「ほおーーーー。オメー歯ごたえがありそうだな!」と真一尾狐はにやりとしながら言った。


「あなたこそ。この風のパワーはすごいよ。」

と美神は臨戦態勢をとりながらいった。


二人の決闘の火ぶたが開こうとしていた。


 ようやくメインヒロイン、茜屋美神登場です。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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