表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂った弱肉強食世界で最強の俺は、魔力ゼロの妹のためにすべてを壊す  作者: 黒海苔
一章:教祖誕生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/44

十六話:異変

 ――深夜。


 ヴァルディス侯爵家、本邸。


 本来ならば、すべてが眠りについている時間。


 だが――


 男は、目を覚ました。


「……」


 ヴァルディス侯爵家現当主


 アルディウス・ヴァルディス・アルヴァルト。


 彼は静かに瞼を開く。


 音はない。


 だが、確かに感じていた。


 空気の歪み。


 遠方から届く、わずかな魔力の揺らぎ。


「……来たか」


 短く呟く。


 体を起こし、外套を羽織る。


 窓辺へ。


 視線は迷いなく――アルセリア平原へ向いていた。


「……あの場所で、か」


 知っている。


 あそこに何がいるのか。


 黒竜アビス。


 世界四大古竜の一角。


 人の手に負える存在ではない。


 だが。


 アルディウスの目が、わずかに細まる。


(……規模が違う)


 もし黒竜が本気で暴れているなら、この程度では済まない。


 地形そのものが変わるはずだ。


(ならば――)


 一拍。


「……戦っているな」


 結論は即座に出た。


 黒竜と拮抗する何かがいる。


 異常な事態。


 だが動揺はない。


 机へ向かい、地図を広げる。


 アルセリア平原。


 周辺の森、街道、領地境界。


 瞬時に配置を把握する。


「……影響は、まだ外か」


 被害は領地に及んでいない。


 だが時間の問題。


 判断は早い。


 その時。


 ――ドンッ!!


 遅れて衝撃が届く。


 窓が震える。


 屋敷が軋む。


 外が騒がしくなる。


「……遅い」


 小さく呟く。


 すでに指示は決まっている。


 ――コン、コン。


「入れ」


「失礼します!!」


 門番の兵士が駆け込む。


「アルセリア平原方面より、大規模な戦闘音を――」


「確認している」


 言葉を遮る。


 兵士が息を呑む。


「地鳴り三回、魔力波動は断続的に変化」


 一拍。


「交戦は複数。少なくとも二体以上の高位存在だ」


「……っ!?」


 報告前に結論を出され、兵士は固まる。


「報告は正しい。下がれ」


「は、はっ!!」


 慌てて退室。


 扉が閉まる。


「……やはり、か」


 静かに確信する。


「レグナスを呼べ」


 -------------------------------------


 数分後。


「失礼します、父上」


 レグナスが入室する。


 すでに装備は整っている。


 その姿を見て、アルディウスは一度だけ頷いた。


挿絵(By みてみん)


「アルセリアだな」


「察しはいい」


「黒竜の可能性は」


「高い。だが単独ではない」


 レグナスの目が細まる。


(黒竜と戦える存在……?)


 一瞬だけ、戦士としての血が騒ぐ。


 だが、それ以上に優先するものがある。


(父上が動く前に状況を読んでいる)


(ならば軽率に動くべきではない)


 思考はすぐに冷える。


「命令を」


「兵団を率いろ」


「はっ」


「森の手前で待機」


「……突入は?」


「許可しない」


 即答。


 迷いはない。


「不明要素が多すぎる。踏み込めば巻き込まれる」


「了解」


 短い返答。


 レグナスは一礼する。


(戦いたい、ではなく)


(勝てる形で戦う)


 それがこの家のやり方だ。


「すぐに出ます」


「ああ」


 レグナスは迷いなく踵を返す。


 扉が閉まる。


 再び、静寂。


 アルディウスは窓の外を見る。


 遠く、見えない戦場。


「……何者だ」


 小さく呟く。


 黒竜と渡り合う存在。


 想定外。


 だが――


「……流れが動くか」


 その一言だけを残し、


 男は静かに立ち尽くしていた。

挿絵(By みてみん)

↑没になった挿絵。


面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ