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魔法大陸アースティア  作者: りーち
~運命の胎動編~
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7話



「お前がこのまま死ぬ運命なんて認めない、だからお前の全ては俺が代わるから・・・、だからお前は生きろ。」


周りは火に包まれどこもかしこも燃えている。パチパチと火の粉が飛ぶ中、巨大な魔物らしきものの前で男は腕に抱いた傷だらけの少女を優しく地面に寝かせ彼女が握っている黒い剣をとる。そして目の前に仁王立ちしている魔物らしきものに剣を向け叫ぶ。


「貸せ!!!力を!!「代償」ならくれてやる!!だから俺を認めろ受け入れろ!!」


その叫びと共に男が握る黒い剣に赤の紋様が浮かぶ。


「ダメ!!やめて!!」


少女は悲壮を浮かべ目の前の男の背に叫んだ。


「大丈夫だ、こんなのは男の役目なんだ。何時だって次の時代を命を育むのは女なんだ。なのにこんなものに振回される運命なんて俺は認めない。ましてやそれが惚れた女の運命なんて余計に。だから体を張るのも「代償」を払うのも男の役目だ!黙って守られてろ!!」


男は振り向いてそう答えた。男の右目が赤の竜の目に変化しそれに呼応するかの様に手に握る黒い剣から禍々しい黒いオーラがほとばしっていく。


「ああ、なんて事を・・・。」


少女は目から止め処無く流れる涙を流し、傷だらけで倒れたまま自由の利かない体で這い蹲りながら男に手を伸ばす。


男はその手を優しく握り少女の額に優しくキスをし最後の言葉を言う。


「アイツは俺が何とかしてくる。」


男は最後の言葉をかわし一度にこやかな笑顔を向けると直ぐに振返り剣を天に振りかざし印を斬る。すると男の頭上に巨大な魔方陣が展開し、その中央から四枚の光輝く翼を広げた漆黒の機竜が現れた。同時に吸い込まれる様に男が乗り込んで行く。男が乗り込んだ機竜はその四枚の翼と機体から光り輝く粒子を撒き散らしながら上空高く飛んでいく。それを追いかける様に凄まじい咆哮を叫びながら魔物も上空へ飛んで行く。


「また、会えるよね?」


一人残された少女は涙で歪む視界を空へやりながら弱弱しくそう呟いた。




****************




ーー村の騒動から二日経った朝、俺達は村を旅立った。簡単な準備や挨拶、引継ぎ等を済ませるのにかかったのだ。シスターからの紹介状もあり漠然としていた俺達の当面の行き先として古代図書館がある聖都ニーベルを目指す事になった。そこなら古い資料なんかがあるらしく、距離的にもここなら歩いて3日の距離で着く。


まあ行商人に乗せて貰えればもっと早く着くのだが、アーカムには半年に一度位しか来ないし、過疎村アーカムでは馬なんかは貴重な労働力なので借りる訳にもいかず結局歩く事になったのだ。まあ、先を急ぐ旅路では無いのでそれでもいいのだが。


ボーっとひたすら目的地に向かって歩く俺と違いフェリスは目につくもの全てに反応しキャッキャ言っている。まるで子供の様だが仕方が無いだろう、彼女はアーカムから離れた事はこれまでないのだから。


その点、俺は仕事で何度かニーベル位までは行ったことがあるのだ。まあそこまでしか俺もないのだが。


街道も比較的に順調に進み予定より早く聖都に着いた。俺は門前で簡単な手続きを済ませる。


この聖都ニーベルはアースティアでも屈指の巨大さを誇り西の王国筆頭でもある。ここを治める聖王の一族は「7剣」の縁があるといわれている。その他にも魔法技術や機械技術も西では随一であり古代図書館やコロッセオ等の施設等もある。ここならシスターに教わった以上の何かが解るかも知れないとの期待を込めて当面の目的地にしたのだ。


俺は手続きを済ませ、はやる気持ちを抑えまずは当面の宿を確保する事にした。フェリスと共に数件周り潤沢ではない資金を無駄にしない様安い宿を探した。流石西の聖都と言われるだけあってピンからキリまであったのだが、まあまあ無難な宿に空きがあったのでそこに決めた。


まあ、資金的に二部屋とはいかなかったが、二食付で大浴場がある為寝るだけなら問題無いだろう。一応フェリスの了解はあったのでここを拠点に今後動く事にした。


取合えず野営からの疲れを取る為に部屋に荷物を置き浴場に行き、時間的にも夕食丁度なので出たら食堂で合流すると決め2人で浴場へ向かった。


流石の三日ぶりの風呂は気持ちよく、思ったより長々と堪能しそれから食堂へ向かうと既にフェリスがほんのり頬を赤らめ俯いて借りてきた猫の様に座っていた。


「どうした?俯いて、、なんかあった?」


俺は様子がおかしいフェリスの向かいに座りそう聞いた。


「なんか、、お風呂出て先だったみたいだから此処で待ってたんだけど、やたら男の人が話しかけてきて・・・。」


なるほど、うん。


よく周りを見渡せばなんや分からん視線や舌打ちが聞こえる訳で・・・(笑)


まあ、フェリスは胸と身長が残念な以外居れば誰もが振り向く様な美少女だ。そんな彼女が風呂上りで頬を赤らめ、その綺麗な金髪をうなじが見える様に軽く結っている姿はチャームでも撒き散らしてんじゃみたいに思える。そんな彼女が一人でいれば下心ある輩が出てきてもおかしくはない。


今まで高齢者が多くほぼ顔見知りしかいない村にいた時はこんなこと無い訳で、萎縮ってか心細くなってしまった訳だ。


「そうか、なんか待たせて悪い思いさせたな。お詫びに好きな甘い物奢るよ。」


俺は何とか落ちた気分を直して貰う為にそう言った。食べ物で釣るみたいなのもどうか?ともおもったのだがどうやら効果があったらしく食事とデザートと食べ進むにつれ機嫌が直って行った。


他愛も無い話をしながら食事も終わり飲み物を片手に明日からの予定を話し合った。


「一先ず明日町を回ろう。今日は宿探ししかしてないからさ。この町の事もよく知ってる訳では互いにないからね。その後に図書館とギルドに行こう。」


「わかった、でもギルドは何でいくの?」


「ギルドは登録しておけば身分証のギルドカードくれるからね。村では必要無かったけど今後は必要になるし、カードが無いと出来ない事とかあるしね。例えば簡単な仕事とかも基本はギルドを通さなきゃならないし。」


そう今までは必要の無かったが知っていた知識をフェリスに伝えた。俺も何度か此処にはきているので仕組みは知っていたのだが登録はしてないのでこの際今後を考え登録することにした。身分もさる事ながら路銀を稼ぐにはギルドに登録しておかねばならない。商売人や技術者なら組合、冒険者ならギルド、学者は学会、と、まあよくある話だ。


ともかく実際に色々動いて必要な事はその都度話合いで決める事にし、2人で部屋に戻り少し早いが休む事にした。


勿論「一緒に寝てもいいよ?」と頬を軽く赤く染めながら彼女はとんでもない事を言ったが、予算の都合から一つしかないベットは彼女に譲りへタレな俺はソファーに寝る。


さっきのフェリスの言葉に変な緊張をし初めは悶々なんだか千載一遇かも知れないチャンスを不意にしたかも知れない自分に歯軋りしていたのだが、それも束の間数日の疲れから直ぐにお互いに眠りに落ちたのだった。




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