19話
何時の間にかpv1000突破してましたw本当に有り難うございます。まだまだ拙い所もあるとは思いますが引き続き宜しくお願いします。
「貴方には貴方のやるべき事がある、フェリス・・・、どうか思い出して・・・、」
ーーーハッと目が覚めたらそこは知らない部屋で私はベットの上に居た。
私が育った村での出来事を聞かされ私はその事実を受け入れられず感情を制御しきれないまま意識を失ったみたいだ。
さっきの夢?の中で語りかけられた事はあの日、シスターから渡された石を首飾りとして持つ様になってから頻繁に見るようになった。
姿はおぼろげでいつも要領を得ない事を語りかけてくるのだが、私はその人物を昔から知っている様な感覚があった。いつも悲しそうで、泣きそうな声で私に語りかけてくる、でも姿はおぼろげで顔が見えるか見えないかで目が覚めてしまう。
そして決まってこの夢みたいなモノを見た後に目が覚めた時は涙が溢れて止まらない。
なんなんだろう、この気持ちは・・・、
その涙を拭うと同時にコンコンとノックが鳴りその人が入ってくる。
「目が覚めたみたいだな、安心した。」
その言葉と共に目が覚め起き上がっている私の姿を見て安堵の息を漏らしたのはアイラさんだった。
「ご心配おかけして申し訳ありません。私なんか何かよく解んなくなっちゃって・・・、」
「まあ、それも無理も無いだろう。いきなりあんな話しを聞かされればな。取り合えず今は休んでおけ?」
アイラさんは優しげにそう言う。
こないだの酒場での印象と今の印象がまるで違う。こないだの抜身の刃の様な雰囲気は無く、柔らかくも女の私でさえ綺麗だと思ってしまう笑みを向ける今のアイラさんはまるで姉が妹を思いやる様な優しさが伝わってくる。そうか、多分きっとこの人は不器用なんだな。
そうアイラさんへの印象が変わるとなんだかこちらも釣られて笑顔になってしまう。
「ん?どうした?急にニヤニヤして・・」
アイラさんはふいに笑顔になる私を不思議そうに見ながら聞いてくる。
「いや、私アイラさんは怖い人だと思っていたんです。でも今のアイラさんを見てるとそれは間違いだったなと思いまして、」
そう私の中の印象の変化を率直に伝えると彼女は少し照れたような顔をした後くるりと私に背を向けた。
何か、可愛い人だな。
そうして私に背を向けたままその先の窓から外を見ながら少し身の上話をしようと前置きをし語りだした。
「--、私とレイラは姉妹で君等と同じ孤児なのだ。小さい頃レイラは体が弱くてな、よく床に伏せっていたんだ。そんな妹を世話しながらでも慎ましく穏やかに孤児院で暮らしていた。だがある日私達が育った所が戦争に巻き込まれて襲われ小さかった妹となんとか逃げようと走り回った。次々と目の前で知っている顔の人達の命が散っていく、だがその時の私には妹の手を引いて逃げるのが精一杯だった。人が焼ける臭い、断末魔、女は犯され男は首をはねられる。そんな中を必死に走って走って、走って・・・。次第に私も妹も力尽き倒れた、運悪くそこには目の前に下卑た目で私達を見下ろす男達がいた。あのままだったら私達は玩具にされ殺されていただろう。だが、そうはならなかった。」
そこでアイラさんは一旦話を区切り部屋にあったティーセットで紅茶をいれてくれた。紅茶はとても香が良くとても落ち着く。それを飲みながら話しの続きがはじまる。
「結果を言ってしまえば私達はその場に現れたアルクエイド様に救われた。だが私達はその時既に生きる気力を失っていた。大事な人達が次々いきなり死に、病弱な妹を抱えたまま頼る所も住む所も無く絶望しかなかった。だがそんな私の事なんてお構いなしにあの方は言った、一瞬で斬り捨てた男達の返り血を浴びた異様な姿で。「君等可愛いな!よし、行く宛が無いなら今から君等はボクのものだ。だから勝手に死ぬ事も絶望に組し生きる事を諦める事を許さない。」と、」
その話しからなんだか私はアルちゃんらしいと思った。接した時間はまだ多くはないけれど、裏表なく誰に対しても真正面からくる印象は結局昔からなのだと。
「少し私の話が長くなったが、今君達がぶつかっている事やこれから君達に訪れる事は私の過去なんかより計り知れないものかもしれない。それは良い事も悪い事も含めて。だが決して諦めるな、道は必ずある。結局そういう積み重ねが必ず誰かを救い、自分を救う事になる。」
そういって「結局私は何がいいたかったんだろうな?」と言いながらアイラさんは話を締めた。
私にも彼女の言いたかった事の全てが理解出来た訳じゃないけれど、でも伝わってくるものは確かにある。
そう、思ったのだった。
******
紅茶も飲み終わり落ち着いた所でアイラさんから私が気を失ってからとその際に起きた事の話しを聞いた。
「そうですか・・・、2人でアーカムへ・・・」
確かにここ数日まるで何かに導かれる様に色々な事が起きている。そう、何かに導かれる様に・・・
「フェリス・・・、レオンと君の関係からすれば本当なら君も行くべきだったのだろう。だが、厳しい言い方かもしれないが戦場で戦う力の無い者は感情論を抜きに必ず足を引っ張り死を呼ぶ。今の君達の村はそういう場所なのだ。」
「解っています、でも頭で解っていても心は・・・」
先程までの和やかな雰囲気とは違いこれは正に今起こっている事、でもだからこそやり場の無いこの感情は上手く言葉になってくれなくて・・・、だから胸が痛くなる。
「無理に納得しようとしなくていい、到底納得なんぞいかない類の事なのだから。だが、だからといって放置も静観も出来ない程に事態は切迫していた。」
なるべく優しくそして慎重に言葉を選び宥め慰める様に言うアイラさんの言葉はまるで私の心を抱き締めるようだ。
「気を使って頂いて有り難うございます。今は2人が無事に戻る事を祈る事にします。それしか今の私には出来ませんから。」
「そうだな、まあ我が王が一緒なのだ、無事に帰ってくるさ。」
そう優しくアイラさんは言ってくれる。私には姉が居ないが、きっといたら・・・、こんな人がいいななんて思う。
「ーー、クク、自分だけぬくぬくと安全な場所で守られ祈って待つだと?お前は現実が見えていないのか?」
・・・え?
突然部屋の隅から悪意の塊の様な雰囲気を纏ったその男がその悪意を投げつける様にそう言い放つ。
「貴様、何処から・・・、いや、何者だ?」
腰の剣に手をかけ先程までと違い今何が起こっているか理解が追い付かない私にすら解る位の抜身の刃の様な剣気を迸らせアイラさんが静かに言う。
部屋中にピリピリと緊張感が走る中その男は口を開いた。
「やめておけ聖王のファミリアよ、今は貴様らと一戦交えるつもりは無い。単にそこの「鍵」を見に来ただけだ。だから今日はこのまま引こう、だがそこの「鍵」の娘よ忘れるな?お前もまたこれから起こる戦乱の・・・、いや、この続く輪廻の物語の大事な主役の一人だということを。」
そういって気味の悪い薄ら笑いと共に霧の様に男は消えた。
「くっ、逃げたか・・・」
男が消えたと同時にアイラさんは剣気を収めていく。
「・・・、「鍵」・・・、私・・・、私は一体・・・、」
その時私の首飾りが眩い青い光を放つと同時に頭の中に聞き覚えのある声がこだまする。
「思い出して・・・、フェリス・・・、」
それと同時に部屋が首飾りから放たれる光に包まれたのだった。




