1話
「---、よし!大体こんなもんだろ、しかし腹へったな~」
今日は俺の育った孤児院が前日の雨にて雨漏りがあり屋根等の補修を頼まれたのでそれを請け負った。
肉体労働は俺の唯一出来る仕事だが、この孤児院は俺の住処でもある為当然無償でやる。
孤児院の俺の育ての親たるシスターは当然の権利だと何か頼む度、報酬を払おうとしてくれるのだが受け取るつもりはないので今まで金銭等の報酬は一度もシスターからは受け取ってない。
それは俺の今までのささやかな感謝のつもりでもあるのだし、俺にはホントの親みたいなものなんだからもっとコキ使ってくれてもいいと思っている。
そう物思いに少しなんだか照れくさくなりながら前日の雨が嘘かの様に晴れた空を今補修し終えた屋根の上でボーっと眺めていると下から聞き慣れた俺を呼ぶ声が聞こえる。
「レオン!!お昼作ってきたよー!一緒に食べよー!」
そう言い太陽の様な笑顔を向けて俺を呼んでいるのは幼馴染フェリス・ナナリーだ。
同い年であるのだが見た目は幼く、育つ所はとても残念なのだがそこを省いても綺麗な金髪に整った顔でこの太陽の様な笑顔を持つ彼女を可愛いと思わないものはそういないだろう。
そして同じ孤児である為に彼女も幼い時から家事や炊事、そして他の孤児達の面倒も見てきた為にいいお嫁さんスキルは抜群な訳だ。
彼女の努力もさもながら本来要領や器量も良いのだろう。
「なあ、フェリスもここで一緒に食べないか?見晴らしが良くて気持ちいいんだ」
そう誘うとはちきれんばかりの笑顔で「うん!!」といいお昼の入っているバスケット片手にひょいっと屋根まで上がってきて俺の隣にちょこんと座った。
俺は正直フェリスに好意があり、彼女は俺をどう思っているかは知らない。
だがこう一緒に過ごす時間はとても安らぐし、あわよくば彼女にもそう思って貰えてたらと思う。
「今日はねー、お肉いっぱい貰ったからミートサンドにしたんだよ♪」
そうフェリスがドヤあッと無い胸を張る。
「いつも昼ありがとな?とても美味しいよ」
俺は素直に感謝と感想を伝えると彼女は「えへへー」と頬を赤らめ照れている様だった。
「なあフェリス、お礼って訳じゃ無いけど向こうの空見てみ?」
そうフェリスのいる逆の方の空を指差す。
「わああー!虹だあ!!」
そう前日の雨のおかげと今日の晴天、そしてこの屋根の高さからという条件でここからは虹が見えるのだ。これを見せてやりたくて彼女をここに呼んだ。
まさかこんなに喜ぶとは思っていなかったが、どうやら正解みたいだった。
そのままご機嫌なフェリスと食事を済ませると補修が済んだ事を知らせにシスターの下へ行く事にした。




