9話
立ち上がる煙を頼りにその施設に向かうとそれは聖都のはずれにあった。敷地はかなり広くまるで何かの工場の様だった。
「ん?何者だね?ここは関係者以外中には入れない。」
施設の入り口でボーっと立っていた俺達を不振に思ったのか衛兵がそう話しかけてきた。
「関係者って訳では無いんですが見学か少しお話が出来る方に取り次いで貰うのは難しいですか?」
警戒している衛兵に対し身分証のギルドカードを掲示しフェリスが要望を速やかに答える。
「ここは聖都の軍施設でもある。この街に詳しくない君達は知らないだろうが一般公開されている訳でもない。従って然るべき許可を持つ者や或いは関係者、それ相当の者でなければここを通す訳にはいかない。」
衛兵はフェリスから渡されたギルドカードの紹介を済ませてから警戒レベルを下げ軍人にありがちな上からの高圧的な物言いではなく、意外とフランクな感じでそう答えた。
「ーーその二人通していいよー、ボクの権限で許そう。なんせボクはえらいんだゾかしこいんだぞー!!。」
どこからとも無くそんな声がいきなり聞こえるが周りを見渡してもその声の主が見当たらない。
「おい君、ワザとじゃないよね?見えているよね?泣くよ?盛大に泣くよ?」
いつの間にか施設の入り口に居たその幼女はそういった。
「うおッ!!なんだ?このちんまいの」
俺は思わず心の中の言葉をそのまま口にする。
「ちんまいとはなんだーー!!これでもボクは18なんだゾ!!可愛いしえらいし賢いんだゾ!!そんな事言うと皆が困る位に泣くゾ?泣いちゃうんだからな?」
そのちんまい・・、もといエラいらしい幼女は半泣きでその場でたたら踏んでいる。それを見かねたフェリスがよしよし、と抱きしめ頭を撫でなだめている。
「アルクエイド様、また認識阻害の魔法で抜け出そうとしましたね?これで何度目ですか?自重下さい」
その様子を見ながら先程のフランクな衛兵が「はあ~・・」と、溜息をつきながら片膝をつきながらそう幼女に言う。衛兵の態度や言葉使いから今フェリスの腕の中でなだめられているこの幼女なのかなんなのかは偉いらしいのが解る。
が、どうにも信じられない。
なので衛兵に聞くことにする。
「あのー、なんです?このやかましい幼女もどきは?」
すると、衛兵はすかさず答える。
「馬鹿者!!口を慎め!!このちんま・・ゴホン!この見た目は幼い幼女に見えるお方こそ、この聖都の現聖王アルクエイド・サーシェス様だ!!」
うん、
「「えええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!!!」」
軽く衛兵の本音が垣間見えたのは置いといて、俺もフェリスも絶叫する。
「だから言ったろう?ボクえらいって。」
その幼女は絶叫し、愕然としているフェリスの腕の中を離れドヤっ!!と仁王立ちする。
そして佇まいを直してニヤリと笑いこういった。
「たまたま視察が面倒で抜け出そうとしていただけだったんだが、これは僥倖。ようこそ「資格者」殿」
そう言った彼女の雰囲気には先程までの幼さはなく、むしろ王者や覇者の風格があったのだった。




