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第5話 締切
部長の桐島は、部室のカレンダーを指差した。
「締切は一か月後な」
文化祭まで、残された時間はそう多くない。
しかし。
「余裕!」
花音は即答した。
あまりにも迷いのない返事に、悠斗は首を傾げる。
「もう話は考えてあるん?」
「ううん」
花音はあっさり首を横に振った。
「今から!」
「えぇ……」
思わず声が漏れる。
一か月しかないのに、まだ何も決まっていない。
悠斗が不安そうな表情を浮かべると、花音はニヤリと笑った。
「でもね」
「前から温めとった話があるんよ」
「頭の中では、もうできとる!」
そう言って、自信満々に胸を張る。
「期待しとって!」
その言葉に、悠斗は少しだけ安心した。
「お、おう」
この時はまだ。
その”頭の中”にある物語が、設定の穴だらけだとは知る由もなかった。




