第47話 ラスボス強化
放課後。
部室。
悠斗は原稿をめくりながら満足そうに頷いた。
「よし」
「ここでラスボス登場」
「主人公覚醒」
「神級魔法で決着」
「綺麗にまとまったな」
花音も原稿を読み返す。
「うんうん」
しばらく考え込んだあと、
「あっ!」
悠斗が顔を上げる。
「……何や」
花音は目を輝かせた。
「暴れ天使、もっと強くならない?」
「第二形態とか!」
悠斗は固まる。
「……は?」
花音は身振り手振りで説明する。
「倒したと思ったら!」
「まだ生きてましたー!」
「翼が六枚から十二枚になって!」
「最終形態!」
悠斗はゆっくり原稿を閉じた。
「もう最終決戦終わっとる!」
花音はきょとんとする。
「でも、ラスボスって変身するイメージあるよ?」
悠斗は額を押さえた。
「そのせいで和平まで終わっとるんや!」
「天使みんな武器下ろして帰っとる!」
「今さら『実は生きてました』なんて出てきたら台無しや!」
花音は少し考え込む。
「じゃあ第三形態は?」
悠斗は机へ突っ伏した。
「増やすな!」
「何でも形態増やして解決しようとするな!」
花音は小さく笑う。
「強い方が盛り上がるかなって」
悠斗は大きくため息をついた。
「読者が見たいんは、形態やなくて綺麗な終わり方や……」
そう言いながら、悠斗は原稿を抱きしめる。
「この最終回だけは守らせてくれ……」




