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漫画研究部ですが、設定会議だけで文化祭を迎えそうです!?  作者: Atelier Lotus


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第42話 プロット完成

 放課後。


 部室。


 悠斗はノートを花音へ差し出した。


「一応、プロットはこんな感じでええか?」


 花音は目を輝かせながら読み始める。



 主人公・ルシウスは、ごく普通の少年として育つ。


 しかし幼い頃から、誰にも真似できないほどの魔法の才能を秘めていた。


 やがて大魔法使いを師に迎え、王城の魔法図書館で古代魔法の研究を始める。


 そこで彼は、本来なら失われたはずの絶級魔法・超絶魔法・超級魔法を、まるで身体が覚えているかのように自在に扱えることに気付く。


 一方、その先に存在するはずの神級魔法だけは文献が掠れて読めない。


 唯一判読できたのは、


「――千年に一度、天使……」


 という一文だけだった。


 その言葉は、なぜかルシウスの胸に深く引っ掛かる。


 偶然その光景を目撃した団長兼筆頭魔導士は、ルシウスの才能に驚愕し、魔法騎士団の副団長へ迎え入れる。


 ルシウスは仲間たちと共に魔物討伐や人命救助に尽力し、多くの人々を救う英雄となっていく。


 しかし、その平和は長く続かなかった。


 千年に一度訪れる天界からの侵攻が始まる。


 実は天界では、人間界より時間の流れが速く感じられるため、天使たちにとって千年という歳月は、それほど長い時間ではなかった。


 本来、天使は神の使いとして人々を導く存在。


 だが一人の暴れ天使が権力を握り、


「欲深い人間は滅ぼすべきだ」


 という思想のもと、天界を支配していた。


 神は人間界へ直接介入できない。


 さらに、天使同士で争えば堕天という重い罰を受けるため、誰も暴れ天使を止められなかった。


 そこで神は、一人の忠実な天使へ密命を与える。


 「人間へ転生し、来るべき戦争で暴れ天使を討て」


 その天使こそ、ルシウスの前世だった。


 しかし転生と引き換えに、ルシウスは天使としての記憶を失っていたのである。


 天界軍との決戦。


 暴れ天使の放つ神級魔法を受け、ルシウスは瀕死となる。


 その瞬間、封じられていた前世の記憶と神から授かった使命を思い出す。


 そして、人間として生き抜いた経験と天使の力が一つとなり、誰も到達したことのない神級魔法へ覚醒。


 必殺の**《光の投擲聖槍ルミナス・ホーリー・ジャベリン》**で暴れ天使を討ち果たす。


 支配から解放された穏健派の天使たちはルシウスへ感謝を捧げ、人間界との戦いを終えることを決意する。


 こうして人間界と天界は和平を結び、新たな時代が始まる。


 世界を救った英雄ルシウスは、人と天使、二つの世界を結ぶ架け橋として、その名を歴史に刻むのだった。



 花音は読み終えると、勢いよく顔を上げた。


「おおおお!」


「めっちゃ面白い!」


 悠斗は照れくさそうに頭をかく。


「まぁ、まだ細かいところは残っとるけどな」


「主要キャラに名前も付けやなあかん」


「『大魔法使い』とか『団長兼筆頭魔導士』とか、『暴れ天使』のままじゃ流石に格好つかん」


 花音は何度も頷く。


「でも、あと名前考えたら完成じゃん!」


「小説家になれるよ!」


 悠斗は間髪入れずにツッコんだ。


「いや!」


「俺たちは漫画描くんだよ!」


 一瞬、部室が静まり返る。


 二人はゆっくり机の上を見る。


 そこには完成したプロット。


 そして、その横には――


 真っ白な漫画原稿用紙。


 花音がぽつりと呟く。


「……漫画、一コマも描いてないね」


 悠斗は天井を見上げ、深いため息をついた。


「漫画研究部やのにな……」


 こうして二人は、漫画を一本も描かないまま、一冊分のライトノベルのプロットを完成させてしまったのだった。

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