第41話 完成
放課後。
静かな部室。
悠斗は最後の一文を書き終えると、ゆっくりとノートを閉じた。
「……完成や」
花音は身を乗り出す。
「できた?」
悠斗は小さく頷く。
「世界観」
「主人公」
「ラスボス」
「最終決戦」
「全部繋がった」
花音は満面の笑みを浮かべる。
「私の思い浮かべた妄想小説!!」
「私のおかげ!」
悠斗は間髪入れずにツッコんだ。
「違うわ!」
「どんだけ設定増やした思とるんや!」
花音は胸を張る。
「でも最初に思いついたの私!」
悠斗は言い返そうとして、
「うっ……」
と口を止める。
少し考えたあと、苦笑した。
「……せやな」
「ワイは繋げただけや」
花音は勢いよくガッツポーズを決める。
「やったー!」
悠斗は椅子にもたれかかり、天井を見上げた。
「漫画研究部やのに……」
「まだ一ページも漫画描いてへん……」
一瞬の静寂。
花音は首をかしげる。
「じゃあ次は漫画描こっか!」
悠斗はゆっくりと顔を向ける。
「……また設定会議始める気ちゃうやろな?」
花音はにっこり笑った。
「そういえば主人公の髪色決めてなかった!」
悠斗は机に突っ伏す。
「あかん……終わらへん……」
こうして二人は、漫画を描く前に一本のライトノベルを完成させてしまうのだった。




