第28話 プロット担当
放課後。
悠斗はノートを閉じる前に、最後のページへ一本の矢印を書き加えた。
* 天使襲来
* 主人公だけ生存
* 神級魔法習得
* 暴れ派討伐
* 穏健派と和平
矢印で全てが繋がる。
「……よし」
「これで一本の物語になった」
花音はノートを覗き込み、目を輝かせる。
「完璧!」
悠斗は満足そうに頷く。
「まあ、何とか形にはなったな」
そして、ふと我に返る。
「……ていうか」
「ワイ、設定担当どころか」
「プロット担当やないか!」
花音は即答した。
「うん!」
悠斗は肩を落とす。
「即答なんや……」
花音は慌てて付け加えた。
「でも!」
「私は面白いアイデア出してる!」
悠斗は少し考えたあと、小さく笑う。
「……それは否定せぇへんな」
「ゼロから『天使が敵!』とか『最後は和平!』なんて発想、ワイには出てこん」
花音は得意げに胸を張る。
「でしょ!」
「私は思いつき担当!」
悠斗はノートを鞄へしまった。
「……もう何も言うまい」
「役割分担や」
花音はにこっと笑う。
「よろしくね、プロット担当!」
悠斗は苦笑しながら立ち上がる。
「誰が正式就任したんや……」
二人は笑い合いながら部室を後にした。
こうして漫画研究部は今日も一ページも漫画を描かないまま、設定と物語だけが着実に完成へ近づいていくのだった。




