第26話 和平
放課後。
花音は最後のページを開いた。
「エンディング!」
悠斗は頷く。
「お、最後か」
花音は胸を張って宣言した。
「最後は穏健派の天使と和平!」
悠斗は目を丸くした。
「……え?」
「敵全部倒すんちゃうんか」
「ラスボス倒したら終わりやないの?」
花音は首を横に振る。
「違うよ!」
「仲良くなる!」
悠斗はノートを見つめる。
「ほな、なんで和平できるん?」
「天使は人類を滅ぼしに来たんやろ?」
「何が変わって戦いをやめるん?」
「暴れ派と穏健派は何が違うん?」
「主人公は何をしたから認められるん?」
矢継ぎ早の質問に、花音は数秒考え込む。
「……」
そして満面の笑みで言った。
「考えて!」
「丸投げやないか!」
悠斗は思わず立ち上がる。
「最後の締めまでワイが考えるん?」
花音はにこにこと頷く。
「うん!」
「主人公が戦って終わりじゃなくて、ちゃんと話し合って終わる方が好き!」
悠斗は少し驚いたように花音を見る。
「……それは、ええと思う」
「ただ」
「和平って、一番理由がいるんや」
「戦う理由より、戦わん理由を作る方が難しい」
花音は感心したように目を輝かせた。
「さすが悠斗くん!」
「じゃあお願い!」
悠斗は大きくため息をつき、ノートを開く。
「……また設定が増えるやん」
こうして物語の結末もまた、花音の一言から悠斗の仕事になったのだった。




