第9話 動機
悠斗はノートを見つめながら、花音の話を頭の中で整理する。
絶級魔法は賢者クラス。
超絶魔法は竜族の魔法。
超級魔法は人外クラス。
腕を組む。
「……ちょっと待って」
「ん?」
「超絶魔法って、絶級と超級の間なんやんな?」
「そう!」
「竜族の魔法なんやんな?」
「そう!」
「でも竜って人外やんな?」
「うん!」
「ほな超級やん!」
花音は少し考え込む。
「細かいことは気にしやん!」
「気にするわ!」
悠斗は頭を抱えた。
「ていうか、超やら絶やら読みにくいなぁ……」
「かっこええやん!」
「かっこよさだけで名前付けたやろ!」
花音は得意げに胸を張る。
「うん!」
悠斗は深いため息をついた。
「……ところでさ」
「ん?」
「なんでルシウスは文献を探しとったん?」
花音は一切迷うことなく答えた。
「知らん」
「え?」
「そこお願い」
悠斗の思考が止まる。
「……そこって、一番大事なところやんな?」
「そう?」
「そうや!」
悠斗は思わず立ち上がった。
「主人公の動機やぞ!」
「なんで文献を探したんかで、物語全部変わるやん!」
花音は「なるほど」と頷く。
「じゃあ、それ考えるのは悠斗くんの仕事やで」
悠斗は固まる。
「……え?」
「私は面白そうな設定を考える担当」
「悠斗くんは、それが成立する理由を考える担当」
「担当分け、おかしいやろ!」
教室に、悠斗の悲痛なツッコミが響き渡った。




