店外デート♥️ 4
「少し散歩しようか」
映画が終わると、純さんからそう提案されました。
九月に入ったとはいえ連日猛暑が続いていたのですが、その日は前日に雨が降ったこともあっていくらか涼しい空気が漂っていたので、屋外をブラブラするのもそれほど苦ではありません。
時間は午後四時を回ったところで、日も落ちかけています。
私が了承すると、純さんは新宿御苑へと足を向けました。
入園料を払って園内に入ると、平日の夕方ということもあってか来園者の数はそれほど多くないようです。
新宿御苑はある意味不思議な場所です。
森の木々の向こうに新宿の高層ビル郡が見えて、まさに「都会のオアシス」という感じ。
時おり風も吹いてきて、マイナスイオン効果も手伝ってか、園内は街の雑踏に比べるとかなり気温が低く感じられます。
芝生広場を右手に見ながら、純さんと私はしばらく黙々と歩きました。
やっぱり、今日の純さんはどこか変です。
何というか・・・元気がない感じです。
意気消沈しているという表現がぴったりかもしれません。
沈黙に耐えきれなくなったからというわけではなく、どうしても気になって私は歩きながら質問してみました。
「純さん、今日何かありました?」
「え?」
「なんていうか・・・お元気がない気がしたので・・・」
「ああ・・・」
半笑いのまま生返事をして純さんはしばらく押し黙ってしまわれます。
何かまずいことを聞いてしまったかなと焦った矢先・・・。
「実は、最近LINEのやりとり始めた人に『ホストなんて大っ嫌い』って言われちゃって」
“最近LINEのやりとりを始めた人”というのはお客さま候補のことですね、きっと。
業務上のことに関して私が聞いてしまっていいものなのか心配になりましたが、とりあえずそこには目を瞑ることに。
「他にもいろいろ言われちゃって。たまにそういうこと言ってくる人もいるし慣れてはいるつもりだったんだけど・・・。やっぱりちょっとへこむよね」
そう言って笑ってみせるものの、その笑顔にはいつもの純さんらしい元気はありません。
「ひどい言い方する方もいらっしゃるんですね。もう少し言葉を選んでくださってもいいのに」
「まぁ、仕方ない部分もあるよね。世間的に俺たちの仕事がどう見られてるのかは知ってるつもりだし。言いたいやつには言わせとけって思うんだけど・・・」
ホストさんだって人間なんですから、そこで傷つかないわけないんですよね。
私でよろしければ愚痴っていただきたいところでしたが、純さんはそのまま口をつぐんでしまわれます。
それでも何か純さんを元気付けることを言って差し上げたくて・・・私は思わず足を止めました。
「でもっ。世間の方たちだってきっと偏見を持ってらっしゃる部分もあると思うんですっ。少なくとも私は純さんに出会えて変われましたし、ホストクラブの皆さんのお陰で自分に自信が持てるようになりました」
気づいたら、純さんに向かって必死に言い募ってました。
でも本当です。
そもそも、行きもしないのにイメージだけで批判してしまうのはよくないと思うのです。
行ったら何かが変わるかもしれないし変わらないかもしれない。
ただ、批判するならそこからだと思います。
ホストさんやホストクラブだからというだけで、無条件に叩かれていい決まりなんて存在しません。




