店外デート♥️ 5
私の言い方があんまり必死すぎたせいか、純さんはちょっと目を丸くされてます。
我に返った私は恥ずかしすぎて思わずうつむいてしまいました。
すると・・・。
自分がふわりと何かに包まれたのが分かります。
最初、何が起きたのか分かりませんでした。
誰かの腕が自分の背中に回されて・・・純さんの胸が目の前にあって。
抱き締められているのだと理解するまでに、数十秒ほどかかってしまったかもしれません。
「ありがとう・・・」
純さんの吐息のような声が耳元で聞こえます。
初めての事態なのに、その時の私は不思議とパニックになりませんでした。
静かな声でお礼を言う純さんの受けた傷が自分にまで染み込んでくるような気がして、なんだか切なくなってしまいました。
純さんを慰めたくなって、私もおずおずと彼の背中に手を回します。
純さんは男性としては決して大柄な方ではないのですが、やっぱりその背中は広くて・・・腕の中は何故だか安心感を覚えました。
さすがに抱き合うには少し高い気温でしたが、純さんと私はしばらくそのままの体勢でいました。
周囲に人影が少なく、誰も通りかからなかったのが幸い(?)です。
私としては、もうずーっとそのままでいたいところでしたが・・・。
「愛香ちゃん、お願いがあるんだけど」
純さんの言葉で現実に引き戻されます。
何事かと純さんを見上げると。
「もう、お店に来ないでほしいんだ」
衝撃的な一言が純さんの口から聞こえてきました。
そこでようやく(?)私の頭の中がパニック状態に陥ります。
思わず腕を伸ばして純さんと距離を取りました。
何で? 何で?
調子に乗って純さんとハグなんかしたのがいけなかったのでしょうか。
それ以外に、私何か純さんに嫌われるようなことをしてしまったでしょうか。
「え・・・どうして、ですか・・・?」
自分でも声がかすれているのが分かります。
今の今まで感じていた多幸感はあっという間にどこかへ消え去って、背中に冷水を浴びせられたような感じになります。
多分私の顔は青ざめていたのではないでしょうか。
ところが、そんな絶望感に教われている私の目の前で、純さんは何故か少し照れたような表情をされています。
「いや、愛香ちゃんを独り占めしたくなったっていうか・・・」
照れ隠しなのか、純さんはそう語尾を濁すと視線をはずして横を向いてしまわれました。
それより・・・なんですって?
私の聞き間違い?
「え、と・・・それはどういう・・・」
意味なんでしょう?
にわかにはいろいろ信じられなくて、そう聞き返すのが精一杯です。
「愛香ちゃんのこと、最初からすごくピュアで素直な子だなぁって思ってて・・・。そういうとこが可愛いなぁって思ってたんだけど、最近すごくきれいになってきたし・・・。なんか、客としてじゃなく、彼女として側にいてほしいなって思うようになった」
な、な、な、なんですとー!!!!
こ、これはまさかの逆転一発ホームランですよ!




