初回 6 ~シャンパンコール~
そこでお店中に大きな音楽が流れ始めます。
突然の大音量に何事かと目を丸くしていると。
「お客さまからシャンパンいただきましたー!」
と、マイクを使ってどなたかがお店中にアナウンス。
店内のホストさんたちはそれに応じて声を上げます。
「ちょっと行って来るね」
そして、純さんはそうおっしゃると立ち上がりました。
向かい側に座ってらしたNERUさんも。
気づけば、接客中でいらした全てのホストさんたちが立ち上がって店内の一ヶ所に集まり始めます。
私から見て正面の位置、ちょうどお店の中心に当たるところでしょうか。
そこにある一卓を、ホストさんたちは円陣を組むように囲みました。
何が起こるのか見守っていると――
ホストさんたちが全員で歌い始めました。
正確には“歌”というより甲子園の応援歌のようにノリのいい掛け声に曲がついたような感じです。
事態が飲み込めずに目をパチクリさせてしまった私ですが、他のお客さまたちは慣れていらっしゃるのか特に何の反応も見せていらっしゃいません。
少々退屈そうにスマホをいじっていらっしゃる方もいます。
私はというと、ホストさんたちの熱量に圧倒されていました。
二十名近くの男性が一斉に歌うと、店内はまさに歌声に包まれる感じです。
目の前でのパフォーマンスですから、皆さまの熱気がダイレクトに伝わって来ます。
時おり振りをつけながら歌っているホストさんたちは本当に楽しそうで、普段からの和気あいあいとした雰囲気が感じられます。
歌詞はよく聞き取れませんでしたが、男子学生が悪のりして作ったような部分もあって何だか微笑ましいです。
ホストさんたちが歌っている間、私はひたすら純さんだけを見ていました。
近くにいらっしゃるとなかなか目も合わせられませんし下手したら顔すら上げられませんが、少し距離を置いた今は、もう純さんしか目に入りません。
その“歌”はしばらくすると終わりました。
「え、と、お店に来るのは今日が初めてだったんですが、頑張ってほしくて入れました。これからも頑張ってください」
歌が終わった直後、そんな声が聞こえてきました。
若い女性の可愛らしい声。
ホストさんたちの隙間から見てみると、マイクを持ってしゃべっていらっしゃるのは、入店の時に私の前に並んでらしたあの小柄で髪の長い女性です。
はうう、思った通り声まで可愛いです。
「まだ一年目ですが、こうして応援してくださるお客さまもいるので、一生懸命頑張りたいと思います」
次に聞こえてきたのは、姿は私からは見えませんがおそらく白銀の髪の背の高いホストさん。
まだ一年目ということは新人さんなのでしょうか。
大分お若そうなホストさんだなぁと思っていたのですが、私より年下なのかもしれません。




