初回 5 ~シャンパンコール~
そして、泰知さんと入れ替わるように純さんが戻ってらっしゃいました。
「ごめんね。お待たせ」
そう言って当たり前のように私の隣に座ります。
ちっ、近いっ。
肩が触れ合うくらいの密着度です。
少し距離を取りたかったのですが、何分壁際の席なのでそれ以上逃げられません。
純さんに放っておかれたことに対して一言くらいは何か言いたかったのですが、その距離感に言葉はどこかへ飛んでいってしまいました。
当然のようにカチコチに硬直してしまう私の体。
「楽しんでる?」
純さんはそう聞かれましたが、私は首を上下させるので精一杯。
「あ、俺も飲み物いただきまーす」
そう言って純さんはご自分のグラスに烏龍茶を注がれました。
ホストさんたちはそれぞれマイグラスを持っていらっしゃるらしく、グラスにはご自身のお名前が書いてあります。
「どう? うちの店」
「え、あ、はいっ。すごくにぎやかですし、何て言うか・・・想像通りでした」
純さんと会話を交わすうちにもどんどん新しいお客さまが入って来られます。
その度に黒服さんがマイクで「お客さまご来店です」と店内に告げると、それに呼応するように店内中のホストさんたちが「ウェーイ」とお返事(?)なさいます。
「失礼しまーす」
そこへ、またもや別の方がいらっしゃいました。
私よりは少し年上でしょうか。
茶髪のイケメンさん。
いえ、今度の方はイケメンというより美形と言った方がいいかもしれません。
「あー、NERUさん」
「こんばんはー。えっと、愛香ちゃん?」
「そうでーす。愛香ちゃんです」
「あ、は、はじめまして・・・」
「ホストクラブ初めて?」
「あ、はい。今回純さんに連れてきていただいて・・・」
「あー。やっぱり。そんな感じー」
そう言ってNERUさんは豪快に笑われます。
何というか、お顔に似合わず(?)さっくばらんな方のようです。
「NERUさんはね、イギリスのクウォーターなんですよね」
「そーなんすよー」
「え、すごい、じゃあ英語話せるんですか」
「もー、みんなまずその質問! 英語くらい話せるっつーの!」
一人で突っ込んで高笑いするNERUさん。
よく見たら、着ていらっしゃるTシャツには「DIOR」の文字。
ハイブランドの価格なんてよく分かりませんが、相当お高いものと思われます。
やっぱりホストさんは着ているものにもかなりこだわりを持っていらっしゃるんだなぁと、変なところに関心してしまいました。




