ドキドキの初対面(はつたいめん) 3
「愛香ちゃん、やっぱり可愛いね」
そんな風に少々不躾に純さんを眺めていると、そんな声が聞こえてきて我に返りました。
聞き間違い・・・?
「かっ、可愛いとかないですっ」
「そうかなぁ。想像通りだったよ」
「可愛いとか、今までに一度も言われたことないので・・・」
「えー、そうなんだ。意外」
「私こんな感じですし・・・それに純さんはホストさんだから・・・」
「あー、誰にでも言ってるって思われてる?」
純さんが苦笑いをなさったので、私はそれ以上何も言えなくなってうつむいてしまいました。
「んー、なんていうかな、ホストもさ、本当に思ってもないことは言えないよ」
「そうなんですか?」
「やっぱさぁ、世間的には結構偏見持たれてるよね」
「そう・・・かもしれないです・・・」
「俺たちの店はさ、“ホスドル”って形で売り出してるんだ」
「ホスドル?」
「ホスト+アイドル。要するに歌って踊れるホスト的な?」
「普通のホストさんとは違うってことですか?」
「同じ部分もあるけど、俺は自分達のことエンターテイナーだと思ってる。お店に来てくれた人をどれだけ楽しませられるかが重要っていうか」
純さん曰く、今はホストという業態も昔に比べると様変わりしているようです。
以前はホストといえば開襟シャツにスーツ、アクセサリージャラジャラという服装が代表的なイメージでしたが、最近ではカジュアル化が進んでいるのだとか。
それに伴ってチャラいとかダークなイメージも薄れてきて、例えばモデルをされたりタレントになられたりするホストさんもいらっしゃるとのこと。
客層も、かつては会社経営者や重役の妻といった裕福な女性が多い印象でしたが、今ではなんと大学生もいらっしゃるそうです。
「でも、世間のほとんどの方は、ホストやホストクラブといえば昔のままのイメージを持ってますよね」
「そうなんだよね。だから、店にさえ来てもらえれば、絶対楽しんでもらえる自信はあるんだけど」
一般の方に向けた敷居を低くするためにも、ホストクラブには「初回料金」というものが設定されているらしいです。
どこも2000円~3000円で、90分ほどホストクラブをお試し利用できるようになっているのだとか。
確かに3000円くらいなら、月収20万に満たない私でも余裕で払える額です。
それから、純さんはご自分が地方から歌舞伎町に来てもう五年以上になることも話してくださいました。
「だからさ、なんとかここで頑張って売れて有名になりたいと思ってる」
「なれるといいですね」
「今はまだお茶挽いてる時の方が多いけどね」
「お茶?」
「その日の指名がないことを、業界用語で“お茶を挽く”っていうんだよ」
耳慣れない言葉ですが、元々は吉原の遊女に由来するそうです。
お客さんがつかない遊女を遊ばせておくのはもったいないので、お茶を挽かせていたのが語源だとか。




