イケメン登場
「ふーっ、やっと出れた」
下校時間のピークを過ぎたので周りには人がほとんどいないの。なので、堂々と校門の前で大きく背伸びをする。
校舎の中では相模の後ろに隠れながら歩いた。
変な目で見られたりしたけど、うちのクラスの奴らじゃないため、別に大丈夫。どうでもいいし。
そして、やっと外に出られたのだ!
あー空気が美味しい。
「おい、いつまでも感動にひたってんじゃねー、帰るぞ」
「あーはいはい」
相模が私を現実に引き戻した。
あー、別にここまできたら一緒に帰らなくていいんだけどなー。
「二人ともどっち方向?」
「「右」」
ちっ、同じ方向だ。
しょうがない、一緒に帰るしかないか。
「お前んちはどんくらいでつ―――」
「あ、相模と黒季ー!」
帰ろうと歩き出したとき、後ろから男の声がして、3人とも振り向く。
すると、イケメンがこっちに向かって走ってきていた。
なんか普通に走ってるだけなのに無駄にかっこいい。なにアレ。オーラみたいなのでてるよ。
たぶん大半の女子がキュンとするであろう。
ま、私には別に女の子じゃないならイケメンもブサイクも関係ないけどね。
イケメンは私達のところまでくると立ち止まり、言った。
「今から帰るなら一緒に帰らないッスか」
んん? イケメンのくせになぜにパシリ口調?
え、なんかメッチャ違和感あるんだけど。
不思議に思っているとイケメンが私の存在に気づいたらしく、こちらに顔を向けてきた。
「お、この子は、人気者の転校生じゃないッスか」
そういってイケメンは私に笑いかけた。
うん、とても素敵な笑顔だ。
でもごめん、私にはイケメンスマイルも効かないんだ。
なんも感じねーわ。
ていうか私のことを知っているってことはコイツも同じクラスか?
でも、襲ってこないからまともな奴だ。
…いや、イケメンだから女の子に飢えてないのか…!?
「…本当なんスね」
私がイケメンの言葉に反応せずにボーっとしていると、イケメンが少し驚いた顔をして言ってきた。
その言葉の意味がわからず、私は怪訝な顔で聞き返す。
「……何が?」
「いや、女の子が好きで男に興味ないって」
「当たり前じゃん。…なんで今納得したの?」
「いや、だいたいの女の子はおれが笑いかけたら顔真っ赤にしたりとかたじろいだりとか何らかの反応を見せるんで」
やっべ、こいつ死んでほしい。
え? なに、笑うだけで女の子虜にできるみたいな?
くそ、うらやましいよぅうう!
相模と黒季も私と同じ気持ちだったようで、殺意をにじませていた。
「お前マジ次そんなこといったらぶっ殺すぞ」
「うらやましくはないがムカつくな」
だがそんな殺気もイケメンはへらへらとかわす。
「ちょっと、冗談っすよ。それに町歩くたびに女の子に声かけられたりするのつかれるんすよ?」
イライライラ。
こいつわざとじゃねーの。
マジ死ねよ。死んでくれよ。
「うらやましぃ…」
私の恨めしいという思いも混じった言葉にイケメンが驚いた顔で私を見た。
「え? 何がっすか」
「はあ? 女の子にモテモテなことに決まってるだろうが! うぅ~私もイケメンに生まれてきて可愛い女の子に囲まれたかったよぅ…」
「…え、いや本気で?」
「もう。大マジ! 君と入れ替わりたいぃ!」
イケメンが一瞬呆けた顔で黙る。が、すぐに我に返った。
「まさか、ここまで本気で女子が好きだとは…」
「ふっ、私の女好きをなめんなよ」
「いや、たぶん誇れることではないっすよ」
イケメンが若干ひきつった笑みを浮かべたが、すぐにもどり、
「おれなんかアンタ気にいったっすわ。おれの名前は椎名紫苑。よろしくっす」
そう言って、またもイケメンスマイルで、握手を求めて手を差し出してきた。
普通なら、仲良く握手をして、ラブコメ展開に突入しそうな空気。
だが、私相手だとそうはいかない。
「ごめん、男の手は触りたくない」
「なっ!?」
私の言葉に椎名がガガーンとい効果音がつきそうなほどわかりやすくショックを受けていた。
いやいや、お前調子乗るなよ。何がアンタ気に入っただよ。上から目線でムカつくんじゃボケ!
椎名は、ふらふらーっと、今まで私達の様子をぼーっと見ていた相模たちのほうへ行った。
「相模…おれ今までの人生の中で最大のショックをうけたっす」
「ははっざまーみろ!!」
「ひでぇ!」
たぶんコイツ女子に拒絶されたの初めてだったんだろう。
うん、私も相模と同じ気持ち。
ざまーみろ。
びっくり
黒季くんが一言しかしゃべってない




