幕間 / 少し先の未来
「ママぁ〜!みてみて!つくったの〜っ!!」
「ママ!ぼくのも!ぼくのもみて!!」
屋敷に響くのは、幼子たちの必死で健気な声。
その小さな手には、花の形に折った紙。
そして、その声に応えるのは当然…
「紙で作ったお花?…うん。完璧な形ね。二人とも上手上手。流石私の子。」
二人の愛おしい子を、ぎゅっと抱きしめて、頬にキスを落とす
「ほら、パパにも見せてきてあげなさい。」
「え〜…でも…パパはしつむちゅうじゃないの?」
「そうだよママ!ぼく、前にはいったとき、おこられちゃったもん!」
「…じゃあママと一緒に行く?」
幼子たちは顔を見合わせ、瞳をキラキラさせながら言った
「「いきたい!!」」
〜〜〜
執務室の扉の前。幼子たちは、小さな手で
“こんこんこん!”とノックをした
すると、「入れ」と声が聞こえた。
母親が扉を開くと、幼子たちはお互いに人差し指を口元に寄せて「しずかにね!」「びっくりさせちゃお!」と言い合っている
母親は笑うのを堪えながら、執務室の椅子に座る男に話しかける
「仕事お疲れ様」
「誰かと思ったら…どうしたんだ?」
「べつに?仕事の合間に癒しをあげようかと思って」
「………………癒し。」
「うん。癒し。」
男がほんのり赤らんだ顔で壁に掛けてある時計を確認している。
そんな姿を見てクスクスと笑いながら、扉の影に隠れていた幼子たちに“ほら、今がチャンスよ”と合図を出す。
すると幼子たちは物の影に隠れながら、執務室の机の影まで辿り着く。
「一時間は取れないが…その……」
「…ふ〜ん。じゃあ、速く癒しを提供できればいいのね?」
「…なっ…!?……それは…それで…」
その瞬間
「「わぁっっ!!」」
幼子たちが、父親の机の影から、大きな声を出しながら飛び出た。
父親は「うわぁっ!?!?」と驚きながら、どんどん顔が赤くなっていく
「…いつからいたのか、父さんに教えてくれないか?」
「えーとね、ママといっしょに入ったとき!」
「ぼくも!ぼくもいたの!」
「……………そうか」
「ほら、癒し。速く提供できたでしょ?」
「………そうだな。…どちらにせよ、嬉しいな」
父親は幼子たちの頭を順に撫でた。
幼子たちは手に持ったくしゃくしゃになってしまった花形の紙を父親に手渡す
父親は目を細めて「…額縁にでも飾るか?」と言った。子供達は大喜びだ
母親はその様子を見つめながら、ぽつりと呟いた
「……大きくなったあなたたちに…また、会いたいわ。」
あの日、未来から来た娘は、自分と同じくらいの背丈だった。
息子は、もう“ママ、パパ”とは呼ばなくなっていた。
それでも。
今こうして腕の中にいる幼い二人も、確かに同じ子供たちなのだ。
母親は、二人の頭をそっと撫でた。
双子はくすぐったそうに笑い、撫でられた頭を母親の手に擦り寄せた。
次の話は金曜日に投稿します




