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青年の屈辱  作者: 船五郎
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みどり園

勇樹は更なる困難に巻き込まれていく。

勇樹は当初、みどり園の利用者を見て、重症心身障碍児の施設ではないか、と思った。

明らかに人の介助がないと生きてはいけない、自閉症、ダウン症、脳性麻痺の子がひしめき合っていた。

中には会話もでき、自我のある子もいるが、そういう子でも、漢字が書けない、一桁の計算も出来ない、身辺処理能力の無い子達だった。自分とは到底レベルが違う。

それならまだしも、職員の接し方や扱い方がそういう子達と全く同じように勇樹にもしてくるのだ。

まるっきり幼児言葉で、排泄の心配までしてきて、実際の自分の生活レベルとは違っていた。

勇樹の場合は、口下手で自分の考えを上手く言えない、コンプレックスの塊で、ここの利用者とは全く違う。

勇樹は父親にみどり園には行きたくないと懇願した。しかし勇樹の父親は施設に5万円の寄付をしているため、暫く言っていろ、と言った。勇樹が登園を拒むと、暴力的にでも行かそうとするのだ。

また、みどり園の給料は、ほんの小遣い程度だった。これではオカルト雑誌関連商品は買えるはずはなかった。

勇樹は思った。基本的に自分は外見的にも普通で、年齢的にも老けて、大人びて見える。自分は知的障害ではない。普通に会話が出来ないのはなんらかの精神障害のせいだ。潜在能力を引き出す通信講座を受講すればそれが治る。自分なんかはどこでも通用する。あんな連中と一緒にするな。

また勇樹は自分は精神世界や超常的なものに感心を持っていて、あんな身辺処理も出来ない奴らとは全く違う。通信講座で自分の能力が引き出せれば自分はどこでも通用する。こんなところにいてはそういった商品が買えない。ただ時間を無駄にしているだけだ。自分は性欲や恋愛感情だってちゃんとある。嫉妬だってする。あんな性欲もクソもない奴らとは同程度に扱われたくない、と考えた。

また勇樹はみどり園では一番作業がさばけた。彼は自分を他の利用者とは一線を画そうとし、よくふざけた真似をしてみせた。堀川守、という自閉症の子によく悪戯をした。そういう行為が実は逆の印象を与えてることに彼は気付いてなかった。

みどり園の職員は幼児扱いをするのに、道行く人達は大人扱いをし、敬語を使ってくる。よく新興宗教のキャッチセールスに声をかけられる。あの人達も自分が知的障害と分かっていれば声などかけてこない。彼は(私は知的障碍者です)というプラカードを提げてまわりたい気分だった。


杉原さんがよく訪ねてきて勇樹を食事やカラオケに連れて行った。

杉原さんは勇樹に「みどり園は楽しいか?」と聞いた。

彼は「はい、はい」と頷いているだけだった。

勇樹はこの逆境をどう乗り越えていくのか。

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