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Lost Fantasia  作者: 眞弥。
二部 第一章
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第8話 WHAT'S UP MR.JONES?

ノア達がレオン達と分かれた直後のこと。

ノアとアリアの二人はワイバーンが向かう城下街の中央の方へ向かっていた。



「くそっ…あいつら速すぎる!」


「なぁノア!レオンがよく使ってる瞬光とか言う技使わないのか?」


「あれは今使うのに向いてねぇ。俺個人しか移動できない上、地味に体力を使う。乱発はできねぇ」


「なら仕方ないか…ノア、先行くぞ!」



アリアは脚部に炎を発生させ、壁を走り出す。屋根の上に登るとそのまま屋根の間を飛び越えて渡っていく。



「はぁ!?そんなの使えるなんて聞いてねぇぞ!」


「言ってない!」


「ならその影の中入れろ!」



身体強化を使ってアリアと距離を詰めるノア。自身の固有スキルを発動させ彼女の影の中に潜る。



「急ぐぞ!」


「ってお前、あたし任せかよ!どうなっても知らねぇからな!」



◇◇◇



ノア達が到着した時、既に魔法師団とワイバーンの群れとの戦いが始まっていた。騎士団は大多数が出払っているらしく、魔物の群れと対抗出来るのは魔法師団のみのようだった。



「気持ち悪い…酔った…」


「この馬鹿!こんな事してる暇無いって!…ていうかさっきのスキルでワイバーンの影に入れば良かったじゃんか。なんでそうしなかったんだ?」


「ん?簡単だ。許(・)可(・)が無いと自分以外の影には入れねぇ」


「…あたし許可なんか出してねぇけど」


「そりゃあれだな。無意識的な許可が出てたんだよ」


「…意味分かんねぇ!」



アリアはそっぽを向く。が、直ぐに気持ちを切り替える。ワイバーンの一体がこちらを見ているからだ。

彼女は背中に背負った槍を引き抜き、構える。ノアもそれにすぐ気付き新調した短剣を携える。



「今はオリビアが居ねぇからな…無茶しないようにしねぇと」


「いーや、必要な時もあると思うぜ?あたしは」


「へぇ…いつさ?」


「この瞬間!」


「乗った!」



◇◇◇



騎士団本部。

現場に向かい不在のホッグス団長に変わり指揮を執るのは本来であれば、ロベルト副団長であるが何故か行方が分かっておらず本部はやや混乱状態にある。



「副団長は何処に居るんだ!?」


「先行部隊は団長の指示通りもう別の現場に向かってる!」


「各所で異変が起きてるんだぞ!各部隊の用意は済んでるのか!?」



騎士団本部のロベルトの個室。その中には殆どの者は知らない隠し部屋がある。

その中で会話する者が二人。



「な、なあロベルト…俺達こんな事してる場合じゃないんじゃないか?」


「なんだ今さら怖気づいてるのか?昔から言ってるだろう。技術的進歩の放棄は思考の放棄だと。だからホッグスも魔法師団の奴等も頭の悪い戦い方しかできないのさ」


「お、おい…?」


「敵を殺すのに大多数でぶつかる必要も、大魔法も使う必要なんてない。ただ殺せばいい。だから俺はこの異世界の技術を再現する事に決めたんだ」


「それがついさっき完成したじゃないか!早速外の魔物達に使ってお披露目と行こうぜ?俺達がこれの有用性を示せば世界は変わるぞ!」



男は話を結論づけ、急かすようにロベルトを外に出そうとする。



「まぁ待て、まずは試しと行こう。本当にこいつが殺せる物なのかな」


「何に試す気だよ。そんな時間な、い…」



察してしまった男が振り向くと、ロベルトはそれを目の前に構えていた。



「世界は変わる。が、変えるのは俺(・)達(・)じゃない。俺一人で十分だ」


「な、なぁ…冗談だろ?そいつの効力実験は何度もしたじゃないか。木材程度なら何もしなくても破壊は容易いし、同質の材料の物体でも、速力が出てるこっちの方が殺傷力は高いって結論づけたじゃないか!それこそ魔物にだってー」


「だがこれの想定相手は人間だ。やはり本物に試す事でしか分からん事もあるだろう」



撃鉄を引く音がする。



「待て、、待ってくれ!俺はそいつから手を引く!手柄は全てお前のものだ!!だからやめてくれ!!!」



ロベルトは引き金に指をかける。



「やめー」


「通常弾(スタンダード)」



男の身体が壁まで吹き飛ばされる。壁には大きな亀裂が入り、男の身体から飛び散った血痕が残っている。



「悪くない出来だ…。これで騎士団は俺のものになる!そして俺の思うがままに作り替えて…いや、まずはあいつからか…」



◇◇◇



「レナさん、僕達も現場に向かいましょう!カイル隊長はもう向かったようです!」


「流石隊長は早いわね。えぇ、行きましょう」



特務課は窓際部署であり、レナードとフィンは自分達への指示など相当遅れるであろう事は早々に理解していた。

その為指示など待たず現場に向かうつもりであった。



「待て。お前ら二人何処に行くつもりだ?まだ何も指示は来てないぞ」



後ろから呼び止める声がする。特務課の仲間であるシリウスだった。



「シリウス…。今はそんな事言ってる場合じゃないわ。私達は騎士団なの。市政の人々を守らなくちゃ」


「そうだな。お前は正しい。いつもそうだ…お前とアルフレッドは俺に出来ない事を簡単にやってのける…」


「だから止めないで。指示なんて待ってられない」


「それは困るんだよ…」


「シリウス、貴方さっきからどうしたの?様子がおかしい…」


「レナさん危ないっ!」



フィンの声とほぼ同じくして振り向くとシリウスが剣を振り下ろしていた。なんとか回避に間に合うレナード。



「行くなレナード…」


「シリウス!貴方何をやってるか分かってるの!?」


「分かってるさ…だが俺は命令を受けてるんだ。お前を殺せと」


「私を…?誰が!」


「それにお前を殺せばあいつの絶望した顔が見れる…あの時は見ものだった…」



レナードの表情が変わる。戸惑いの表情から敵を見るのへと。



「フィン、先に行って。私はこの男と戦わなくちゃいけない」


「僕もやりますよ!シリウス先輩が急に変になったのにレナさん置いていけません!」


「そう。じゃあ頼むわ」



◇◇◇



「はぁ…はぁ…」


「どうした?もう疲れたのか?」


「悔しいですが、今の身体では長時間の戦闘は難しいようですね…」


「少し休むといい。ここならまだ冒険者達で何とかできる」



二人は一次戦いの場を離れ、小休止していた。

シシリーは収納魔法に手を入れて水筒を取り出し、水を飲んでいる。



「こんな事をしている時間は無いというのに…」


「逆に狙い目とも言える。レオン様は天職が勇者のお人だ。この事態を見過ごす筈が無い」


「そうですね。それにあのお二人の子どもです。優しい子に育っているでしょう」


「さて、ヴァーミリオン家に仕える者としてもう少し働くとしよう。主君との再会は遠くない筈だ!」

ここから反乱編は第4章のエステファニア、ラディリアス編のようなスタイルになる予定です。

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